第282話 指名手配

クロウ達は、ファルクに向かって歩みを進めていた。


道中、ファルクから3つ隣の町、メガラにて休憩を取り、次の日にファルクにたどり着く日程で進めていた。


その道中、サリアがクロウに心配そうな顔で話しかける。


「ねぇ、クロくん。もしさ、蠢く会と真正面からぶつかることがあったとして、ノエルくんが敵だったらクロくんはどうする?」

「……まぁ、やりあうしかないよな。それが、あいつの信じた正義だ、俺たちにも譲れない信念がある、話し合って分かり合えないのなら、ラストへの道を塞ぐなら押し通るしかないと思ってる。」

「……そうだよね、蠢く会がやってることは許せないことばかり、サリア達の敵だもんね。」

「そうだ。蠢く会はどうにかしなといけない、けど、ノエルを諦めるって意味じゃない。俺は、何度か何かに迷っているノエルを見てる、それは兄を助ける方法を考えてたんだと思う。なら、その力になることは俺たちの信念から外れない。」


サリアが不安に思っていたこと、



それは、ノエルと戦うことになったら、殺さなくちゃいけないのではないかと考えてしまったことだった。


だが、クロウには不殺の掟がある、いや、それがなくても1度仲間として戦った者を手にかけるような人でないのは分かりきっていることだった。


(そうだ、そうだよね、クロくんは諦めが悪いし人を信じ抜くことはレイヴァーの中で1番貫いている。心配した、サリアが馬鹿だったな。)


「じゃあさ、もしノエルくんと戦うことになったら、サリアとエリカに任せてもらえないかな?」

「え?2人がノエルと戦うのか?」

「うん、ノエルくんは近距離から遠距離まで戦える万能型、それはサリアも同じ。だったら、同じ戦い方をできる者同士ちょうどいいと思うんだよね。」

「……辛くないか?」


クロウの言葉に、サリアの顔は曇る。


「もちろん、辛くないと言ったら噓になるよ。これまで命も助けてもらった、長い間生活を共にしてきた、だから刃を向けたくないのは変わらない。」

「だったらーー。」

「でも、クロ君がリーダーだからってノエルくんがいなくなった責任を取って戦う必要はないと思うの。適材適所、クロ君はラスト王が何で生きてるのか、ハーデンが何をしようとしているのかを突き止めてほしい。大丈夫、サリアもエリカも無茶はしないから。」


クロウはサリアの決意の固い目を見る。


(サリア、もしかしたら俺が話すより任せた方がノエルを説得、あるいは連れ戻せる可能性があるかもな。俺だけがやるだけじゃ、この世界は変わらない、頼ることを覚えないとな。)


「分かった、もしノエルが立ちはだかるようなら頼むな。もちろん、アーシェ、ミラ、リィンから援護をつけてもいい、サリアのやりたいようにやってくれ。」

「ありがとう、サリアも見せなきゃ!諦めが悪いのは、クロ君だけじゃないってこと!」

「そんな、俺が頑固者みたいに言うなよ。」

「あら、クロウはかなり頑固な人だと思ってたのだけど違かったかしら?」

「アーシェだけには言われたくねぇよ。」


また、クロウとアーシェの間で火花が散り始めたため、


「はいっ!ストップ!2人とも、そろそろメガラに入るんですから警戒をもっと強めてください!いつ奇襲があってもおかしくないんですからね!」

「え、ええ、そうね。」

「そうだな、悪い。」


リィンがチームをしっかりまとめる。


(やはり、レイヴァーの真のリーダーはリィンかもしれないな。アーもクロも何も言い返せない、世界で上位に入る強さの2人にあの気迫を出せる、それだけ信頼が高いということか。)


ミラは微笑ましく4人の姿を見守る。


「あ、そうだ、ミラさん!もし、この2人が暴れそうになったら遠慮なくクロウさんを取り押さえていいですからね!たまにはしっかり分からせないといけないときもあると思うので!」

「ああ、それくらいなら任せろ、折れない程度に押さえつけよう。」

「そこで結託するな!はぁ、俺の仲間はどこにいるのか……ノエルを連れ戻すしかないな。」


冗談のように話すクロウ。



しかし、その目は覚悟を決めたものだった。



そして、目の前にはアテナイの町、メガラが出てくる。


「ここがメガラね、かなり人が多いように見えるわね。」

「王国が近いからじゃないでしょうか、ギルドも大きいですし、本来は良い環境なんでしょうけど、今のあたし達には少し厄介ですね。」

「姿がばれないようにしないとだな、どこかの装備屋で服を新調しよう、クロ先頭を頼むーー。」

「おい、何だよこれ。」


クロウは町の入り口傍にある掲示板に釘付け。



「どうしたの?」


4人も掲示板を見ると、



国家反逆罪及び不可侵規約違反により、アーシェ・ヴァン・アフロディテをアテナイから永久追放する。捕まえた者には、1生分の生活を保障する。



そこには、アーシェの指名手配書が貼られていた。


「くそ、ふざけやがって。」

「アーちゃん、気にしちゃだめだよ!何があっても、サリア達は離れないから。」

「……ありがとう、サリア。」


国中に指名手配されてしまったアーシェ。


蠢く会とラストの狙いは、いったい。


第55章 完



◆◆◆お礼・お願い◆◆◆


第55章まで読んで頂きありがとうございました。


レイヴァーはこれからの行動を決め、ファルクまで向かい始める。

一方ノエルは、ホルムの行いが本当に正しいのか分からずにいた。

そして、メガラにはアーシェの指名手配所が……。


どんどん先に進みます!

ノエルの迷いはどうなる?

これからもレイヴァー応援しているぞ!


と思ってくださいましたら、

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ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!

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