第128話 レイヴァーの選択
「リィン、これはどこで手に入れたんだ?」
「私が直接見つけたんじゃないんです、エデッサに応援に行ってそしたら町の入り口でこの紙が落ちてたってお父さんが。」
「ダイカンが見つけたのね。私たちがソーマと戦ったのはエデッサ、もしかしたらその時には落としてたのかもしれないわね。」
「いったい、何者なんですか?この手紙の書き主は。」
スタタタタッ。
ジュールがレイヴァーの元へ走る。
「みんな、無事ですか?」
「ああ、ティーヴァも被害は平気そうか?」
「おかげさまで、誰1人失うことなく終えられたよ、本当にありがとう。……ところで、こちらの方は?」
「あ、申し遅れました。あたしは、リィン・キヒです、ナウサの受付嬢なんですが、訳あってレイヴァーの皆さんにお伝えしないといけないことがあって参りました。」
「であれば、ここのギルドを使うといいよ。僕たちは周りを片付けてるから、傷を癒してくれ。」
スタッ、スタッ、スタッ。
ジュールは他の戦士をまとめ上げ、戦いの後処理をする。
「せっかくだ、ギルド使わせてもらおうぜ。」
「の前に!クロウは治療してからよ、私が連れてくから3人は先行ってて。」
「付き添いなんてなくても1人で行けるってのーー。」
グリッ。
アーシェはクロウの腕をつねる。
(話したいことがあるのよ、察しなさい。)
(もう少し優しく伝えろよ、不器用さん!)
「分かった、じゃあ先に行こうか。」
「サリア達のこれからの行動も決めないとだからね、リィンちゃんも知識貸して!」
「もちろんです!軍師として、お役に立って見せます!」
スタッ、スタッ。
3人はギルドに向かう。
「じゃあ、治療室に向かうか。」
「ええ、そうしましょう。」
スタッ、スタッ。
2人は治療室に移動して、クロウは治療を受け足の包帯を巻き直し、処置を完了してもらった。
そして、外に出てくると、
「終わったの?」
「ああ、怪我は回復してないから無理はするなってさ。」
「当たり前でしょ、ただでさえ無理するんだから、あなたは。」
「はいはい、気をつけるよ。」
スタッ、スタッ。
2人はギルドに向かう途中で、一つ話し合いをしていた。
「あの手紙、どう思う?」
「まあ、サリアというかエリカをソーマが欲しがってるように見えた。多分、エリカとソーマは何か深い関係がある、因縁も含めてな。」
「私も同意よ、ただ不安なのはソーマもあのモンスターも桁違いに強いということ、ソーマとの戦いの後からエリカリットの反応もない、今の私たちだけで平気かしら。」
「まさか、リィンを連れて行くなんて言わないよな?」
ズザッ。
クロウは足を止める。
「正直、迷っているわ。彼女は戦士としても強いし私たちの誰よりも頭が良い。それに、日に日に魔力が増してるのをみると、何かしらの修行を積んでるように思えるわ。」
「例えそうだとしても、テーベがどんな場所かは俺たちもわからない。そんな危険なところに、リィンを連れて行くのか?」
「彼女もレイヴァーに入ろうとしてる、先に経験しても悪いことではないと思うわ。」
「……確かにチャレンジするのは大切だと思う。でも、今回連れて行くのはチャレンジじゃなくて無謀としか思えないんだ。」
「まあ、それもそうね。それじゃあ、彼女の意思を尊重しましょう、そこまで曲げる権利は私たちにはないわ。」
キィーッ。
ギルドのドアを開けると、ジュールを含めて4人が会議していた。
「あっ、戻ってきたね。クロウくんは足大丈夫かい?」
「ああ、激しい動きだけするなっては言われたけどな。」
「クロウさん、また無茶した訳じゃありませんよね?」
「それは安心して、リィンの教えの通り私たちが無茶をさせないから。それで、何を話していたの?」
バサッ。
テーブルの上にマップが広げられた。
「このマップはどこだ?」
「テーベだよ、サリアの生まれたね。」
「てことは、私たちのこれからの目標は。」
「そう、僕たちは手紙に書いてある通りソーマに会いに行こうと考えてる。2人の意見も聞かせてほしい。」
スッ。
クロウとアーシェに視線が集まる。
「ちなみに、向かうならメンバーはどうするつもりだ?」
「もちろん、サリア達4人だよ。で、リィンちゃんには作戦を出発するまでに考えてもらうことにしたの。」
「はい、本当はあたしもついていこうとしてたんですが、今のあたしでは足を引っ張ってしまうと思って。だから、出発するまでに少しでも多くの可能性を引き出そうと思います。」
「出発は2日後がいいと思うよ、僕がみんなに
スッ。
クロウとアーシェは目を合わせる。
「分かった、俺は異論ないぜ。」
「私も賛成だわ、なんとかこの2日で私とサリーも力を扱えるようにしときたいわね。」
「じゃあ、会議はこれで終わりかな。」
「そしたら、この町の復旧だけ手伝ってもらってもいいかな?少し手間取ってて。」
「それくらい任せてくれ、行こうぜみんな。」
キィーッ。
ドアを開け、外に皆が出る途中、
ガシッ。
リィンがクロウの手を掴む。
「あの、クロウさん。」
「どうした、リィン?」
「今日の夜、お時間もらえますか?」
「ん?ああ、構わないぜ。それじゃあ、俺たちのいる宿に泊まって今日の夜話するでいいか?」
「はい、お願いします。」
リィンの顔は、とても真剣だった。
彼女が伝えたいこととは。
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