第286話 先に進む
スタタタタッ。
クロウ達は闇に紛れて町を出た後、王国まで歩みを進めていた。
1時間ほど進んだ先では、日が登り始めクロウ達を迎える。
「朝か、ここからならあと1時間はかからないで着くか。」
「そうですね、町を出てから1時間は歩きましたし、東の奥の方を見てください。」
「なるほど、あれか。」
リィンに言われた通り、東の方角を見るとそこには金色をベースに、所々にガラス細工、屋根には大きな剣が飾られている城が見えた。
「目的地はすぐそこね、だとしたら決算の準備をしましょう。クロウ、リィン、お願いしていいかしら?」
「ああ、そっちはテーブルの準場を頼む。」
近くの草原の安全を確保し、クロウ達は朝食の準備を始める。
時間をあまりかけない為、買っておいたパンに、コーンと野菜をメインに使い、ミルクで濃厚にしたスープを作った。
手際も良く、準備が終わるまで20分もかからなかった。
「いただきます。」
食事を摂り始め、これからの動きについても話し合う。
「俺とリィンが人族だから、王国にもすんなり入れると思ってるんだが、そんなわけにいかねえよな?」
「そうだね、離れな町ですらサリア達を狙ってきた人達がいた、王国からもっといる可能性が高い。それに、蠢く会が何人かいると思った方が良いね。」
「私が、クロと共に先頭を努めよう。アーとサリが後衛、リィンが臨機応変に対応してくれればこの5人で良い動きができると思っている。」
「そうね、辛かったら私も前衛をやれるから、2人とも無理はしないで。」
「ありがとうな。後は、ラストが本当に生きてるのか、それとも蠢く会が見せた幻なのか。それ次第で、これからの世界が大きく変わるな。」
クロウ達は、その目で見たラスト王のことを思い返す。
「あれが魔法で作られたものだとしたら、私が知っている芸当ではないのは確かだ。人の姿を、あのように投影する魔法など聞いたことがない。」
「だとしたら、蠢く会が開発した何かの可能性もありますね。モンスターを操るチップでしたり、ゴーレムを作り出してしまうような存在です、見たことないものを作られても不思議じゃありません。」
「あの時の事、ノエルくんは知ってたのかな?」
「いいや、知らなかったと思うぞ。私が見ている限り、彼は嘘をつくのがとても下手だ。あの姿を見た時の彼の顔は、心底驚いていた。」
「ノエルだけなら連れて帰るだけで済むけど、ハーデンが出てきたら話が変わる。あいつとはまだ戦ったことねえけど、厄介なのに変わりはない。さあて、何が現れるかってところだな。」
ズザッ。
作戦会議を含めた朝食を摂り終え、クロウ達は着実に王国に近づいていた。
そして、ここでも違和感が。
「王国の周りは守りが固いとはいえ、モンスターがいなすぎる。こりゃ、蠢く会が何かしてるって考えた方がいいかもな。」
「そうですね、そうなると最悪なパターンが1つあります。ラスト王が生きていて、尚且つ蠢く会と組んでいる。これがあり得てしまったら、あたし達の動きだけじゃなく世界が変わってしまう。」
「確かに、最悪のパターンはそれね。蠢く会が表舞台に出てくるようになれば、モンスターと人が彼らにより囚われて白き世界に向かう生贄にされてしまう。」
「そんな事には何があってもさせちゃいけねえ、血のホワイトデイ以上に被害が出ちまう。全く、何でこんな世界がかかってる戦いに5人で挑もうとしてるんだかな。」
「今から愚痴を言っても仕方ないわよ、これが私ただの運命だったのよ。諦めて、やれることをやりましょう。」
スタッ、スタッ。
そうこうしているうちに、クロウ達は王国の近くの門にまで来た。
兵士は配置されていなく、特別違和感のない静かな空間が広がっていた。
「特に警戒がされてない、罠だな。」
「そうね、私たちが中に来ることを望んでるようにしか見えない。」
「でも、進まないともっと大変なことが起きちゃう、それだけは阻止しないと。」
「っ!?待ってください皆さん、この城から何か違和感を感じます。」
「違和感?……なるほど、薄らとだけどこの門から先に魔法の結界が張られているわね。壊すのは容易いけど、どうする?」
クロウに皆の視線が集まる。
「決まってんだろ、正面から最短ルートでラストのところまで行く。結界を壊して、突き進むだけだ!」
「さすが、クロウらしいわね。それじゃあ、行くわよ!」
シュイーンッ!
アーシェが魔力を溜めると、
ピカッ!
眩い光が途端にクロウ達を襲う。
「光!?何が起きてーー。」
「クロ!」
ブワンッ!
クロウの背後に、蠢く会の使う闇のゲートが現れる。
「んだとっ、くそっ!」
「手を伸ばせ!」
スッ!
ミラが手を伸ばし、クロウもその手を掴もうとする。
ガシッ!
なんとか2人の手はつながり合うが、
「だめだ、引っ張られーー。」
シュワンッ。
クロウとミラが闇の中に吸い込まれた。
「っ!?クロウ!ミラ!」
「そんな、2人が飲み込まれた!?」
「魔力なんて感じなかった、どうして……っ!?お2人とも、あたし達も歓迎してくれるようです。」
ズザッ!
アーシェ達の前には、アーマーゴーレムが現れる。
「ウゴォ!!」
「ちっ、蠢く会にやられたわね、微かだけど城の方に魔力の乱れがあるわ、私たちも向かうわよ!」
「了解だよ、時間がないの、サリア達の邪魔をしないで!」
ドスンッ!
アーマーゴーレムは、両手の斧を構え襲ってくる。
離れ離れになってしまった、クロウとミラ達。
レイヴァーはこの先、何と出会うのか。
第56章 完
◆◆◆お礼・お願い◆◆◆
第56章まで読んで頂きありがとうございました。
メガラで情報を集めていたレイヴァーの5人。
しかし、彼らを狙う者達の放火により、町を追い出されてしまう。
そして、向かった先の王国ではクロウとミラが連れ去られることに……。
戦いの始まる予感!?
果たして王国に何が起きてるのか!?
これからもレイヴァー応援しているぞ!
と思ってくださいましたら、
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ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!
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