第232話 いざ出発
ミラは、現アトラース家の1人娘であり、両親は国内でも有数の戦士であった。
2人とも巨人族の象徴である大型の武器、巨大剣での戦闘を得意としていた。
元来、巨人族はその体の大きさと力の強さから、大型の武器を得意としていた。
それを引き継ぐかのように、ミラも大斧を振り回していた。
アトラース家は、国を守る軍隊には所属せず管轄が違うギルドの中で名を馳せていき何度も国から軍隊に入ってほしいと連絡がきたほどの実力。
国の中では、最強に近い存在と言われつつも、とても親しみやすいということでとても人気であった。
闘技場で勝った際は、必ず相手選手と握手を交わし、負けたものに対して罵声を浴びせる者がいれば、その姿を見つけ出し自分と戦ってから判断しろと常に言っていた。
俗にいう、ファンも増え両親だけでなくミラも注目されていた。
だが、
血のホワイトデイが起きたその日から、徐々に雲行きが怪しくなった。
今までギルドの行いに口を出してこなかった国が、多くの命令をしてくるようになり自由が奪われつつあった。
そして、ミラにとって最悪の出来事は。
両親が国家反逆罪として、王国に連れていかれてしまったのだ。
もちろん、罪を犯した証拠はなくずっと一緒に暮らしていたミラも何も知らない。
しかし、危険を察知していたのだろう両親から言われていたこと。
「私たちの身に何があったとしても、あなたは真実だけを見るようにして。この国には、血のホワイトデイによって大きな変化が起きてる、それをあなたの手で見つけ出して。」
「俺たちはそう簡単にくたばらない、時間がかかってもいい、ミラが信頼できる者と共に光をこの国に差し込んでくれ。」
そう言い残すと、両親は国の兵士に連れていかれ、ミラは何も出来ずに見つめることしかできなかった。
ミラの待ってという叫び声も、虚しく空に消えていった。
ただただミラは後悔し、それでも前に進まなくてはいけないと心に誓った。
それが、今から約8年前のこと。
それから、ミラはエリュシオンに何が起きているのかを調査し始めた。
最低限知っている仮面のこと、国をこれまで支えてきた者、多くのことを調べつくした。
そこで、1つ大きな情報を手にした。
6つの仮面以外の仮面が存在していると。
それからミラはあることを思い出す。
いつだったか、エリュシオンにたまたま通りかかり、少しの間助けてくれたオールドタイプ。
フェルナンドのことを。
彼も、クロウと同じ白い烏の仮面をつけていた。
そして気付いた、巨人族だけが仮面をつけられるのではないと。
フェルナンドにそのことを聞くが、自分の家のことしか分からないと言われてしまった。
だが、先に進んだのは間違いない。
そうして、国中を旅しているとき、自分の体に異変が起き始めた。
そう、
体は火に炙られてるように熱く、四肢がもがれそうな痛みだった。
そして、頭に響く見えないものの声。
ミラは、エリュシオンのモンスターが多く棲む山を一つ壊すほど暴れたが、なんとか力をものにした。
旅の途中、フェルナンドには息子がいるという情報を手に入れた。
そうして、アテナイに向かい初めてクロウを見た。
その中で、感じ取っていた。クロウも同じく仮面を継承していると。
そのため、1度目は力がある者なのかを計るために戦い、2度目は死なれては困るため助けた。
ミラも徐々に仮面について情報が集まりつつあったところで、急遽エリュシオンから情報が漏れた。
死神への制裁が降ると。
アテナイに行くまでに、ミラは猿の仮面をつけた巨人族を3人、ワニの仮面を1人出会っていた。
しかし、話す事はできず目の前でもがき苦しみながら死んでいった。
その状況を、1人の男に見られてしまった。
自分の怪我で大斧に血が塗られ、地面には倒れる巨人族。
そして、困惑していた中で人の気配を察し振り向いたその姿は、死神に見えてしまったらしい。
「これが、私のこれまでの生き様だ。」
「ミラ、やっぱりすげえよ、そんな状況でしっかり生きてるなんて。てか、気になったんだけどよ、ミラは何歳なんだ?」
「ん?29歳だが?」
「俺より11個上……もっと若いと思ってたぜ。でもそうか、じゃないと父さんと対等に渡り合える戦士であるわけないよな。後よ、1つ質問していいか?」
クロウは疑問を投げかける。
「死神に制裁って言ってたけどよ、それって本当にミラのことなのか?制裁を下すにしては、その名前が広まる以上に国の対応が早すぎないか?」
「ああ、多分私じゃない死神だろうな。」
「お前じゃない死神って……まさか、両親が!?」
「可能性は大きい。だから、私はアテナイから戻った、キヒもかなり強くなっていたし少しでも戦力が欲しかったから巻き込んでしまったのは申し訳ないと思ってる。」
「まあ、あいつなら首を突っ込むだろうよ。でも、やっぱり俺たちがやることは1つしかないな。」
ガシッ。
クロウはミラの手を握る。
「ミラ、俺たちを使え。どんな風にでもいい、お前の両親を助けるための駒として、俺たちは動く。」
「だが、本当にいいのか?下手をすれば、エリュシオンにいることが出来なくなる、最悪は処刑されかねないんだぞ。」
「なーに言ってるんだ、目の前で苦しんでる仲間を見放して生きてく方が、殺されるより最悪だね。それは、知ってるだろ?俺たちは、諦めが悪くてとても強い、うってつけの買い物だと思うが?」
「……。」
ミラは考える、本当にレイヴァーを巻き込んで良いのかと。
だが、その迷いはクロウの真っ直ぐな目を見て固まった。
「分かった、レイヴァーに依頼する。私を、助けてくれ。」
「ああ、嫌ってほど助けてやるよ、それで報酬はどうする?」
「ふっ、そんなのお前の中では決まっているのだろ?」
「まあな、けど、無理強いはしたくないからよ。」
「いいや、嫌なわけじゃない。報酬は、私がレイヴァーに参加する、これで受けてくれるか?」
「いいね、その依頼受けるぜ、新生レイヴァー5人とミラ、共同作戦開始だ!」
ミラは心がほっとしていることに気づく。
今まで、信頼できる人は何人もいた。
だが、自分のわがままにつき合わせてはいけないと決めつけ、1人を選んできた。
でも、レイヴァーはどれだけ離れようとしてもそばにいようとする。
それが、とても嬉しく感じた。
次の目標は、エリュシオンの王国、カバラに向かうこと。
そこで真実を明らかにするために、6人は動き始めた。
第44章 完
◆◆◆お礼・お願い◆◆◆
第44章まで読んで頂きありがとうございました。
クロウは目覚め、ミラと仮面について話す。
その後、アーシェにクロウは服従の誓いを立て、さらに結束力が固くなった。
ミラの過去も知り、次はカバラに向かうことになるレイヴァー、果たして何が待つのか。
6人で始めての行動!
いろんな事件が!?
レイヴァー応援してるぞ!
と思ってくださいましたら、
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ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!
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