5
両親は既にいない。
妹だけが僕の家族なんだ。
身を寄せ合うように生きてきた。
その妹が入院して……
あんなに元気だった妹が、virusにやられるなんて。
僕は面会も許されずに、
──妹は……
──妹は……
──最愛の妹が……
──たったひとりの僕の肉親が……
「火葬されて戻って来たんだよ!」
突然の仕打ちに、僕は茫然自失だった。
ひとりっきりで旅立った妹。
看取ってやることもできなかったんだ。
小さくなった遺骨を胸に抱き締めて泣いたよ。
涙は留まることを知らなかった。
未来を絶たれた妹を思うと、
──悔しくて……悔しくて……
──情けなくて……情けなくて……
この怒りと悲しみと憎しみ。
何処にぶつけたらいいのさ。
「神も仏も無いじゃないか!」
「もうひとりぼっちは御免だよ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます