第261話 誓い

「くそっ、もう追いついてきちゃったか。使えない奴らだな。」

「彼らは十分強かったよ、ただ、君が僕たちの力を見誤っていただけだと僕は思うよ。」

「くそっ、アイアコスのクセに調子に乗るな!いいよ、僕が直々に消してあげるよ!」

「サリア達も忘れてもらっちゃ困るな!」


ガゴーンッ!

アークは壁に叩きつけられる。


しかし、あまりダメージはないようだ。


「なんや、奇妙な感覚やな。あんたと戦っても、まるで手応えがない。」

「さあて、なんでだろうね!まあ、君にはわからないだろうーー。」


ドクンッ!

アークの心臓が、何かの圧力により大きく響く。


(なんだ、僕に向けられてるプレッシャー?体が、緊張してる感覚。)



その正体は、


「なあ、サリア、ノエル。助けてくれてありがとう、おかげで怪我をせずに済んだ。」

「改まって礼を言うことじゃないだろ、リーダー。助け合いは、当たり前のことだ。」

「それじゃあ、もう一つだけわがままを言っていいか。」

「なんや、クロの兄さん?」


スッ。

クロウとミラが立ち上がり、アークを見据える。


「あいつは、俺とミラでやる。だから、ノエルはアーシェ達を援護してきてやってくれ。」

「……何か、踏み込んではいけないような背景がありそうだね、了解した。じゃあ、こっちは任せるよ、ただ彼も相当に手強い、油断しないでくれ。」

「ああ、すまないなアイアコス、いや、ノエルランス、サリアリットとエリカリット。恩にきる。」

「気にしないでください……ん?」


スタタタタッ。

サリアとノエルは部屋を移動する際に感じた違和感。



そう、ミラが名前で呼んだのだ。


今まで名字で呼んでいた彼女が、いきなり。



が、今の2人にとって大きな疑問ではなくアーシェたちの援護に向かった。



アークは、クロウとミラと対峙する。


「なんだい?狼と烏が手を組んで僕とやり合おうってこと?」

「そうだな、お前は俺の大切な仲間を傷つけた、この礼はしっかりとしてやらねえとな。」

「ふんっ、さっきまで絶望に打ちのめされていた狼に何ができる!お前の強がりは、烏の邪魔をするだけだぞ!」

「強がり、か。確かに、強がっているのもあるかもな。……だが、今はアレスを、クロウガルトを信じてみたいと思った、心から。だから、私は私の信じたものが正しかったのだと証明するために、共に戦う!」


ズンッ!

クロウは2刀を構え、ミラは大斧を構える。


「はぁ、もう厄介だな!僕はこんなに仕事するつもりなかったのに、あとで残業代たくさん貰わないとな!」

「残業代が出ればいいな、帰社できないと受け取れないから気をつけな!」


シュンッ!

3人の戦いが始まった。




そして場所は変わり、王の部屋。


リィンが駆け付けたことにより、アーシェはホッとしていた。


「仮面をつけた王ですか、クロウさん達が話していた6種類の仮面と違うということは。」

「最悪、あの仮面を付けたものは死んでしまうわ、多分そんなことを知らずにつけたのでしょうけど。」


スタタタタッ。

そこに、サリアとノエルが合流する。


「アーの姉さん!リィン嬢!加勢させてもらうで!」

「アークの方は、クロウガルトとミラさんがどうにかしてくれるみたいだから、こっちは僕たちでやろう!」

「2人とも、さらにサリアは力を解放したのね。なら、こっちもスピード勝負で行くしかないわね!」


スタッ。

4人は集まり、王と対峙する。


「ぐぉぉ!!」


ブンッ!ブンッ!

辺りに置かれていた斧を構え、辺りに振り回す。


「もう既に意識は持ってかれてそうね、どうにか止めないと。」

「だけど、あの仮面を壊したら本人は死んでしまう。だとしたら僕たちはそれ以外の方法で、どうにか捕らえたいね。」

「ただ、王様の力は私たち個人よりも遥かに上です、少しでも攻撃を受けたら重症になりかねません、最善の注意をしてください。」

「そうやな、うちら4人で戦うのも初めてやし、慎重に行こうか。サリア達とノエルくんが前衛、リィンちゃんは臨機応変に、アーちゃんは後衛で行こう!」


4人も武器を構える。


「ぐぉぉ!!」


ドシンッ!ドシンッ!

王が地面にヒビを入れながら迫ってくる。


「さあ、私たち4人での戦いよ!やってやりましょう!」

「了解!」


王と4人の戦いも始まった。


さあ、レイヴァーの力を見せる時だ。

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