第304話 王国の異変

クロウ達はオーガとの戦闘を終え、応急処置を終えた後に城の外へ出ようと動き始めていた。


王座の間は、オーガとの戦闘でボロボロに壊れ、今にも崩れ落ちてしまいそうな状態に。


「痛っ、アーシェもう少し優しく巻いてくれよ。」

「なに、私のやり方に文句あるなら焼いて塞ぐわよ?」

「怖いしさらに痛そうだからやめて!」

「お2人とも、遊んでいないで時間かけられないんですから早くしてください!」

「クロとアーはいつもあんな感じなんだな。もはや夫婦のようだ。」


クロウの悲鳴が上がりつつも4人は応急処置を終え、城を出るために歩き始める。


「あのオーガ、蠢く会のメンバー2人とラストで作り上げられてたよな、てことは魔力の媒体が大きいやつの方が、より強い個体が生まれるってことなのか?」

「可能性は高いんじゃないかしら。後は、ハーデンが何か今までと違う方法を彼らには試してたのかもしれないわ、まぁ、ハーデンのやりたいことなんて理解したくないけど。」

「蠢く会は、この一瞬でハーデン、ノエル、ホルムの3人になったな、サリは大丈夫だろうか?」

「サリアさんもエリカさんと力を合わせれば相当強い方ですが、心配ですね、少し急ぎましょう。」


スタタタタッ。

4人は傷を庇いながら、小走りで城の門へ向かう。



すると、



ガヤガヤガヤッ。

城の門から聞こえてくる人の声は、何か怯えてるように聞こえた。


「なんだ?王国の人達が何かを恐れてる?」

「でも、魔力は何も感じないわ。気のせいではないの?」

「にしては反応がおかしい、クロ、私と先行して外に出るぞ!」

「あいよ!」


ギィー!

扉を開くと、


「っ!?なんだよ、これ!」

「なんで、何が起きたらこんなことになるのよ!」


そこには、数えきれないほどのニューマンが倒れており、その顔に正気が全く宿ってない。


ズザッ!

クロウが目の前の男性に寄る。


「おいっ、しっかりしろ、おいっ!」

「……ぁ、あ。」

「何があった!」

「無理はさせないでクロウ、その人も含めて倒れている人すべての魔力が0に近いわ。もう、ここの人達はーー。」

「それでも、諦めてたまるかよ!」


ズザッ!

クロウの傷も全く浅いものではない、だが目の前に倒れる人のために体を酷使していた。


「クロを手伝おう、まだ生き残れる可能性がある者もいるはずだ!」

「そうね、やりましょう。」


3人も無事な人がいないか探し回る。



だが、歩く先々にいるのは、力なく倒れている人のみ。


何が起きたのかも判断がつかなかった。


「くそっ、まさかさっきのオーガの影響か?それともーー」

「クロくん!!」


クロウの背後から、大きな声で呼ばれる声が。


「っ!サリア!ノエル!」


そこには、サリアと、肩を貸しているノエルの姿が。

クロウは走って2人の状態を確認する。


「2人とも無事だったんだな、良かった。」

「うん、少し疲れちゃったけど、クロくんたちの方も何とかなったみたいだね。」

「ああ、って、サリア刺されたのか!?その出血!」

「クロウガルト、すまない。僕のせいでサリアリットはーー。」

「だから!これはノエルくんのせいじゃない、ホルムにやられたんだから!」


サリアはいつもは出さない圧で、ノエルに話す。


「……だが。」

「ノエル、お前に聞きたいことはたくさんある。自分を責めることも、お前なら俺じゃ想像できないくらいたくさんあるんだろう。けど、ここにいるってことは、俺はお前を信じていいってことだろ?頼む、助けられる命を一緒に探してくれ。」

「クロウガルト……。」

「まぁ、サリアが生きているのは少なからずお前のおかげだろ?だったら、俺はノエルを責めない、全部話せなくたっていい、話して楽になれることがあるならそれだけでも話してくれ、それが


スッ!

クロウは足早に生存者を確認しに向かう。


その姿を見て、ノエルは少しホッとしているように見えた。


「ね、言ったでしょう!ノエルくんの事、クロくんなら受け入れてくれるって!もちろん、アーちゃんたちにも説明しなくちゃいけないことはたくさんあるだろうけど、まずはこの事態の原因を探ろう!」

「ああ、分かった。」


2人も倒れている人たちから、話ができる人たちを探していく。



アーシェは、魔力を強く感じる方へ歩みを進めていた。


(やっぱり、魔力を何かに吸われている。でも、少なからず数百名は倒れている状況で、何をしたらこんな状況を作れるの?魔法……だとしても範囲が広すぎる、あとは。)


ふと前を見ると、


「っ!?一瞬だけど、魔力が乱れる感覚があった。ミラ!こっち来て!」

「どうした?」

「ここから50mくらい先に、魔力の乱れを感じたわ。」

「なるほど、了解した。背中は任せるぞ。」


2人が向かった先に、待ち構えているものとは。

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