第291話 ドート

「いくぞ、巨人族の女!」


ミラと同じくらいの背丈を持ち、体つきはゴリラを思わせる大きさ。

だが、スピードが遅いわけでもない、かなり戦闘に特化したニューマンのようだ。

その手には、3mはあるだろうドリルのような大槍が。


「こんなところで時間を浪費している場合ではないのでな、通させてもらうぞ!  始の光イチノヒカリ金剛の一撃アルデバラン!」


バギーンッ!

2つの大きな衝撃が、周りの小物や窓を吹き飛ばす。


「ほお、我の攻撃をたやすく受けきるか。大した力の持ち主だな、敵にしておくには惜しい。」

「お前も、蠢く会が正しいと思って戦っているのだな。」

「愚問だな、ハーデン様が作ろうとしている世界は、何も文句の付け所がない最高の世界だ!」

「そのために、数えきれないほどの犠牲を生むとしてもか!」

「犠牲ではない、新しい世界の礎になれるんだ、これは誇るべき事なのだよ!」


バゴーンッ!

さらに力を増した1撃が、ミラを壁に叩きつける。


「ふんっ、それでもお前はその程度か。やはり、弱いことには変わりないーー。」


ピシャッ。

ドートの右手から、切り裂かれたような傷が生まれ血が滴る。


(うん?この傷は、いったい。)


「見えなかったようだな、確かに力では私の方が弱いようだ。だが、俊敏さは私に分があるようだな、吹き飛ばす直前に斧の刃が触れたことに気づけないとは。」

「まさか、敢えて吹き飛ばされることを前提に攻撃を組んでいたというのか、貴様は頭がキレるようだな。」

「私なんてまだまださ、他のレイヴァーのみんなの方が私より賢い、特にノエはな。」

「ノエ?……ああ、アイアコス弟の事か。呆れるのう、まだあいつを仲間だと考えているとは。」

「仲間と考えて何が悪い、彼は私を殺さなくてはいけない任務があったはずだ。だが、私を殺せるタイミングでノエは引き金を引かなかった。それは、ただの気まぐれには私は思えない。」


ドシンッ!

ドートは怒りに満ちているのがよくわかる。


ミラの話を聞くや否や、右足を大きく地面に打ち付け10㎝ほど凹ませた。


「やはりアイアコス弟は作戦を自ら遂行しなかったのだな。殺すのは誰でも良かったのだ、レイヴァーの戦力を削ぐことが出来れば誰であっても。だが、奴はそのチャンスを何度も逃していた、奴が弱いせいで。」

「弱い?それは違うな、少なくともノエはお前たちより数段賢くて強い、自分で考え、自分の意志で行動を起こせる、その結果何人もの人たちを助けてきた。」

「その行いが余計だったんだよ、我らは必要な人材だけを求めている。白き世界に、余計な存在を入れることはできない、処分しなくてはな。」

「処分だと?お前、そのためにゴーレムを生み出したとは言うまいな!」


シュンッ!

ガギーンッ!

再び、大斧と大槍がぶつかり合う。


「ふん、それも計画の1つではある。だが、ゴーレムはもっと進化しなくてはならない。あの程度では、我々の駒として使うには使い辛い代物だ。」

「ふざけるなよ、言っていいことと悪いことの区別もつかないか! 参の光サンノヒカリ覇王の咆哮レグルス!」


グルンッ!

ズザーッ。

大斧の回転斬りが、ドートを後ずらせる。


「使い辛い代物だと、お前たちは命を何だと思っている!これからを生きる命を無闇に奪い、弄び、挙句の果てには使えないだと。私がレイヴァーでなければ、危うくこの手でお前を殺していたところだったぞ。」

「何を怒る必要がある、この先不必要になるものを有効活用しようというのだ、我らこそが正義でありこの世界に光をもたらす存在だ!」

「光だと、私にはドス黒い闇にしか見えないな。それも、ただの闇ではない、全てを呑み込み生き物全てを破滅させるような危険物にしかな!」

「何とでも言うがいい。我らには必要なものだけがあればいい、そのためなら男も女も、


バヒューンッ!

ドートが話し終える前に、その顔を1つの拳が殴り飛ばし、10mほど吹き飛ばす。


「うぐっ、何も見えなかった、何をした貴様。」

「すまない、あまりにも怒りが抑えられなくてな、この手が勝手にお前の顔を撃ち抜いていたよ。いいだろう、お前が全てを闇に呑み込むというなら、私が、レイヴァーが全てを守り抜いてやろう。これ以上犠牲を増やさない、そしてノエも返してもらうぞ。私たちの仲間を勝手に連れ去られて、黙ってはいられないからな。」

「そうか、なら我らも手を打たなくてはな。キルシャス!」

「ちっ、あいよ!」


ズザッ!

2人は城の奥へと逃げ去る。


「待ちやがれ!」

「追うぞ、クロ!」


2人も後を追う。




そして、舞台はアーシェ達へと移るのであった。


第57章 完



◆◆◆お礼・お願い◆◆◆


第57章まで読んで頂きありがとうございました。


クロウとミラは、蠢く会の実験施設のような場所に移動させられる。

そこでは、ゴーレムの製造過程が見れてしまう。

さらに、キルシャスとドートとも戦闘になり、さらに激しさを増していった。


次はアーシェ達!

次はだれが出てくるのか!?

これからもレイヴァー応援しているぞ!


と思ってくださいましたら、

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ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!

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