第251話 立ちはだかる壁

スタッ、スタッ。

クロウとミラが闘技場の外に出ると、


ダダダダダッ。

多くの観客及び、会場の近くにいた人たちが走り去る姿が。


王国の兵士が闘技場に現れ、さらには見たこともないだろうゴーレムという化け物まで目にした人には、理解が追い付かないだろう。


「かなり混乱してるな、王の野郎何を企んでやがる。」

「この混乱に乗じて、さらに動きがあるはずだ。まずは、アフロディテとキヒと合流しよう。」

「ああ、けどこの中から探し出すのは。」


2人が周りを見渡していると、


パヒューンッ!

空高く光る何かが射出された。


「なんだ?信号弾?」

「いや、あれはリィンの魔法だ。あいつは確か、初級魔法はあらかた使えるって言ってた。」

「なるほど、なら行くしかないな。」


2人は光が飛んだ方向へ向かう。


その先には、


「やっぱりそうか、さっきの空に打ちあがった魔法はリィンのだよな?」

「はい、よく覚えていましたね!」

「アーシェは光魔法を使えないし、なんか記憶に刻まれえてたんだ。」

(記憶に刻まれていた……そしたら、昔のことも思い出してもらえるかな。)


リィンは俯き何かを考える。


それをよそ目に、アーシェは先ほどの事件を説明する。


「やっぱりそうだったのね、兵士が入っていくのは私たちも見たわ。それに、蠢く会らしき人も。ただ、私たちも巨人族の戦士たちに妨害されて蠢く会の所にまで辿り着けなかったの。」

「戦士が妨害?怪我はなさそうだが、大丈夫だったのか?いくら今の巨人族が弱くなっているとはいえ、アフロディテは特に魔法使いだ。」

「それなら心配いらないわ、妨害はされたけど手は出してこなかったから。」

「うーん、不思議なことがたくさんありますね。」


リィンはこれまでの情報をまとめる。



まず、クロウとミラは想像をはるかに上回るスピードで決勝へと進んだ。

理由は簡単、巨人族が圧倒的に弱くなっていたからだ。


そして、タイミングを計ったかのように王国の兵士が現れ、蠢く会も参戦してきた。

更には、使えないと判断するや否や、隊長らしき巨人族は殺された。


王国とは仲が悪いはずの戦士も、これまでの行動からすると、蠢く会を通して協力的になっているように見える。


最後に気がかりなのは、


「なぜ蠢く会に協力的なのか、これはテーベの時も含めて未だに謎です。」

「確かに、メイリンガ死ぬ間際もハーデンの名前を口にしていた、蠢く会はアテナイでは敵視されているけど他国では違う、どんなトリックだ?」


4人は考えるが、それを邪魔するかのように


バゴーンッ!バゴーンッ!

急に、辺りに置かれている食料や倉庫が爆発を起こした。


「おいおい、今度は何だ!?」

「この匂いは、火薬?だけじゃない、魔力の塵もあります。2段構えで燃やしに来てる。」

「とにかく消火だ、アーシェ!」

「分かってるわよ! 降り注げ!滝水スプラッシュ!」


ザパーッ!

滝のごとく勢いのある水が、周りの火を消し止める。


「なぁ、ここだけが爆破されるってのは、おかしいよな。」

「そうね、明らかに私たちの時間を費やしに来ている。それだけ近寄られたくない場所、あるとすれば。」

「王国だな、外部の者に触れられたくないものがあるのだろう、それにアルテミスとアイアコスのことも気になる、私たちも向かおう。」


タタタタタッ。

4人は、王国へ向け走り出す。


「そうだ、アーシェ、リィン、もう1つ共有だ。」

「なんですか?」

「今回出てきた蠢く会のやつは、アークって名前だった。今まで会ったことのないやつだし、何より誰よりも殺気を秘めてやがる。そして、殺すことに迷いがない、戦闘になったら俺かミラを呼べ!」

「近接タイプってことね、分かったわ。」


そのまま王国に向け走っていると、


ドゴーンッ!

先ほどの爆発のような音が、さらに聞こえ始める。


「なぜだ、この近くまで爆発させても何も生まないというのに!」

「私が消火するわ、3人は先に行ってーー。」


アーシェが言葉を発した瞬間、


「2人を逃がすな!殺せ!」


ダダダダダッ。

大きな足音が響き渡るのが聞こえる。


「2人を殺せ?それって、まさか!」

「サリアとノエルだ、行くぞ!」


トップスピードで4人が向かった先には、


ガギーンッ、ガギーンッ。

王国の兵士と戦うサリアとノエルの姿が。


「他国のやつが、出しゃばってんじゃねぇよ!」

「だから!話だけでも聞いて!」


ガギーンッ。

サリアとノエルは後退する。


そこに、


「サリアさん!ノエルさん!」

4人も合流する。


「みんな、よかった。」

「何があった、それにこいつら。」

「ああ、闘技場に攻め入ってきた兵士達、それもさらに格が上のやつらだ。私たちが相手した兵士とはレベルが違うぞ。」

「っ!?全員聞いて!王国の中から蠢く会の魔力を感じるわ。」

「なるほど、じゃあ俺たちはここを通るしかねぇな。」


ズザッ。

兵士たちは戦闘態勢。


「全員、かかれ!」

「いいかレイヴァー!誰1人殺すな!その上で王国に入るぞ!」

「了解!」


激しい戦いの火ぶたが切って落とされた。


第48章 完



◆◆◆お礼・お願い◆◆◆


第48章まで読んで頂きありがとうございました。


クロウとミラは、闘技場で戦いを始める。

そんな中、王国の兵士が入ってきてパニックに。

城に向かうレイヴァーを待ち受けるものとは


さらに戦いが!?

徐々に秘密がわかる!?

レイヴァー応援してるぞ!


と思ってくださいましたら、

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ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!

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