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 春。

 君を公園に連れ出したのは、思い出を作りたかったから。

 山野に咲き誇る春の花々って何て壮麗なんだろう。

「ねえ、見てごらん。この風景を君の澄んだ瞳に焼き付けておいてほしいんだ」 

 僕たちはベンチに座っていつまでも眺めていたよね。

 すると、君は口ずさんでいた。

 そのメロディーに聞き覚えはあったけど、曲名はとんと知らなくて。

 そしたら君は囁いたのさ。

 僕の耳はくすぐったかったけど、心は満たされたんだ。

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