第237話 黒い影

6人は宿を離れ、カバラで情報を集めていた。


クロウはミラと闘技会についての情報を。

アーシェとリィンは王国の異変を。

サリアとノエルは、エリュシオンの歴史について調べていた。



まずはクロウとミラ。


1対1の決闘とはいえ、過去に反則に近い行いをして優勝した者もいると話す人がいた。


その方法は、





生きてる人間なら必ず行う行為、水分補給。


その中に毒物を仕込ませておき、時間が経つにつれ効果が発揮し、決勝戦の頃には本人以外体調不良のまま戦うこととなったと。


毒物を入れた証拠が優勝者にはなかったため、その大会はある男の勝利で終わった。



「戦いは、闘技場に入る前から始まっているってことか。厄介だな、匂いとかあれば俺の鼻でかぎ分けられるとは思うけどそんな分かりやすくないよな。」

「分かったとしても取り決めで、最初に皆飲むことになっているんだ。当然、当人は違う飲み物に変えているだろうがな。」

「今回の参加人数は32名。俺たちもエントリー間に合ったのは良かったけど、問題は多いな。」

「今回毒盛りする者がいるとして、31/32がアウトの飲み物。どちらかは飲むことになるな。」

「それを回避する方法、飲んだと思わせるってところか。リィンとノエルに知恵を借りるか。」


2人は闘技会の攻略を考えながら町を歩いていた。


「この大会に、今の王は出てくるのか?」

「おそらく出てくる。今の王、ゼオンは特に戦いを好む男だ。その分、兵士も外に出るから城は手薄になるだろうな。」

「あまりやらせたくはないけど、サリアとノエルが適任だな。状況判断が早いし、リィンはアーシェと行動させて緊急事態に対応してほしい。」

「私も賛成だ、よく見ているのだな周りのことも。」

「これでも、レイヴァーのリーダーなんでな。もちろん、ミラのことも見てるぜ。」


さらに、闘技会の進み方について話しあいながら宿屋に向かっていった。




続いて、アーシェとリィン。


カバラで何か異変が起きていないか調査を進めていた。



ギルドや商人に話を聞くも、それらしい情報は得られず、特にここ何年変化はないとのことだった。


行詰まっていた2人。



そこに、1人の男兵士が声をかける。


「君たち、外からさっき入ってきたグループだよね?」

「ええ、そうよ。何か?」

「カバラについて調べてるみたいだったから、外の町で何かあったのかと思ってさ。最近、外の町から王国に来る人はめっぽう減ってしまってるから。」

「何でですか?通行証が必要なわけでもないですし、来ない理由がピンと浮かばないのですが。」


スサッ。

男の兵士は、小さい声で2人に呟く。


「実は、王国内では町が団結して反乱を起こすんじゃないかと疑っているんだ。」

「なぜそんな話を?反乱を起こされるようなことに身に覚えがあるわけ?」

「いや、そういうわけではないんだが、どうも最近王国の羽振りが良すぎるんだ。給料も上がるし、簡単に言えば豊かに暮らせすぎてる気もしている。」

「王国が使えるお金は、基本各町から徴収される税金がメインのはず。直接的ではなくても、王国にいる人たちが恨まれる可能性は捨てきれませんね。いつ頃からですか?」

「3年前くらいからだね、最も、今まで反乱がおきていないから考えすぎな気もするけどね。すまない、時間を取らせたね。」


スタッ、スタッ。

男はその場を去る。


「王国の羽振りの良さ、気になるわね、」

「そうですね、闘技会も行われるので王国は手薄になる、皆さんに共有しましょう。」


2人も宿に向かった。



最後に、サリアとノエル。


大きな図書館で、エリュシオンについて書かれている歴史書を探していた。


だが、国ができた何十年も前の資料は残っているが、血のホワイトデイ以降の記録は残されておらず、管理人も詳しくは分からないが王国内で管理するようになったと話していた。



そして、ノエルが引っかかていたこと、


ダウンタウンのこと。



管理人はとても話しずらい様子だったが、1つだけ教えてくれた。



過去に、ダウンタウンは存在していた。


しかし、今はその情報は入ってこなく、当時の町もなくなっていると。



これを聞き、ノエルは1つ嫌な予測をしてしまった。


「なあ、サリアリット、1つ聞いてもいいかい?」

「なに?深刻な表情して、またマイナスな予測してるでしょ。」

「……そうだね、あってほしくはないけど考えてしまった。ダウンタウンがあった町は、町そのものが消されてしまったんじゃないかと。」

「それに何の意味があるの?ダウンタウンに住んでた子供たちを死なせても、王国には何もメリットがないよね?」

「警戒してたんじゃないだろうか、他国にバラされるのを。表面上は、エリュシオンはかなり豊かな国だ、それを守るためならもしかしたら。」


スッ。

サリアは優しくノエルの顔を包む。


「確かに、可能性は0じゃない。それが真実なのかも、調べた方がいいと思う。……けど、それは、絶対に良い結果につながらないから。」


サリアは感じていた、ノエルが負の感情に囚われかけていることを。


それを聞き、ノエルは我に返る。


「そうだね、すまない。」

「ううん、いいの。お互い助け合うのがレイヴァーだよ、またノエル君が苦しそうだったらサリアは手を差し伸べる。」

「サリアリット。」

「だから、サリアが辛そうだったら助けてよね!」

「ああ、約束する。」


スタッ、スタッ。

サリアが先を歩き、ノエルが追いかけようとすると。



ヒュンッ!

ノエルの背後に闇の空間が現れ、次の瞬間。


「うぐっ!?」


空間から伸びた手がノエルの口をふさぐ。


「やあ、アイアコス。こっちの生活楽しそうだね、けど、忘れていないかい、僕たちの使命を。」

「何でアークさんがここにーー。」

「そんなことはどうでもいい。そろそろチャンスがあるはずだよ、彼女の息の根を止めるね。まぁ、せいぜいがんばれ。」


シュンッ。

ノエルは解放され、その場には何もなかったかのよう。



「アークさんが来てる、もう時間がないのか。」



ノエルもゆっくりと宿に戻る。



はたして、アークがノエルに告げた意味とは。


第45章 完



◆◆◆お礼・お願い◆◆◆


第45章まで読んで頂きありがとうございました。


カバラへと移動した6人。

そこでは、いろんな闇が垣間見え事件が起こる匂いが。

そして、ノエルの言う時間とは。


作戦開始!

と思ったら早速事件が!?

レイヴァー応援してるぞ!


と思ってくださいましたら、

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ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!

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