第335話 誓い、進む

アーシェの叫び声と共に、レイヴァーと魔族達はその場に伏せる。


(あの光はお父様が話していた禁忌の魔法の可能性が高い!)


ピカーンッ!

空高く眩い光が辺り一面を包む。



数秒経過すると、辺りは何もなかったかのように静まり返る。


「うっ、大丈夫かみんな!」

「サリアは平気だよ、何なの今の光は。」

「僕も平気だよ、ミラさんもリィンさんも平気そうだね。アーシェリーゼはーー。」


ノエルがアーシェの方を向くと、


「うっ、くっ。」


アーシェの体から何かが吸い取られているのが見てわかる。


「アーシェ!」

「私、よりも、他の、みんなを。」

「うわぁぁ!!」


アーシェだけでなく、周りの魔族全員から何かが空高く吸い取られているのが見て取れた。


「なんだ、何が起きてる。アー!何をされた!」

「この感覚、魔力が吸い取られているみたい!でも、何で魔族だけが。サリアもノエルくんもリィンちゃんも平気なのに。」

「この現象……血のホワイトデイと同じじゃないですか!?ある一定範囲、ターゲットを絞って攻撃する方法!」

「だとしたらどうすればいい、俺たちに何ができる!?」


バタンッ。

近くにいた馬の顔をした魔族が倒れ込む。


「おいっ、しっかりしろ、おいっ!」

「……。」


その魔族は息絶えており、ぐったりと力が抜けていた。


そう、魔族は魔力が命、つまり魔力が0になることは死を意味する。



「ふざけやがって……サリア!リィン!どうにか魔力を吸う元を断ち切れないか!」

「出来るだけやってみる! 盾となれ!森の守護法陣フォレストランパート!」


バゴーンッ!

地面から根が突き出し屋根の様にして、多くの魔族を覆う。



だが、



魔力はまだ吸われ続けている。


「なんで!?魔力で動いている植物が透過されてる!?」

「盾が無理なら、元を壊すしかないだろう!サリ、発生源は分かるか!」

「あの城だよ、魔力は城に収束してる……。」

「城までまだ10㎞はあるぞ、まさかスパルタ全体に魔力を吸う魔法が使われたって言うのか!?」

「血のホワイトデイで、あたしのようなニューマンはアテナイで生まれました。だとしたら、あり得ない事ではないかと……。」


絶望の事実だけが、レイヴァーに着きつけられる。



その間にも、


「くそっ。」

「アーシェリーゼ様、お逃げ下さ……。」


バタンッ。

1人、また1人と魔族達が倒れていく。


「くそっ!ここまでこいつらは必至で生きたのに、こんな光如きに何も出来ねぇのかよ!俺は!」

「大本を壊さない限り、これを止める手段は……。」

「なら、私とクロで仮面を付けてさらに力を解放してこの光の元だけでも断ち切ろう!」

「そんな無茶です!いくらお2人でも体がもちません!」

「このまま死んでいく同志をただ見ている事なんて私にはできない!クロ、判断を!」

「ダメです!クロウさん!お2人が死んでは、白き世界が近くなるだけです!」


クロウに判断を迫る2人。



「決まってる、俺はーー。」


ピキーンッ!

クロウの頭に1つの事が思い起こされる。


(俺がニューマンにならないで生きていたのは、この指輪があったからだ。じゃあ、この指輪に何の役目がある。魔力を阻害?認識の阻害?違う、この指輪が魔力を変わりに吸い込んだとしたら、俺の体に魔力が流れていないのも合点がいく。だったら!)


「ミラ!生きてる魔族に俺たちの指輪をかざせ!」

「どういう意味だ……いや、聞く必要もないな!」


ズザッ!

ミラは魔族を束ねていた、狼顔の魔族のそばにより、クロウはアーシェによる。


そして、


「魔力を吸いたいなら、ここから持っていけ!」

「クロウ……。」


ピカーンッ!

指輪に光輝き、アーシェの体から吸われていた魔力が、指輪から吸われるようになる。


ミラも同様であった。


「やっぱり、魔族を指定した魔法じゃない、魔族以外を除外した魔法で魔力を吸収してやがったんだ。」

「やった、これで解決ーー。」



しかし、


パリーンッ!

指輪の砕け散る音が響き渡る。


「嘘だろ、おい。」


再び光がアーシェを狙う。


「クロウ、逃げてーー。」

「逃げるわけねえだろ!」


ガシッ!

クロウはアーシェを光から庇うように、真正面から抱き着いた。


「クロ!」

「クロウさん!」


光がクロウを差す。



すると、


シュイーンッ。

光が止み、吸収されていた魔力が止まった。


パリーンッ!

ミラの指輪も割れる。


「うっ、アーシェ!生きてるか!」

「え、ええ。なんとか、魔力は少し残っているわ。」

「もしかしたら、クロウガルトが光の対象になることで認識を阻害できたのかもしれない。魔力を持たないオールドタイプなら、あり得る話だ。」

「ミラさんは!」

「私は平気だ、彼も息をしている。だが、かなり弱ってしまっている。」


そして、皆は辺りを見渡す。



そこには、先ほどまで怪我を負いながらも元気に生きていた魔族の死体が。


生き残った魔族は、狼の魔族とアーシェのみ。



「スパルタの自然を破壊しつくしたから、次は魔族から魔力を吸収したというのか、外道な奴らが!」


ノエルの怒りが、珍しく露になる。


「クロウ……。」


ギリッ。

アーシェを抱きしめる手に力が籠る。


「ふざけやがって、必ず後悔させてやる、ハデス、ハーデン!てめぇらの罪の重さ、刻み込んでやるよ!」


クロウの顔にも、怒りが露に。


魔族は、この一瞬で絶滅寸前にまで追いやられてしまった。


第66章 完



◆◆◆お礼・お願い◆◆◆


第66章まで読んで頂きありがとうございました。


先に進むと、まだ生き残っている魔族達と出会う。

そこの魔族は、過去にアフロディテ家が治めていた町であった。

だが、謎の光により多大な被害を受けてしまう。


決戦は近い!

更なる敵と味方!?

これからもレイヴァー応援しているぞ!


と思ってくださいましたら、

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ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!

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