第175話 作戦実行
「諦めが悪いな、お前らも同じところに連れてってやる!」
「諦めが悪いのは、レイヴァーの特徴でな!
グルンッ!
ジャキンッ!
大振りな大剣の回転斬りが、手に傷をつける。
(うっ、一瞬だけ2つの鎖を解放しただけなのにこの反動か、やれてあと1回だな。)
ガギーンッ!ガギーンッ!
クロウの攻撃は確実にソーマに通っている。
防御を薄くして、火力に特化した姿が今の形のようだ。
「私に傷をつけたこと、後悔しなさい! 縛り上げろ!
ガシッ!
ドゴーンッ!
地面から岩の鎖が体を巻きつけ、動けなくなった瞬間に闇の波動を打ち込む。
「うはっ。」
「これだけの火力で、まだピンピンしてるわね、この化け物は。」
「こうなれば我慢くらべだ、どっちが先に倒れるかのな!
スッ、スッ、スッ。
ジャギンッ!
高速にサイドステップをし、2人いるか錯覚するスピードに乗せて折りたたみ式剣で切り裂く。
「くそっ、邪魔だ、俺とエリカリットの時間を返せ!」
「何が返せだ、てめえが2人のところから離れて行ったんだろうが!」
ガギーンッ!
2人は距離を取る。
「違う!あの時の王女は、狂ってたんだ。だから、俺の親父はおかしくなっちまった!俺は、親父の生き写しなんだよ!」
「なんでお前が父親と同じにならなきゃいけねえんだ!気付いてるだろ、お前が選んだ道はエリカとサリアから遠ざかる道だって!」
「うるせえ!お前に何が分かる!」
シュンッ!
ピシャンッ!
クロウの頬を黒い枝が掠る。
「クロウ、あなたソーマたちのことについて何か知ってるのね?」
「ああ、みんなには悪いけど、事情は知っちまってる。後でいくらでも謝罪するからよ、今は俺のサポートをしてくれ!」
「……はぁ、薄々怪しいとは思ってたわ。テーベの高級店、食べ放題で手を打ってあげるわ。」
「ははっ、いいぜ、命に比べれば安いもんだな!いや、アーシェの場合は話が違うか?」
「男の二言はかっこ悪いわよ、リーダー。それじゃあ、前だけ見てなさい、あなたに迫る危険は私が全て振り払う。」
ニコッ。
クロウはアーシェを信じきって、笑顔になる。
「邪魔者は、全員消す!」
「やれるもんならやってみろ!この国に住むみんなの意地を、見せてやるぜ!」
スタタタタタッ。
クロウは迷わずソーマに突き進む。
シュンッ!シュンッ!
それを拒もうと、無数の黒い枝が襲いかかる。
「私は約束をまもる、だから、指1本触れさせないわ! 燃やせ!
ボアッボアッボアッ!
ガギーンッ!ガギーンッ!
右手で炎の弾丸を放ちながら、左手に持つ氷の剣で枝を切り落とす。
「くっ、まだまだ!」
「ソーマ!なんでお前は、目の前のことから逃げたんだ!他の選択肢だってあったはずだ!」
「逃げた?違う、俺は父の研究を引き継いだんだ!あいつも途中で逸らなければ、死なずに済んだのに。」
「てめえ、父親にも手をかけたのか!」
ガギーンッ!
2刀とソーマの手が火花を散らす。
「そうさ!俺が引き継いで研究を続けてたのに、あいつは止めようとした!だから、贄になってもらったのさ、研究の果てにたどり着いた真のドリュアスのな!」
「ドリュアス……まさか、ラーゼと父親を使ってお前は!」
「正解だよ、モンスターとエルフの融合!それを俺が使ってテーベを支配する!これで全て上手くいくんだよ!」
「ふざけんな、何も上手くいってないだろ、お前のせいで国のエルフたちは震えて毎日を過ごしてるんだぞ!そんな国、何が正しいっていうんだ!」
ズザーッ!
ガギーンッ!ガギーンッ!
手で吹き飛ばされたクロウは体勢を崩すも、アーシェの力でなんとか耐える。
「国の奴らが怯えなくていいって誰が決めた?力のある奴が国を治める、それが1番楽な方法だろうが!」
「そんなのは国じゃない!人と人が手を差し伸べあって、一つの輪を作って未来を歩く。それが国になるんだ!お前のは国じゃない、ただの地獄だ。」
「俺にとっては最高の国なんだよ!つべこべ言わず、俺の国の贄になりやがれ!」
「クロウ!今のソーマに何言っても止まりそうにない、それに私達も限界が近いわ、一気にいくわよ!」
「……ああ、無理やりにでも止めてやるぜ!」
パキーンッ!
クロウは再び、
これによって、筋力と技術力が増幅した。
「クロの兄さん!ドリュアスや!ドリュアスを砕けば、全て終わる!なんとしてでも探し出すんや!」
「こいつのコアってことか、任せろ!」
ズザッ!
2刀を構え、ソーマの懐に潜る。
「
ジャギンッ!ジャギンッ!
順手と逆手でもった2刀で、連続で回転斬りを浴びせる。
ピシャンッ!ピシャンッ!
クロウも傷を負うが、ソーマも体の部分部分が削られる。
「私の全ての力を使うわ、離れなさい!」
「おう!」
ボァァ!!
アーシェの体の周りに複数の炎が、ふわふわと舞う。
まるで、木から落ちてく桜の様。
そして、
「最大火力よ! 欠片も残さない!
ボァァ!!
ヒュン!ヒュン!ヒュン!
無数の炎でできた桜の花が、矢のようにソーマを突き刺す。
「うぁぁ!!熱い、痛い!」
ソーマはその激しい炎と痛みに苦しみもがく。
パタッ。
魔法を放ったアーシェはその場に座り込む。
「はぁ、はぁ、あとは、任せるわ。」
「任せろ!」
アーシェの攻撃を受けたソーマは、かなり削ぎ落とされていた、
そして、
ピカーンッ!
右肩のところに光る何かが。
「あそこか!」
ズザッ!
ソーマの右肩目掛けクロウは飛ぶ。
「くるな!邪魔者が!」
シュンッ!シュンッ!
黒い枝がクロウに迫る。
「させへんわ! 避けられへんで!
ダダダダダッ!
魔銃から無属性の弾丸が飛び交い、枝を弾く。
しかし、
1本の枝がクロウの顔目掛け突き進む。
「くっ、間に合わへんーー。」
「いや、十分だよ! 光刺せ!
シャキーンッ!
ガゴーンッ!
息絶え絶えになりながらも、ノエルは光魔法の剣で叩き落とす。
「ノエルの兄さん!」
「いけ、クロウ。この国の未来を、切り拓け!」
ノエルの心からの叫びが響く。
「ありがとうな、ノエル、エリカ!ソーマ、ここで終わりにするぞ!
「くっ!」
ジャギーンッ!
2刀の突き刺しが、右肩に直撃。
しかし、
ドリュアスは砕くまではいかず、完全に露出した状態で止まっていた。
そのドリュアスは、真っ黒に光り輝いていた。
「あかん、足らへん、あと1ピースが。」
「はははっ!これで、俺の勝ちだな!邪魔者ども!」
シュンッ!シュンッ!
さらに黒い枝がクロウを襲う。
その距離、3m。
だが、クロウは動じていなかった。
むしろ、微笑んでるように見えた。
「いいや、十分だ。よお、ソーマ。この国を今治めているのは、誰か分かってるか。」
「あっ?そんなの関係ねえよ、この国は俺のものになるーー。」
「そうだよな、テーベを知ろうとしないお前には、分からねえよな!そんじゃあ、見せてやるよ!お前の目の前にな!」
スーッ。
クロウは大きく息を吸う。
そして、
「出番だぜ、アンジュ!!」
クロウの声が部屋に響き渡る。
そして、
「ありがとう、皆さん。この国の行末は、私が受け持たなくちゃならない!」
「っ!?」
サーッ!
天井からレイピアを構えたアンジュが迫ってくる。
「てめえ、なんでそんなところにーー。」
「ソーマ、あなたを救う方法だってあったはずなのに、ごめんなさい。今は、眠ってもらいますわ!」
「や、やめろ!!」
シュピーンッ!
レイピアがドリュアスとぶつかり合う。
「やめやがれ!王女のくせに、これがどれだけ良いものか分からねえのか!」
「分かりませんわ、大切な国民の命を犠牲にしてまで作り出すものに、何も価値は感じませんわ!」
「この国はもう廃れるだけだ!それを王族らしく見守るつもりか!」
「確かに、この国は衰退してる。だから、この国の王女、アンジュ・セレスティアが私の全てをかけて作り直します!皆とともに!」
パキッ。
パリーンッ!
アンジュの一撃がドリュアスに直撃し、真っ二つに砕けた。
「へへっ、最高のタイミングだな、腹黒王女。」
「皆さんのおかげですわ、テーベの救世主方。」
「うぁぁ!!」
ヒューンッ!!
ソーマはみるみるうちに縮まり、元の姿に戻り地面に倒れる。
これで戦いは終わった。
かのように思えた。
第33章 完
◆◆◆お礼・お願い◆◆◆
第33章まで読んで頂きありがとうございました。
レイヴァーは協力してソーマと戦闘。
激闘の果てに勝利を得た、と思ったら?
まだ戦いは終わらない!?
エルフ回も大詰め!
レイヴァー応援してるぞ!
と思ってくださいましたら、
ぜひ、レビューの記載
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ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!
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