第221話 半分の仮面
「下等な生き物が、邪魔だ!」
ブンッ!
ガギーンッ!
クロウは目にも止まらぬ速さで、ライアを殴り飛ばす。
「ふがっ、聞いていた以上じゃないか、古の化け物が!」
「こっちが化け物なら、そっちは紛い物のクズだな。」
「言ってくれるね、あたし達が作り出す世界にあんたらは必要ないんだよ!ここで死ね!」
シュンッ!シュンッ!
素早い槍の2連撃がクロウを襲う。
しかし、
スッ、スッ。
まるで見切っていたかのように、容易く避ける。
「1ミリも焦らないなんて、気味が悪いね!」
「お前の技に当たってやるほど、優しくはない!」
ガゴーンッ!
槍を振り抜く隙をついて、さらに拳を突き刺す。
ズザーッ!
バゴーンッ!
ライアは地面を転がり、木にぶつかり止まる。
「えほっ、えほっ。なんて力だよ、ハーデン、情報がちと古いんじゃなかったかい。」
「その程度の力で殺そうとしてたのか、舐められたものだな。」
「あんたが純粋種ってのは予想してたさ、ただ、クロウガルトがそこまで操れるようになってたとはね!」
「クロウガルトが操れる?なるほど、お前にはそう見えているのか。哀れだな!」
ガギーンッ!ガギーンッ!
ライアはさらにスピードを上げ、烏の仮面をつけたクロウを攻める。
だが、結果は変わらない。
次は2刀で容易く弾き、ライアを徐々に押し返す。
「くそっ、力負けするのは分かってたけど、あたしのスピードについて来れるなんてーー。」
「お前、自分が早いと勘違いしてるんじゃないか?そんなスピードじゃ、この視界から消えることはできないぞ。」
「ちっ、腹が立つ野郎だね!」
「頭に血が上ったか、だから哀れなのだ!」
ガギーンッ!
ドゴーンッ!
怒りに身を任せた槍の一撃を、2刀で躱してそのまま吹き飛ばす。
「うはっ!」
ライラの体は傷だらけになり、少しずつ持ち前のスピードも落ちているようだ。
「あたしたちの予想を遥かに超える力か、これはハーデンに報告しないとだねーー。」
「余所見をするとは、余裕だな。」
「っ!?」
ガゴーンッ!
大剣を大きく上段から振り下ろす。
ライアはギリギリのところで避けるが、風圧で吹き飛ばされる。
「このままじゃ死ぬね、あたしの方が。一瞬の隙を作って、逃げる時間を稼がないとーー。」
ドクンッ!
途端に、ライアの心臓が激しく波打つ。
その鼓動は、外にまで響くように大きい。
「くそっ、力の解放限界か、このままじゃ本当に殺される。」
ズザッ!
クロウは瞬間移動したかのように、苦しむライアの前に立つ。
「へっ、へへっ。不殺の掟を守ってた奴が、あたしで初めての殺しをするのかい。」
「不殺?何を言っている、争いはどちらかが滅びなくては終わらんだろ。」
「はっ?……なるほど、そういうことか。その力はクロウガルトのものではない、仮面に呑み込まれた、というより取り込まれたというところか。」
「訳のわからないことを言う奴だ。まあいい、邪魔は排除する、この手でな!」
スッ!
クロウは大剣をかかげる。
「あたしの悪運も、ここまでかね。」
スサーッ!
大剣の刃が、ライア目掛け振り下ろされる。
ぶつかるまでの距離、30cm。
その澄んだ空気の中を、ひとつの声が響き渡る。
「やめなさい!クロウ!」
シュッ!
アーシェの声にクロウは反応し、大剣で斬る5cm手前で止まる。
「止まった、今だね!」
ズザッ!
ライアは一気に距離を取り、猿の仮面を外す。
そして、
ブワーンッ。
石を投げ、闇の空間を生み出しクロウを見る。
「命を助けられたから、お礼に1つ教えてあげるよ。そいつはもう、クロウガルトじゃないよ。」
シュインッ!
ライアはその場から姿を消す。
「ほう、この状態でまだ抵抗するか、オールドタイプよ。」
「あなたは誰。その体で何をするつもり!」
「何を言う、俺はクロウガルト・シン・アレスだ。忘れてしまったのか、アーシェーー。」
「気安く私の名前を呼ばないで!クロウの顔で、体で、クロウじゃない奴に名前を呼ばれるのは苛立ちすら覚えるわ。」
ギリッ。
アーシェは鋭い眼光を飛ばす。
「そうか、まあいい、邪魔をするならお前も、殺すだけだ。」
シュンッ!
一瞬にして、数十メートルあった距離を詰めてくる。
「やっぱり、今のクロウはクロウじゃないのね。こんな戦い方、彼はしない! 氷の刃よ!
バギーンッ!バギーンッ!
氷の刃でクロウの拳を弾き、距離を取る。
そして、
「審判よ!
ピカーンッ!
バゴーンッ!
天から雷がクロウに降り注ぐ。
だが、
「ぬるいな、その程度で殺せると思っているのか。」
「殺すつもりなんてないわ、クロウを返してもらうだけよ!」
「一度下がれ!アフロディテ!」
スッ!
ミラの声に反応して、アーシェは下がる。
「今のあいつは、私たちの知るアレスではない。どうすればいいのか、正直答えは分からない。」
「戦う中で答えを見つけるわよ。
バゴーンッ!
アーシェは力を1段階解放する。
「良いだろう、私もアレスを死なせたくない。だから、この力を使うことにしよう。サポートは任せるぞ、アフロディテ。」
スッ。
ガゴンッ!
ミラが手を空に掲げると、指輪の石が割れ赤い光となり手を覆う。
そして、顔に手を近づけると、
「さあっ、始めようか、アレス!」
ミラの顔面右側半分に、狼の仮面が付けられていた。
はたして、ミラの力とは。
第42章 完
◆◆◆お礼・お願い◆◆◆
第42章まで読んで頂きありがとうございました。
ゴーレムと戦い、なんとか倒すも怪我を負ってしまったサリアとノエル。
そして、クロウとライラの戦いはクロウが圧倒する。
しかし、目の前のクロウはいつものクロウではなかった。
そしてミラの新しい力、それははたして。
クロウ救出戦!
アーシェとミラの共闘!
レイヴァー応援してるぞ!
と思ってくださいましたら、
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ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!
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