ぽっくり地蔵と私
獅子鍋
ぽっくり地蔵と私
小学生の頃、私は叔父に連れられて、良くハイキングに出掛けた。
ある公園に行った時、端っこに座るお地蔵さんを見付けて、私と叔父は手を合わせる。
ぽっくり地蔵と書かれた登りが横に立っており、私は意味を叔父に尋ねた。
「ぽっくりというのはね。病気にならずに長生きして、苦しまずに亡くなる事だよ」
叔父の説明を聞いて、亡くなるのは怖いけど、長生きできるなら良いお地蔵さんだと私は思った。
帰りに叔父はアイスクリームを買ってくれ、私は手をつないで駅まで歩いた。
お地蔵さん、ずっとこんな日が続きますように。
叔父が命を絶ったのは、それから三年後の事だった。
そして、高校生になった私の前で、あの時のお地蔵さんが土下座をしている。
「本当に申し訳ございません!」
額を床に擦り付けながら、お地蔵さんは私に謝罪した。
「いや、今更、謝られても……」
私は迷惑そうに、お地蔵さんの小さな頭を見下ろす。
「私の力が至らないばっかりに、あなたの叔父様は!」
子供の声で謝るお地蔵さんに私はため息をついた。
「いや、叔父さんが亡くなったの、五年前だからね」
私は叔父の死を悲しみ、落ち込んだが、今では少なからず気持ちの整理を付けているつもりだ。それが、今頃になってすみませんと言われてもね。
「ずっとご家族を探していたのですが、手掛かりが無くて。図書館で古い訃報記事を見付けてやって来ました」
そのなりで図書館に行ったのかと私は呆れたが、つっこむ元気は無かった。
「もう良いから、帰ってください」
そう言って私は明日の宿題に手を伸ばす。
お地蔵さんは顔を上げると、そうは行きませんと叫んだ。
「佐藤勝彦様の分も、あなたをぽっくりさせてください!」
それからぽっくり地蔵さんは私の家に居つくようになった。
「誠心誠意、斉藤洋子様をぽっくりさせます!」
父と母の前でお地蔵さんは宣誓する。
「良かったな。洋子」と父は興味無さそうに言った。殴ってやりたい。
「弟の事は、お地蔵さんのせいじゃないわ……」
母は涙ぐみながら、お地蔵さんの頭を撫でる。
「本当にぽっくり地蔵さんか⁈」
おじいちゃんが目を丸くする。
「ご尊父様、僕の力が及ばないばかりに……」
お地蔵さんは直ぐに、土下座し平身低頭した。
「そんな事はいい! 頼みます。持病の脊柱管狭窄症を治してください!」
おじいちゃんも両手を突いて懇願する。
「すみません。難病は範囲外でして……」
そんなやり取りを見ながら、私は苦々しげに夕食を食べた。
お地蔵さんはおじいちゃんの部屋に連れて行かれ、私はホッとする。
受験勉強の為、机に座ったがどうにも集中できなかった。
ぽっくり地蔵が表れて、叔父の話をしたからだ。
ベッドに横になった私は、久しぶりに叔父の顔を思い浮かべた。
何で亡くなったの?
知らせを聞いた時は信じられなかった。
母が泣いているのを見て、訳も分からず泣いたっけ。
葬儀を終えても、何時もの様に会いに来てくれる感じがした。
でもそんな事は起きなかった。
気持ちの整理なんて本当は出来ていない。
日々の慌ただしさで思い出さなくなっただけ。
「叔父さん、ごめんね」
布団の中で私は呟く。
「やはり、お辛いのですね。洋子様」
耳元で囁くお地蔵さんに私は悲鳴を上げた。
次の日、朝食を食べる私の横に地蔵も座る。
「たまには洋食も良い物ですね」
無邪気に笑う地蔵の頬は私の平手打ちで赤くなっていた。
私はイライラしながら、「行ってきます」と言って席を立つ。
「洋子様、どちらへ?」
地蔵が慌てて、私の後を追う。
「学校!」
私は足早に玄関に向かった。
「ゆう子様、15歳から19歳までの死因で多いのは不慮の事故です。ずっと家に居ましょう」
「できるか‼」
私は乱暴に扉を閉めて、学校に向かった。
通学中、何度も後方を確認するが、地蔵は付いて来ていないようだった。
教室へ入り、机に座ってからどっと疲れが出た。
「洋子、おはよう」
前の席の美咲が笑顔を見せる。
「おはよう……」
「どうかした?」
元気が無い私に気付いた美咲が心配する。
流石に地蔵の話は出来ない。
私は曖昧に笑い、親戚の子供が家に来て好き勝手してると話した。
美咲は笑い、そのうち帰るでしょと言った。
そう願いたい。
「斉藤、おはよう」
丸刈りの男子が私に挨拶する。
「おはよう、陽介。また朝練?」
少し汗ばんだ陽介の額を見ながら、私はあいさつを返した。
「やらないと部活出れないから」
陽介は苦笑して席に着く。頑張ってるじゃんと私は声を掛けた。
陽介とは中学が同じで、何かにつけて縁があった。野球部の割に少し気弱で大人しいが、私にはそれが好ましく見える。
横眼で陽介が他の男子と話しているのを見ていると、「見すぎ」と美咲が茶化した。
「別に見てない」
照れ隠しをした私は一限の宿題を確認する振りをした。
美咲はニヤニヤと笑みを向けてから、前を向く。
〝洋子様はあの少年を好いているのですね〟
突然の声に私は真顔に戻り、周囲を見回した。
この声には聞き覚えがある。ぽっくり地蔵だ。
〝洋子様。あなたの魂に直接、話しています〟
苦虫を噛み潰したような表情になる私に構わず、声はベラベラと話し掛けてきた。
〝洋子様、無事に登校出来たようで何よりです。ですが、まだ安心できません。そこで私は洋子様の荷物に姿を変えて見守る事にします〟
その言葉と共に、机の中の筆箱が光り始めた。
私は両手で光を抑えながら、中身を確認する。見知らぬ筆が一本入っていた。
〝その筆は私が現化したものです〟
淡く光る筆を筆箱から出すと、私は席を立った。
「洋子、どこか行くの?」と美咲が尋ねる。
「ゴミ箱」
〝捨ててはなりません!〟
筆は懇願するが、私は構わず廊下に向う。
〝洋子様の恋心を解決できるかもしれませんよ!〟
ゴミ箱の前に立った私はその言葉で捨てるのを止めた。
〝現金な方だ〟
「聞こえてるよ」
私は筆を強く握りながら、教室に戻った。
陽介と付き合うかもしれない。地蔵の言葉が真実なら。
「付き合っちゃうのか。私」
朝のホームルームから一日、私はその事ばかりを考えて授業どころでは無かった。
地蔵は家でやり方を教えると言い、私は急いで家路につく。
母への挨拶もそこそこに自室に駆け戻った。
「さあ、教えてよ」
息切れしながら、せっつく私に筆はぽっくり地蔵の姿に戻った。
「洋子様。少し落ち着いてからの方が良いのでは?」
「いいから!」
私の剣幕に、地蔵は少し怯えて「分かりました」と頷く。
「まず、坐禅を組みます」
私はゆっくりと足を組む
「それはあぐらです」
地蔵に足の組み方を治される。少し痛かったがこれも恋愛成就の為だ。
「次に背筋を伸ばして、ゆっくりと呼吸をしてください」
私は地蔵の言葉に従う。
「意識を集中させ、自分の心を見詰めていきます。そうすれば恋愛の執着は無くなります」
「無くしたいんじゃねえんだよ‼」
部屋が揺れる程の大声で私は怒鳴った。
「苦悩から解放されたいのかと思ってました」
怒り狂う私に、地蔵は必死に謝罪する。
「期待した私が馬鹿だった」
ドッと疲れが出た私は机に塞ぎ込んだ。
やっぱり他力本願じゃダメか。
「洋子様の辛いお気持ち、良く分かります」
「小僧に分かるわけない」
机に頬を擦り付けたまま、私は呟く。
「そんな事ないです。私の前世は女ですから」
「え!」
地蔵の言葉に私は驚き、顔を上げた。
「私はお釈迦様より、この役目を頂く前は異国の女神だったのです」
私は信じられないといった目で地蔵を見た。
「女神様だったの?」
「まあ、そういう説もあると言う事です」
本人が説とは何だ。
一気に興味が無くなり、私はため息をついた。
「もういいよ」
私は鞄からノートを出して勉強を始める。これ以上、この地蔵に振り回されるのは時間の無駄だ。
「勉学ですか?」
英語の問題を解く私を見て、地蔵が尋ねる。
「受験勉強するから、静かにしててよ」
「仏教学部をお勧めします!」
「考えとく」と私は笑い、地蔵を廊下へつまみ出した。
静かになった部屋で私は勉強を続ける。出来れば東京の大学に行きたい。学校で進路の話が出てから私はずっと夢見ていた。都会での一人暮らし。その実現にはまだまだ、学力が足りなかった。勉強したい事はまだ分からなかったが、したい事はあるのだ。今はそれに向かって努力しかない。恋愛してる暇は無いんだ。
そう自分に言い聞かせた。
ショートホームルーム。
「進路希望調査票を配るぞ」
先生の言葉に、私は緊張する。段々と受験が身近になっていくのを感じたからだ。
用紙の保護者記入欄を見ながら、私は親への説得の言葉を考えた。以前から、母には希望を伝えているが、父がどう思っているかは分からない。
今日はちゃんと話さないと。
家に帰った私は、父と母に進路の話をした。
「東京の大学か」
父は腕を組んで、考え込む。
「学費は何とかするにしても、家賃や生活費は出せないぞ」
父の言葉は予想通りだった。
「アルバイトもするし、奨学金とか……」
私は小声で答える。
「卒業してからが大変だぞ。返済しながら働くのは楽な事じゃない」
父の言葉に私は黙る。
「遊びに行きたいだけなら、父さんは反対だ」
父は進路希望調査票を持ちながら、強い口調で言った。母が「勉強したい事があるのよね」と助け舟を出してくれたが、私は「うん」と呟く事しか出来なかった。
父は私が東京に行きたい理由を見透かすように見詰める。それが不快で私は泣きそうになった。
すると、ぽっくり地蔵が「失礼します」と言って部屋に入って来た。
私達が呆然とする中、地蔵は深々と頭を下げる。
「他所様の家庭に口出しする無礼を承知で申します。過去の名僧も皆、都で学び、大成しました。動機はどうあれ、洋子様は日々、目標に向かって勉学に励んでおります。その努力を摘まないであげてください」
床に頭をつける地蔵を見て、父はふうと息を吐いた。
「まず、第一志望の合格ラインになってからだ。後、第二志望は市内の大学で考えてみなさい」
父が折れてくれた事に、私は表情を明るくした。
部屋に戻った私は横にいる地蔵に「ありがと」と小声でお礼を言った。
「子供を守るのが私の役目ですから」
微笑む地蔵に、私も笑顔で返す。
「A判定貰える様に勉強する」
机に座って問題に取り組む私の後ろで、地蔵は筆と半紙で文字を書き始めた。
「何してるの?」
「千枚写経で願掛けします。洋子様の願いが叶いますように」
一文字、一文字、彫る様に時間を掛けながら地蔵はお経を描く。
「ありがとう」
私は地蔵の優しさに胸が熱くなる。気持ちを引き締めて勉強に集中した。
時計が零時を指し、私は勉強を切り上げる事にした。
地蔵はまだ、写経をしている。
「そのペースで書いて、どれくらいで千枚になるの?」
「二年後でしょうか」
汗を流しながら、地蔵は答える。
「いや、受験終わってるからね」
「え⁈」
呆然とする地蔵を見て、私は苦笑した。
頼りになるのか、ならないのか、何とも抜けたお地蔵さんだ。
次の日の学校。
私は美咲と進路の話をする。
「良かったね。洋子!」
「今後の成績次第だけどね」
私が憂鬱そうに言うと、美咲は「洋子、テストの点も上がってるから大丈夫」と励ましてくれた。
「美咲の方はお父さんどうだった?」
「うちも成績次第かな。合格ラインなら考えてくれるって」
それから私達は、ルームシェアや東京での生活の話で盛り上がる。色々、不安はあるけれど、美咲と卒業後の話をしていると、何だか明るい未来が待っている様な気がしてくる。
勉強を頑張ろう。
その日は図書室で美咲と受験勉強をしてから帰った。
校門を出る私に、「斉藤~」と男子が声を掛けた。
「陽介……」
「今から帰るの?」
陽介の質問に私は頷く。陽介は途中まで一緒に帰ろうと言って、私の横に並んだ。
「陽介は部活?」
「うん。でも早く終わった。勉強もしっかりやれって顧問の長尾が言ってさ」
長尾先生の真似をする陽介を見て、私は笑う。
「私は美咲と図書室で勉強」
「東京の大学へ行くんだろ」
驚く私に、「朝、聞こえたから」と陽介が答える。
「俺はスポーツ推薦難しそうだし、市内の短大目指すつもり」
初めて知る陽介の進路に私は「そうなんだ」と呟く。
「俺の友達もさ、遠くの大学や専門学校行くみたいでさ」
寂しそうに笑う陽介を見て、私は何て答えたら良いか解らなかった。
「まあ、卒業後も連絡はしようって皆で話してるんだけど」
「そうだよ。電話したり、休みの日に集まったりすればいいじゃん」
私は陽介に「大丈夫」と声を掛ける。
「斉藤も、東京に行ってもたまには連絡くれよな」
「もちろん」
私は寂しくなるのを隠す様に大きな声で頷いた。
別れ際、陽介は「またあした」と言って、暗い道の先に歩いて行く。
その後ろ姿が、私にはとても弱々しく見えて少し心配になった。
皆、卒業後はそれぞれの道を行くんだな。
家に帰り、私が自室に入ると地蔵が写経しながら「お帰りなさい」と言った。
「ただいま」と返す私に、地蔵は「青春ですね」と笑みを向ける。
私も笑顔を向けて、地蔵を廊下に放り投げてやった。
二週間ほど経ったある日。
ベッドから起きた私に地蔵が挨拶に来た。
「洋子様、今日から数日、留守にさせて頂きます」
申し訳なさそうに地蔵は頭を下げる。
「ぽっくり、諦めたの?」
「いえ、リフレッシュ休暇を取るように上に言われたので」
サラリーマンみたいな事を言う地蔵に私は笑った。
「まあ、ゆっくりしてきたら」
楽観的な私を見て地蔵は心配そうな顔をする。
「私がいない間に洋子様に何かあったら、大変です。友人の首無し地蔵に代打を頼みます」
「絶対、やめて‼」
もし呼んだら、あんたの首を抜くと言って私は地蔵を部屋から出した。
「何かあったら、直ぐに連絡してくださいね」
母親の様な事を言い残して地蔵は斉藤家から居なくなった。
「寂しくなるわね」
母の言葉に、父とおじいちゃんも頷く。すっかり家族扱いだ。
「休みは五日ほどでしょ」
私は素っ気なく言うと、朝食のパンをかじった。
地蔵が居なくなっても、私の生活には変化は無かった。学校と家の往復。空き時間の勉強。その繰り返しだ。
四日目、私は美咲に教えて貰った参考書をネットで注文すると、コンビニに代金を払いに行った。端末機械には先客がおり、私は雑誌を読みながら空くのを待つ。
時々、横目で先客を見ていると、正面からエンジンの吹き上がる音と共に激しい衝撃が私を襲った。
飛び散るガラスや本。商品棚と共に倒れる私。視界には窓を突き破った車の後部が見える。
体は動かなかった。視界が真っ白になっていく。周囲の声もどんどん離れていった。
死ぬのかなと私は思った。
「洋子ちゃん」
私を呼ぶ声がして私は目を開ける。
「そろそろ行こうか」
お地蔵さんに手を合わせていた私は叔父に促されて立ち上がった。
ぽっくり地蔵と書かれた登りが立っており、私は意味を叔父に尋ねる。
「ぽっくりというのはね。病気にならずに長生きして、苦しまずに亡くなる事だよ」
叔父は話しながら、私の頭を撫でた。
幼い私は叔父さんの顔を見ながら、「うそ」と呟く。
「じゃあ、なんで叔父さんは自分で死んじゃったの」
私の質問に叔父は悲しそうな顔をした。
叔父の表情に私は色んな思いが込み上がる。
「ぽっくり地蔵さん、助けてくれなかったの?」
私は泣きそうになりながら、叔父さんに尋ねた。
「お地蔵さんは助けてくれようとしたよ。でも僕は差し出された手を握れなかった」
そう言って叔父は空を見上げる。
「苦しくて、楽になる事しか考えられなかったんだ」
私は叔父さんの手を掴んだ。
「まだ、苦しい?」
叔父も私の手を握り返すと「もう苦しくないよ」と笑った。
私の頬を涙が伝う。
「私、叔父さんを助けられなかった。ごめんなさい」
泣き出す私を叔父は優しく撫でてくれた。
「僕こそごめん。洋子ちゃん」
「もっと一緒に居たかった」
絞り出すように言う私に、叔父は「僕もだよ」と頷いてくれた。
コンビニで事故に遭った私が目を覚ましたのは半日ほど経った後だった。
父と母は大泣きし、看護師さんを困らせたようだ。
全身の打ち身と脳震盪との診断だったが、吐き気や記憶の欠如も無いので、皆、ホッする。
家族が別室に呼ばれている中、私は叔父の事を思い出していた。
もう苦しんでないんだね。
例え、夢だったとしてもそれが私には嬉しかった。
「洋子様!」
ベッドの横から声がして、私は驚く。
病室の床に頭を付けながら、ぽっくり地蔵が土下座をしている。
「助けるのが遅くなりすみませんでした」
私の怪我がこの程度で済んだのはやっぱり地蔵のおかげのようだ。
「間一髪でした。洋子様!」
地蔵の言葉に私は「ありがとう」と言った。
そして叔父に会った事を話した。
「ちゃんと助けようとしてくれてたんだよね」
そう言って、私は地蔵にお礼を言う。
「ありがとう。叔父さんを救おうとしてくれて」
私の言葉にお地蔵さんはすすり泣く。
「私は未熟者です」
「私もそうだよ」
目を閉じる私に地蔵は何度も謝罪の言葉を口にした。
次の日、ぽっくり地蔵は病室から消えていた。
精密検査後、私は異常なしと判断されて、数日ぶりに家に帰って来た。
直ぐに退院させられた事に父は不満そうだったが、私が「大丈夫だから」と安心させる。
おじいちゃんも泣きながら、玄関で出迎えてくれた。
自室に戻った私は床に落ちている写経の紙を拾い上げた。
「ありがとう。お地蔵さん」
私はそう呟くと紙の束を机の引き出しに入れた。
「しまっちゃ駄目ですよ。途中なんですから!」
背後からの声に、私は悲鳴を上げる。
私の後ろにはぽっくり地蔵が座っていた。
「あんた、居なくなったんじゃないの⁈」
心臓を抑える私に地蔵は、「そんな分けないでしょう」と抗議した。
「まだ、洋子様はぽっくりしてないんですから!」
おわり
ぽっくり地蔵と私 獅子鍋 @inosisinonaka
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