第132話 派手な歓迎
「貴様ら、どうやってここに入った。警報も鳴らないとなると、相当手慣れかーー。」
「違うよ、サリアが結界に触れたからだよ。」
スッ。
サリアは1番前に歩み出る。
「同胞、何故そんなことをする。テーベに危険因子を持ち込んで何の意味がある!」
「危険因子なんかじゃない!この人たちは、サリアをなんども助けてくれた、家族だよ!」
「こいつら、まさかエルフの洗脳をしたか?エルフが他種族を信頼をすることなど、もう許されていないのだぞ!」
「あんたがリーダーか?少しはこっちの話を聞いてくれよ、俺たちに敵意はない。」
スッ。
クロウも前にでる。
「人族か……しかも、貴様はオールドタイプか。良い噂を聞かない存在だな、そんなものの話を聞く耳などーー。」
「ないものの証明って難しいよな。そんじゃあ、これでどうだ?」
カチャッ。
ストンッ。
クロウはグローブ、大剣、双刀、折りたたみ式剣を外す。
「クロウ、流石にそこまでするのは。」
「信頼を勝ち取るためだ、みんなも頼む。」
「……ああ、クロウガルトに従うよ。」
カチャッ、カチャッ。
他3人も武器を外す。
「そんなことをしてまで、ここから立ち去れ!そのエルフを置いてな!」
「嫌だね、サリアは俺たちの家族だからな。それに、帰すつもりもないんだろ?」
「なにを言っているんだ?」
「今話してる間に、俺たちの背後に弓持ちを10人配置したな。サリアだけ回収して、俺たちは消したいんだろ?」
「くっ、流石に鋭いな。」
スッ。
レイヴァーが周りを向くと、他のエルフの姿が。
「なら、目的を言え。聞くだけ聞いてやろう。」
「私たちの目的は2つよ。1つ目は、アンジュ王女との謁見。2つ目は、ソーマっていう黒いエルフと話がある、アテナイの町が彼によって壊されたからね。」
「よく見れば、魔族の女もいるのか。……そして、ソーマを知っているということはこちらにも少し精通してるようだな。」
「僕たちは話をしたいだけなんです!サラミスが、アテナイから1番近い町と聞いたから、ここまできただけで。」
「ふむっ、そうか。」
正面のエルフが考え始める。
スサーッ。
静かな風が、レイヴァーの髪を揺らす。
(頼む、俺たちはここで騒ぎを起こしたいんじゃない、届いてくれ。)
しかし、1人のエルフがあることに気づく。
「待ってください、リーダー!思い出しました、そのエルフは、サリアリット・アルテミスです!
「なに!?」
「同胞の仇です!ここで排除します!」
クイッ。
パシュンッ!
矢がサリアの顔面目掛け背後から迫る。
「サリア!!」
クロウの声が響く。
グサッ。
矢は刺さった。
アーシェの右腕に。
「なにっ!?」
「ア、アーちゃん!!」
「うぐっ、何してくれてるのかしら、あなたは!同胞と言っておきながら、私の大切な仲間を排除しようなんて!」
「アーシェ!」
(くそっ、これじゃあ埒が開かない。全員で違う町まで逃げるか、けど、アーシェの出血もある。どうする……。)
ギリッ。
アーシェ以外の3人は、戦闘態勢に入ろうとする。
だが、
「私は平気よ、それより、あなた達に聞かせたいことがあるわ!」
ズッ。
アーシェは血を流しながら前に進む。
「くっ、魔族が!私たちに何を聞かせると言うのだ!」
「あなた達は、仲間に裏切られたことある?信頼して欲しい人たちから、射られたことある?」
「そんなことする訳ないだろ!私たちは、仲間を大切にす……。」
「それは嘘よ!大切にするなら、サリーに矢を射るわけない!裏切られることの辛さも知らずに、よく射てたものね!」
「う、うるさい!説教など生意気なーー。」
ギリッ。
エルフは全員矢をつがえる。
「あなた達は、サリーが
「何を言っている、あの町のエルフは全滅した!見てる訳ないだろ!」
「それじゃあ、本当にサリーがやったって言う証拠もないのに、勝手に決めつけて殺そうとしたのね。このクズが!」
「な、貴様に言われる筋合いはーー。」
「私たちは敵意がないことを証明しようと努力したわ。次はあなた達も見せてみなさい、サリーが事件の犯人だっていう証拠を!」
グッ。
リーダーのエルフは歯を食いしばる。
何も言えなかった、教え込まれたことをただ実践してただけなのだから。
「その反応、やっぱり考えたことなかったのね。あなた達も考えることをやめて周りに流された愚かな存在。なら、私たちもやることは1つだわ。」
「何をする気だ。」
「魔族が怖いのなら、私を殺しなさい。オールドタイプが怖いなら、クロウを殺しなさい。ただ、忘れないことよ、家族を殺された他の家族が次にする行動は何か分かるわよね。」
「……それでも、私たちは昔から。」
「考えることをやめてはいけないわ!考えることをやめたら、自分を苦しめる、世界を壊していく、いいことなんて何もないわ!あなた達の目で見たもので、判断しなさい!私からは、以上よ。」
ポタッ。ポタッ。
アーシェの血が流れる音が小さく響く。
エルフ達は考えていた、何が正解なのか。
そして、
「分かった、私はこの町のリーダーのミリア。貴様らを町に入れよう。ただ忘れるな、変な動きを見せたら即排除する。それが条件だ。」
「ちょっと待てよ、俺からもう1つ条件を出す。」
「この後に及んでなんだ?」
「アーシェの怪我治療をさせろ、俺の大切なものにてめえらがつけた傷だ。」
「分かった、中に入れ。」
スタッ、スタッ、スタッ。
レイヴァーはなんとかエルフ達と話し合い、サラミスの町中に入っていく。
レイヴァーは王女アンジュと出会えるのか、ソーマの情報は得られるのか。
第25章 完
◆◆◆お礼・お願い◆◆◆
第25章まで読んで頂きありがとうございました。
修行を終え、リィンの覚悟も確認し、レイヴァーはテーベに入る。
しかし、エルフには歓迎されずアーシェは怪我を負う。
話し合いの結果、町に入れたレイヴァーだがこの先どうなるのか。
エルフのことがわかる!?
また戦いが!?
レイヴァー応援してるぞ!
と思ってくださいましたら、
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ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!
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