第217話 巨大ゴーレム

初めに、目の前に迫ったゴーレムとの戦闘。


今までとは比べ物にならないサイズ感、そして気迫。



これまでのゴーレムが子熊だとしたら、目の前にいるのは大人のヒグマ。


戦闘力の高さはいやでも認識してしまう。


「みなさん!見た目通り、力勝負は部が悪いです。サリアさんとミラさんが注意を惹きつけて、あたしとノエルさんで仕掛けます!アーシェさんは、クロウさんを取り戻すのに1番大切な鍵なので、力はなるべく温存してください!」

「私が鍵?わ、分かったわ、無理はしないで。」

「うん!行くよ、ミラさん!」

「ああ、アルテミスの力期待しているぞ。」


ズザッ!

サリアとミラは真正面からゴーレムを迎え打つ。


「うぁぁ!!邪魔だぁ!」

「このゴーレム、まだ人の言葉を話せる!?あの人たちの意識が残っているんだね……。」

「アルテミス!少しでも躊躇すれば、次は大切な仲間が死ぬぞ!自分の背中にいる大切な存在を忘れるな!」

「はい、こんなことをする蠢く会、絶対に許しません! 参の舞サンノマイ悲哀の挽歌ソローエレジー!」


ズザーッ!

ジャギンッ!

スライディングしながら、足元をすり抜けざまに斬りつける。


だが、普通の肌とは全く違うようだ。

刃が通る気配すらない。


「防御も硬いってことか、ミラさん!」

「その防御も、どこまで持つか! 始の光イチノヒカリ金剛の一撃アルデバラン!」

「うがぁ!!」


スタッ!

ガゴーンッ!

大きな斧の一振りが、拳とぶつかり合う。


グググッ。

何ということだ、誰よりも力のあるミラが押し返されそうになる。


「なるほど、本当に馬鹿力のようだ。」

「そのまま押さえててくれ! ジン七の型ナナノカタ反物質弾アンチマテリアル!」

赤龍セキリュウ昇龍波ショウリュウハ!」


スッ!

ドゴーンッ!

ノエルの右手三本指からの内部に響く衝撃波を左足に、リィンは槍の衝撃波を右足にお見舞いする。


「うがぁ!!」

「うぁ!」


ゴーレムに着実にダメージは入った。


しかし、4人は痛みに暴れた衝撃で吹き飛ばされる。


「痛い、嫌だ、消えろ!」


ドスンッ!ドスンッ!

ゴーレムはノエルに追撃をかける。


「くそっ、スピードもあるなんてーー。」

「やらせないわ! 眠りなさい!目潰しブラックアウト!」


ボワンッ!

ゴーレムの目に黒い靄がかかる。


「うぐっ、見えない、どこだ!」




スタタタタッ。

その隙を、ミラとリィンが狙っていた。


「背中がガラ空きです! 緑龍リョクリュウ龍怒号リュウノドゴウ!」

伍の光ゴノヒカリ不滅の波動アタナシア!」


シュンッ!

ドゴーンッ!

斧と槍から斬撃が放たれる。


ピシャンッ!ピシャンッ!

背中の防御は手薄なようだ、傷が入り緑色の血が垂れる。


「ダメージはいれられる、けど。」

「これでは日が暮れてしまう。もっとギアを上げる必要があるな。」

「……ミラさん、やってくれますか?」

「ああ、私も皆には死んでもらいたくないからな。」

「それじゃあ、サリアもやっちゃうよ!」


スタッ。

サリアも2人と合流する。


「お2人とも、できる限り多く傷をつけてください、その間にあたしが弱点を見つけます。」

「なら、僕もそれを手伝うよ。」


スタッ。

ノエルも合流する。


「ありがとうございます。2人に疲れが見られた場合、あたしとノエルさんが交代します。なので、無茶はしないでください。」

「分かっているよ、キヒを怒らせると怖いのは承知してるからな。」

「え、ミラさんも知ってるの?何をしたんだろーー。」

「今はそんなこといいですから!お願いしますよ!」

「ぐぉぉ!!邪魔だ、死ね!」


ドスンッ!ドスンッ!

目の周りの魔法を振り払い、勢いよく4人めがけ突進してくる。


「ではいくぞ! エンジン全開フルスロットル!」

「いくよ、エリカ。任せとき! 神憑りクロス開始スタート!」


ドゴーンッ!

ミラは全身から獅子のような気迫を放ち、その気迫で体が大きくなったように見える。


サリアは、エリカと体を共有しテーベで戦った姿と同じく、片目が黒色、逆目は白色になる。


2人の力は、リィンの想像を超える力だった。


「遅れるでないで、ミラの姉さん!サリアたち早いから!」

「舐められたものだな、容易く合わせてあげようじゃないか!」


シュンッ!

2人は風を切り、地面が凹むほどの力で迎え打つ。


「うがぁぁ!!」


ブワッ!

巨大な右拳が、ミラに迫る。


「次は、私が押し勝たせてもらおう! 参の光サンノヒカリ覇王の咆哮レグルス!」


グルンッ!

バギーンッ!

大斧の回転斬りが拳と鍔迫り合う。


だが、


ガギーンッ!

力を解放したミラには及ばず、ゴーレムはバランスを崩す。


「ぐがぁ!?」

「隙ありだよ! 捌の舞ハチノマイ自由の狂詩曲フリーダムラプソディ!」


ファサァ!

ジャギンッ!ジャギンッ!

蝶のように舞い、目にも留まらぬ速さで全身を切り付ける。


「うがぁ!!」

「まだ終わらせんぞ!アルテミス、私に合わせろ!」

「冗談、うちらに合わせるんや!」


ガギーンッ!ガギーンッ!

さらなる追い討ちが、ゴーレムを追い詰めていく。


「うぐぁ、ぁあ!!」


バヒューンッ!

ゴーレムもやられるだけではないと、体に覇気を纏う。


「はぁぁ!!」


バギーンッ!

ミラの大斧が、その覇気により弾かれる。


「なにっ、体に触れてないのに弾かれた!?」

「ぐぁ!!」


ガギーンッ!

ドゴンッ!

隙を見逃さなかったゴーレムは、ミラを木に叩きつける。


「えほっ、えほっ。ガードが間に合わなかったら、粉々だったな。」

「ミラの姉さん!こっちで気を引いてる間に、体制を立て直すんや!」

「ぐぉぉ!!」


さらに力を増していくゴーレム。


はたして、このゴーレムだけなぜこんなに強いのか。

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