第270話 忠告

ミラの両親は後日王国に戻ることを、クロウとミラに伝えた。


そして、2人は王国に戻りミラが新たに知りえた情報と、4人が王から聞き出した情報を共有した。



その前に、


「改めてだ、ミラが正式にレイヴァーに加入することになった。戦力としても、揺ぎ無い信念も俺たちにないものを持っている存在だと思う。異論はないか?」

「私は特にないわ。ミラさんが入ってくれれば、クロウ以上に安心感があるわ。」

「サリアは大歓迎だよ!戦い方とか教わりたいし、なによりかっこいいし!」

「それは、私は褒められているのか?」

「俺の仲間は口下手が多いからな、全部誉め言葉だと思う。」


続けて、ノエルとリィンの反応を伺う。


「僕も賛成だよ、クロウガルト以上の戦闘力を持っているし、頼もしい限りだから。」

「あたしも大賛成です。ミラさんには恩をお返ししたいと思っていましたし、一緒に行動できるならこれほど幸福なことはありません。」

「そんじゃあ、反対意見がないってことでこれからよろしくな。」

「よろしく頼む、してクロ、これからの動きなんだがーー。」

「ん?ミラさん、今なんて呼んだ!?」


サリアがミラの口から出た言葉に反応する。


「ああ、私個人としてなんだが、実はあまり長い名前を呼ぶのが苦手でな、クロの了解を得てそう呼ばせてもらっている。」

「じゃあじゃあ!サリア達もそんな感じに呼んでよ!」

「それは構わないが、どう呼ぼうか。」


話し合いの結果。


アーシェを、アー。

サリアを、サリ。

ノエルを、ノエ。

リィンは、リィンのままでいくことになった。


「なんか新鮮な気分ね、呼ばれ方が違うというのは。」

「じゃあ、ミラさんも呼び方変えていいよね?サリアはミーちゃんがいいな!」

「か、構わないがーー。」

「ミーちゃんってキャラじゃねえだろ。」


ギッ。

ミラの視線が厳しくクロウに突き刺さる。


「ピッピッピー。」


口笛でその場をごまかす。


「私は、ミラと呼びたいわ、とても良い名前だし呼びやすいもの。」

「あたしは、さすがにミラさんのままがいいですね、皆さんを呼び捨てとかあだ名は恐れ多いです。」

「気にしすぎだよリィンちゃんは!」

「僕も、ミラさんでお願いしたい。」


これで、ミラもレイヴァーに早くも馴染んだ気がしていた。



話は変わり、王ゼオンのことになる。


「王は、まだ生きているのか?私たちが離れて、数時間は経過していると思うが。」

「問題なく生きているわ、ただ仮面を外せずにいるの。王曰く、まだ仮面から力が送り込まれてくる感覚は残っているらしいから、下手に壊して死なれても困るし。」

「ただ、王様はやはりとても強い方です。仮面の力に屈することなく、何とか今は持ち堪えています。もちろん、楽ではないと思いますが、そう簡単にこの体はもう渡さないとお話でした。」

「今はどこにいるんだ?」

「自ら牢屋に入ったわ。仮面が外せるまでは、仮に暴れだしてもすぐに対処できるようにってね。」

「色々聞きたいこともあるな、けど俺たちもかなり手負いだ。今日は回復に専念して、明日王と話をしよう。ミラも、両親から何か情報を得られたみたいだからな。」



そういって、レイヴァーは宿に向かう。


町は何もなかったかのように静かで、王国の兵士たちも気づけば撤退をしていた。


王の敗退を察知したのだろう、生き死にが分からない王のために命を懸けるような兵士は良くも悪くもいなかった。




その夜、ミラはノエルを呼び出していた。



夜風が心地よい草原に、2人はいた。


「ノエ、念のために言っておくがこれが最後のチャンスだと思うぞ。」

「チャンスですか?いったい何のーー。」

「今更とぼけなくても良い、あの日、お前は私を撃とうとしていただろ。それは、単なる気まぐれじゃない、

「……それを理解されていながら、なぜあなたは丸腰で僕を呼び出したんですか。本当に僕が殺してしまうかもしれないんですよ。」

「だから言っているだろう、最後のチャンスだと。これから先、レイヴァーで活動している間に私を撃つタイミングは限りなく0に近くなるだろう。それは、ノエの作戦に支障が出るのではないか?」


ノエルはミラの言葉を聞き黙り込む。


「ここからは、私の独り言だ。蠢く会の7人目は、ノエルランス・アイアコス、お前だと思っている。入っている理由は、兄を連れ戻すため。その為に、レイヴァーに入り蠢く会に必要な情報のみ流している。」

「……。」

「だが、レイヴァーに不利になる情報は流していない。お前も迷っているからだ。ここで生きていくうちに、自分の行いが正しいのかどうか分からなくなってきている。だから、排除対象である私を殺せない。これは、私ができるアドバイスだ、レイヴァーはお前が思っているよりもはるかに強くとても暖かい場所だぞ。」


スタッスタッ。

ミラはその場を離れ、宿に戻る。




ノエルは、その場に立ち尽くしていた。


(……分かっている、分かっているんですよ、だから、答えが見つからないんです。……兄さん。)


ノエルが、この先選ぶ道とは。


第52章 完



◆◆◆お礼・お願い◆◆◆


第52章まで読んで頂きありがとうございました。


ミラは両親と再会をすることができ、レイヴァーに加入することも決めた。

王が生きている間に情報を得るため、1日だけ休養をとる。

そして、ミラはノエルのことを理解しているようであった。


エリュシオン最終回!

次はどこへ!?

レイヴァー応援しているぞ!


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ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!

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