君を恋ふ

春乃光

1

 僕の朝は、君の声で明けるのさ。

 カーテンを引き、窓を全開にしたら、清々しい朝の気配を身に纏う。

 と、君はまた僕に呼びかける。

「もう起きてるよ。心配しないで」

 ──今朝はコーヒー?

 ──紅茶?

 迷いながら僕はケトルに水を入れ、火にかける。

 ついでに食パンをトースターに放り込んで新聞を読む。

 ついつい記事に夢中になっていると、君の声にハッとする。

「あっ、ごめんごめん。教えてくれてありがとう」

 ぼくは慌てて火を止め、しばらく考えてから「今朝は紅茶にするよ」と君に笑みを向けながら決めると、ティーパックを用意してカップに湯を注ぐんだ。

 こうして二人のかけがえのない一日は始まる。


 食事する間だって君を見つめていたい。

 四六時中も離れない。

 離れたくないんだ。

 「知ってるかい?」

 僕がどれだけ君を思っているかって。

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