第17話

妹の容態はまたさらに悪くなった。


「お兄ちゃん、本を見せて」


「うん、一緒に見ようね」


妹は俺にくさいとは言わない。


我慢してくれてるのかそれとも匂いを感じないのかは分からない。


けど、出来れば、出来れば臭いと言って欲しい。


そうした方が妹が健康だと分かるから・・・


ーーー


本が読み終わってしまった。


「ねぇ、お兄ちゃん。もしかしたら・・・」


「うん?」


「ごめん、何でも無いよ」


「ねぇ、お兄ちゃん・・・今度はいい相手見つけてね」


「当然だよ。雪の妹かお姉ちゃんになるんだもん。身長に選ばないとね」


「もう、結婚のこと考えてるんだ。私が居るのに」


「いや、雪はこれからも生きるんだから当然だろう?」


「え、お兄ちゃん私が死ぬと思ってるの?」


「・・・っ、」


「冗談だよ。でもさっきの私が居るのにってのは冗談じゃないよ。」


「雪ィってど言うこと?」


「お兄ちゃんは私と結婚するから相手なんかまだ要らないってことだよ。」


「そうなのか」


「うん、当たり前じゃん、お兄ちゃんなんだから・・・そうだ。お兄ちゃん結婚したら何しようか」


「雪こそ、もう結婚の話??」


「そうだよ。幸せな話をすると幸せになれるから今も幸せの方がいいでしょ」


「そうだね。じゃあ」


ーーー


そうして、俺たちは結婚の話をして、時間が来た。


「また直ぐに来るね。」


「うん、あ、そうだ。お兄ちゃん」


「どうしたの?」


「大好きだよ。ずっと愛してるから」


「俺もだよ。」


ーーーー

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