第206話 国の目指す姿
「君たちと一緒に行動できるなら、もう1つだけ伝えておきたいことがある。」
「なんだ?なんでも聞かせてもらうぜ。」
「うちのリーダーは受け入れることに関しては誰よりもすごいわ。」
「関してはってなんだ、は、って!」
「あらごめんなさい、つい本音が出てしまったわ。」
「まあ、アーシェに食い意地に勝てないのは分かってるけどーー。」
「余計なこと言うなら、久しぶりにウェルダンになる?」
ボァァ!
久しぶりに大きな炎が手のひらに生まれる。
「すみませんでした。」
「ははっ、面白い2人だな。きっと、この旅も楽しいものなんだろう。」
「楽しいばかりじゃねえけどな、言葉を間違えるだけで焼かれるチームだからな。」
「それは自業自得ね、それより本題に戻すわよ!ミラさん、話してもらえるかしら?」
「ああ、私の旅は蠢く会と仮面について調べることもだが、行方不明の両親を探すのが旅の発端なんだ。」
パチッ!
クロウとアーシェの目が見開かれる。
「さっき話してたご両親よね、いつから行方不明に?」
「だいたい、5年ほど前だな。それまでもあまり家にいることは多くなかったんだが、文通も止まってしまって連絡が取れないんだ。」
「心配だな、いなくなっちまった心当たりはあるのか?」
「多分、今回の事件と関わりがあると思う。話した通り、私の両親も戦士なんだ、だがどこかで襲撃を受けたり戦死したという知らせは受けていない、どこかで作戦に当たっているのか、外に出て来れない理由があるのか。」
「あいつらなら、何しても不思議じゃない。分かった、ミラの両親を探すついでに蠢く会を洗い出そうぜ。」
クイッ。
ミラは首を傾げる。
「蠢く会がメインではないのか?私の方は、君達の中で優先順位が低いと思うーー。」
「何言っているの、少なくとも今は仲間よ、仲間の家族の行方が分からないなら、最優先に解決するべきよ。」
「そんな時間、君たちにあるのか?」
「時間なら作ればいい、サリアとノエルも蠢く会の情報を集めてる。ミラは1人じゃない、1人の時間は限りあるけど、今は5人分の時間があるんだ。間に合わなかったなんて、後悔は絶対にしない、させない。」
ミラは両親と過ごしていた時のことを思い出す。
温かい部屋、温かい食べ物、暖かい家族、その全てが幸せに繋がっていた。
だが、両親が行方不明になり、国からは死神として迫害され始めてその感覚を忘れかけていた。
その大切な温かさというものを、クロウとアーシェが思い出させてくれた。
「……優しいのだな、レイヴァーは。」
「優しいと思ってくれるのは嬉しいけどよ、正直当たり前なことをするだけだ。そんなに気にすんな、ミラの言葉を借りるなら、俺たちを使え、自分の為に。ここ、重要、上書きしたか?」
「ああ、ありがとう。これからよろしく頼む、2人とも。」
「ああ、期待してるぜ。」
「よろしくね、ミラさん。」
スタッ、スタッ。
3人は先ほどの町だった場所を離れ、近くの町まで歩き始めた。
「今から向かう町には、何があるんだ?」
「なんてことはない、少し大きな町だ。近くで仮面の男が出たんだ、もしかしたら情報があるかもしれない。」
「なるほどね、けどミラさんが中に入るのは……そういうことね。」
「聡いな、アフロディテ。私は町の周りを調べる、中は2人に任せたい。巨人族は、少し縄張り意識が強いが認めた者に対する信頼はとても厚いぞ。」
「俺たちが認められる存在になればいいんだな、やってやるよ。」
ここで1つ、アーシェはとあることに気づく。
「そういえば、コリントスではミラさんの話は出てたけど仮面の話が全く出なかったわ。誰も気付かないなんてことあり得るのかしら?」
「そこも疑問の1つなんだ。町の数カ所では、仮面の情報を聞いたことがあるんだが、国からは特別知らせが出ているわけではないようでな。」
「なんでだ?正直、あの仮面をつけたやつが暴れ出したら町は救われない。国が全体に知らせを出さない理由がわからねえ。」
「私もそう思ってる。でも、王国に近づくのは私には厳しいからな、今の状態ならなんとかなりそうだが。」
「そこも調べるべきだろうな。王国の考えが全く読めない。」
これからの話をしていると、
バゴーンッ!バゴーンッ!
近くの町から、大きな爆発音が。
「なんだ!?」
「爆発音、それにこれは魔力よ!巨人族の仕業じゃないわ、モンスターか、他の種族かーー。」
「この爆発は、私たちが向かおうとしてる町の方角だ!急ぐぞ、嫌な予感がする!」
スタタタタッ。
3人は爆発の方へ向かう。
この国では、何が起きているのだろうか?
第39章 完
◆◆◆お礼・お願い◆◆◆
第39章まで読んで頂きありがとうございました。
助けることができなかったことに、心にダメージを受けるクロウ。
アーシェの支たいと思う力が、クロウを立ち直らせミラとも一緒に行動をすることに。
そんな中、突如爆発が。
いったい、何が起きたのか?
次はサリアとノエルサイド!
2人は何をしているのか?
レイヴァー応援してるぞ!
と思ってくださいましたら、
ぜひ、レビューの記載
★評価とフォローをお願いします!
ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます