第287話 歓迎

シュワンッ。

クロウとミラを吸い込んだ闇のゲートは、部屋の天井から展開される。


「嘘だろ!?」

「建物の中か!」


スタッ!

受け身を取り、2人は着地する。



部屋の中は、金色の壁に、モダンな椅子やテーブル、絵画なども掛けられており応接用の部屋のように見える。



「くそっ、まんまと罠に嵌められたな。ミラ、大丈夫か?」

「もちろんだ、ところでここはどこだ?」

「この装飾、それに俺たちだけを分断したっていうことは、蠢く会の拠点か、もしかしたら城の中とかかもな。」

「仮に城の中だとしたら、都合がいい。私たちがここまで来る時間を短縮してくれたのだから、だが、アー達が心配だな。」

「サリアとリィンもいる、あいつらは強いし信じるしかねえな。」


スタッ、スタッ。

2人は部屋のドアの方へ向かう。



すると、


「っ!?ミラ、この先にいるのって。」

「この気配は、ゴーレムだな。ということは、蠢く会の拠点で決まりか?」

「確認してみようぜ、いくぞ!」


ガチャンッ!

2人が扉を開くと、ゴーレムが2体斧を構えていた。


「ご丁寧に待っててくれたのか、お前達とは戦いたくねえけど。」

「蠢く会の奴らから、元に戻す方法を聞き出すまでは割り切るしかない、いくぞ!クロ!」

「ああ、くそっ!」


ズザッ!

クロウは2刀を構え、ミラは斧を持ち突撃する。


「ぐぉぉ!!」

「お前も、被害者なのだな。待っていろ、早く楽にしてやる。 始の光イチノヒカリ金剛の一撃アルデバラン!」


スッ!

ガギーンッ!

ミラの大ぶりの縦斬りが、ゴーレムを弾き飛ばす。


(なんだ?今までのゴーレムよりも、数段力が弱くないか?)


ミラは疑問に思いつつも、追い打ちをかける。



「がぁ!!」


ガギーンッ!ガギーンッ!

斧と斧がぶつかり合い、火花を散らす。



だが、ミラの力がさらに増したというべきなのか、ゴーレムが押されているように見える。


「はぁ!! 参の光サンノヒカリ覇王の咆哮レグルス!」


グルンッ!

ガギーンッ!

回転切りがゴーレムの腹に傷をいれる。


「うがぁ。」

「違和感があるが、すまない。ここで終わらせる! 伍の光ゴノヒカリ不滅の波動アタナシア!」


ブワッ!ブワッ!

ズシャン!

2発の斬撃が、ゴーレムを遅い体を斬り裂く。



シュウッ。

そのまま、ゴーレムは灰に変わる。



「ゴーレムなのは間違いない、だが何か変だ。クロは?」



ガギーンッ!ガギーンッ!

クロウも2刀でゴーレムを押していく。


(こいつ、ゴーレムとは思えない力だ。何が起きてるんだ、初めて会ったゴーレムの方が力も技も上だったぞ。)


「お前に、何が起きてるんだ?」

「うぐぁ!!」

「くそっ、話せるわけねえか。 空の光ソラノヒカリ三式サンシキ日輪ニチリン!」


スッ!

ジャギーンッ!

2刀の縦斬りが、右肩を切り裂く。


「がぁ。」


ドスンッ、ドスンッ。

ゴーレムは後退りをし、怯んでるように見える。


「お前、やっぱり何かおかしいよな。なんだ、お前は俺に何を伝えようとしてるんだ!」

「うぐっ、がぁ!!」


何かに抗うように見えるゴーレムだが、地面にヒビを入れながらクロウに迫る。


「くそっ、どうしたらいい、どうすればお前の言葉を聞ける!」

「がぁ!!」


ブンッ!ブンッ!

斧を振り回し、クロウを襲う。



だが、これまで何度も壁を乗り越えてきたクロウには当出るのは困難なスキルだった。


(考えたくねえけど、こいつもしかして、生まれたばかりのゴーレムか!?サイズも一回り小さい気がする、攻撃もかなり拙い。……なのに、倒すしか選択肢はないのかよ、くそ!!)


スッ!

クロウはゴーレムの背後に位置取り、2刀を構える。



「悪い、俺の力が弱いせいで、お前を理解してやることができない。必ず、必ずお前達を助ける方法を見つけ出す。悪い、ゆっくり眠ってくれ。 空の光ソラノヒカリ五式ゴシキアカツキ!」



グサッ!

シュインッ。

もう1体のゴーレムも灰に変わる。


もちろん、完璧な勝利だが、心が傷を負っていた。



「クロ、何か違和感を感じなかったか?」

「ああ、感じたよ。こいつら、まるで今までのゴーレムと違かった、今までの奴らが大人だとしたら、生まれたての赤ん坊みたいな感じだった。くそっ、何かできることはないのか。」

「私たちの出来ることは、これ以上ゴーレムを生み出さないことだ。その為に、私たちはこの命を懸けてでも蠢く会を倒さなくてはならない。……もちろん、目の前のゴーレムの命を消していい理由にはならんが。」

「ありがとうな、ミラ。励ましてくれて、頭では理解してるんだ、今の俺の力ではゴーレムを助けられない。けど、辛いもんだな。」


スッ。

2人は武器を収め、さらに先に進む。




すると、明らかに鋼鉄で作られている扉が現れる。



「怪しすぎるな、まるで覗いてくれと言ってるようだ。」

「俺たちがここに連れてこられた理由もわかるかもしれねえ、開けるぞ。」


キィーッ。

クロウが扉を開けると、



「っ!?嘘だろ、なんだよこれ!」

「これは、ひどいな。」


2人の目に映ったものとは。

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