第202話 仮面とは
「がぁぁ!!」
「来るぞ!アレス、指示を!」
「俺とミラで、あいつの動きを制限させる。そして、隙をついてアーシェの魔法で拘束だ。体に相当な負荷をかける戦いをしてくる、だから体力切れを狙う!」
「確かに、今はそれが1番いい選択だと思うわ。前線は2人に任せるわよ!」
「任せてもらおう!」
ズザッ!
男なクロウとミラが突撃する。
「生きる、俺は、死なない!」
ブンッ!ブンッ!
拳を振り抜くと、斬撃が生まれクロウとミラに迫る。
「さらに力を増してやがる、早く抑え込まねえと!
ズザッ!
シュンッ!
大剣を地面に突き刺し、振り抜くことで大きな斬撃を生み出す。
バゴーンッ!
斬撃同士がぶつかり合い、辺りに砂埃が舞う。
その隙を、ミラは狙っていた。
「腹が空いているぞ!
ゴスッ!
斧の刃がない方で腹を打ち抜く。
ズザーッ!
ミラは加減したわけではない。
だが、吹き飛ぶどころか少し後ずさるのみで耐える。
「私の攻撃を余裕で耐えるか、今までのやつとは少し違そうだ。」
「なら、力任せより、スピードだな!
パリーンッ!
筋力の増幅を止め、瞬発力を上げる鎖を引き裂いた。
「俺に追いついてみろ!
グルンッ!
ガギーンッ!ガギーンッ!
逆手と順手で構えた2刀で、男に回転斬りを浴びせる。
だが、やはり硬質化した筋肉には傷が入らない。
「がぁ!!」
「俺ばかり見てると、危険だぜ!」
ピカーンッ!
男とクロウの足元が赤く光る。
「燃え上がれ!
ボァァ!!
クロウは炎が上がる直前に避け、男は炎に包まれる。
「流石に、やりすぎってことはないわよね。」
「雷を打たれてもびくともしてないんだ、まだこれからだろうよ。」
「アレスの作戦は、奴を縛り付けて無理矢理にでも仮面を外させるってことで良いのだな?」
「そうだ、俺は仮面に呑み込まれたとき、アーシェとサリアの声と光が見えた。それを、あいつにも見せてやれば!」
「帰って来れるということか、ではやらせてもらおうか!
ブンッ!
ガギーンッ!
炎が消えるとともに、大ぶりの一撃をミラは叩き込む。
だが、それを読んでいたのか男は拳で受け止める。
「邪魔をするな!死神ども!!」
ガゴーンッ!
ミラを男の蹴りが襲う。
ズザーッ!
その衝撃で、数メートルは吹き飛ばされてしまった。
「ミラ!」
「私のことを気にしてる場合か!チャンスは少ない、早く有言実行するんだ!」
「わ、分かった!無茶はするなよ!
スッ!スッ!スッ!
ジャギンッ!ジャギンッ!
高速に反復で横に飛びながら、2人に見える幻影を生み出し折りたたみ式剣で斬り裂く。
ピシャッ。
初めてではないだろうか、男に刃が通った。
「よしっ、硬化するのが間に合ってねえ、まだいくぜ!!
ザッザッザッザッザッ!
目にも留まらぬ五連撃が、追い打ちをかける。
「うぐ、くそがぁ!!」
バヒューンッ!
体から放たれた風圧で、クロウは吹き飛ばされる。
「はぁ、はぁ、まだまだ!」
ガギーンッ!ガギーンッ!
さらにスピードを上げ、クロウの攻撃が嵐のように降り注ぐ。
「お前、うざい!消えろ!」
ゴスンッ。
「うはっ。」
男の拳がクロウの腹をとらえる。
しかし、
ガシッ!
「は、離せ!」
「いやだね!」
男の拳に絡みつくように、クロウは右腕を拘束する。
「無理やり剥がしてやるーー。」
「させないわよ! 縛り上げろ!
ガゴーンッ!
グルルンッ!
地面から土の鎖が生まれ、左腕と左足を縛り上げる。
「うぐっ、くそっ!」
「今よ!」
「頼む!ミラ!」
「ああ!
ブンッ!
ガギーンッ!
全体重を乗せた一撃が、仮面に直撃。
すると、
ピカーンッ!
眩い光が、3人を包み込む。
「なんだ!?」
「一旦離れるわよ!」
ザッ!
3人は距離を取る。
そこには、
「仮面が!?」
「半分に切れてる。やれたのか?」
「だが、何か様子がおかしいぞ。奴は本当に解放されるのか?」
3人が様子を伺っていると、
「うぅ、ぁぁ!!」
ドタッ。
男は地面に伏せ、苦しみもがく。
「クロウの時と違う、何が起きてるっていうの!?」
「これ以上奴に苦しませるのも酷だ、私がトドメをーー。」
ピキーンッ!
クロウの頭に、何かが流れ込んできた。
(た、す、け、て。)
「っ!?」
ズザッ!
クロウは頭に流れ込んだ言葉を認識するや否や、足が動き出していた。
(何かおかしいのは分かる、けど、このままじゃあいつは!!)
ピカーンッ!
さらに男の光が激しくなる。
「手を伸ばせ!!」
「ぁぁ、あーー。」
(し、に、た、く、な、い。)
さらに、クロウの頭に声が流れ込む。
その瞬間、
ドゴーンッ!
大きな爆発が男から。
「っ!?」
「クロウ!」
ズザッ!
アーシェが咄嗟に走り込み、2人とも地面に伏せる。
バヒューンッ!
爆風は、辺りの岩を吹き飛ばすほど。
そして、あたりは静まり返る。
「っ、アレス!アフロディテ!無事か!」
ミラが2人の元に駆け寄る。
「っ、ええ、なんとか。それよりクロウ!何してるの!あなた、一歩間違えたら死んでたわよ!」
「ぁ、ぁぁ。」
クロウは、手を差し伸ばした状態で仰向けに倒れていた。
「ちょっと、何か言いなさい!これまで無茶するなとか、私に生きろとか言ってるくせに、自分は死ぬつもりなの!」
「助けを、呼ぶ声が聞こえた。」
「なに?」
アーシェとミラは顔を見合わせる。
「あいつは、助けてって、死にたくないって、そう言ってたんだ。だけど、俺は……。」
男がいた場所には、大きな穴が生まれてるのみで姿は欠片も残っていない。
「助け、られなかった。俺は……。」
「クロウ……。」
「アレス……。」
ゴスッ!
クロウは拳を地面に打ち付ける。
「くそっ、何なんだよ、蠢く会って。」
クロウの悲しみの声が溢れる。
頭には、ハーデンのニヤつく顔が。
テーベでもメイリンの口から溢れた、ハーデンの名前。
そして、
「お前なんなんだよ!!」
怒りと悲しみの叫びが何もない、町だった場所に響き渡る。
仮面、蠢く会、はたして何の関係が。
第38章 完
◆◆◆お礼・お願い◆◆◆
第38章まで読んで頂きありがとうございました。
各々役割分担をし、クロウとアーシェはミラとの合流地点へ。
そこには、仮面つけてしまった巨人族が。
なんとか助けようとするも、結果は……。
仮面についてわかる!?
ミラの死神の意味とは!?
レイヴァー応援してるぞ!
と思ってくださいましたら、
ぜひ、レビューの記載
★評価とフォローをお願いします!
ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!
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