第116話 最大の力
「アトラース家?知らねえ家だな、それより俺の邪魔をしたんだ。覚悟はできてんだろうな!でか女!」
「いくらでもできているぞ、貴様を斬り伏せる準備はな!」
ズザッ!
ミラはソーマに突進する。
「赤髪の姉さん、気をつけるんや!そいつは、倒すことはできんーー。」
「分かっているさ、倒せないなら動けなくなるまで切り刻めばいい!
グルンッ!
ジャギンッ!
大きな斧の回転斬りがソーマを襲う。
「うぐっ、重てえ斧だな。これが女の力か?」
「それは差別的発言だな、それに私はこれでも加減しているぞ!黒エルフ!」
ガゴーンッ!
ソーマは吹き飛ばされる。
心なしか、最初より火力も落ちているようだ。
「つ、強い、何者なんやあんたは。」
「まあ、アレスと面識がある者だ。後で詳しく話す、まずはこいつを止める!」
ガギーンッ!ガギーンッ!
さらにミラがソーマを押していく。
「ちっ、エリカリットとは違うふざけたやつだ、厄介すぎるぜ、くそが。」
「貴様、不死身に似た何かなのかもしれないが、体力の消費はしてるんだろ?動きが鈍いぞ!
ガゴーンッ!
ピシャンッ!
斧の縦斬りで体を切り裂く。
「うぐっ、ちっ!」
ズザッ!
ソーマは不利と感じ、少し距離を取る。
「そんなものか、早くしないと貴様の手でこの子は殺せないよ。私が守ってしまうから。」
「くそっ、なら、ラーゼを呼び寄せてーー。」
ズザッ!
ソーマはラーゼの方を向く。
「そうはさせないさ、アレス、私を感じろ。」
ピキーンッ!
クロウの頭の中に一つのビジョンが浮かぶ。
「この感じ、まさか来てるのか、ミラ。」
「どうしたのクロウ?早くこいつを倒さないとーー。」
「分かってる、けど、選手交代だ!」
ズザッ!
クロウは瞬時にエリカリットの方へ走る。
すると、
「ボロボロだな、それとも貴様のファッションか?アレス。」
「うるせえ、あのモンスターは格が違う、けど俺が知ってるお前には託せそうだ。任せるぞ、ミラ。」
「ああ、任せておけ。」
シュンッ!
2人は交差し、
「
バゴーンッ!!
ミラの一撃が、ラーゼの足を切り裂く。
「ガルゥ!?」
ドダンッ。
ラーゼはバランスを崩し、片膝をつく。
「何、今のは。」
「見えないスピード、破壊力の高い一撃、同じ人族なのか?」
「アレスに代わって私が相手しよう。お前達、あいつの足を止める力は残ってるか?」
ズザッ!
ミラが斧を構える。
「あなたが、あいつを倒すというの?」
「倒せるかはわからない、けど、あの耳を削げば動きが遅くなるようだ。だから、3秒だけ止めて欲しい。」
「なかなか厳しい注文だね、まあ、やってみるさ。」
「ええ、なんだか分からないけどあなたを信じる価値はありそうだわ。」
スタッ。
ボロボロの体を引きずり、2人は立ち上がる。
「2人はアレスの信頼してる仲間と見た、任せるぞ!」
ズザッ!
ミラは斧を担ぎ突撃する。
「最後の力を振り絞るわよ、ノエルランス!」
「ああ、わかってる!」
シュイーンッ!
2人は残りの力を溜め込む。
そして、
「ガルゥゥ!!」
シュンッ!シュンッ!
ラーゼは風魔法を纏い、斬撃を複数飛ばしてくる。
ガギーンッ!ガギーンッ!
ミラは斧で2人に向かう魔法を切り落とす。
「あの人、私たちを守ってくれてる。今なら! 縛り上げろ!
ガゴゴゴゴッ!
ガシッ!
壁や地面から岩の鎖が生まれ、ラーゼの手足を縛る。
「ガルァァ!!」
「やらせないよ!
グルルンッ!
ガゴーンッ!ガゴーンッ!
口に溜め込んだ魔法を霧散させるために、横回転しながら口を閉じさせる。
そして、
「さすが、アレスの仲間だ。
スッ!
ガギーンッ!
ミラの大きな縦斬りがもう片方の耳を落とす。
ポトンッ。
「ガルゥゥ!!」
痛みに苦しむラーゼ。
ドシンッ、ドシンッ。
地面に頭を打ちつけ、もがく。
「よしっ、少しは落ち着かせられたか。後は。」
ミラはクロウ達の方を向く。
フラッ、フラッ。
ソーマは少しふらつきながら立ち上がる。
「えほっ、えほっ。流石にあのでか女の技は効いたが、エリカリットだけは連れて帰れるーー。」
ズザーッ!
クロウがエリカリットの前にたどり着く。
「よお、エリカリット、悪い遅刻しちまったな。」
「クロの兄さん、そんな体で戦うつもりなんか?」
「それはお前も同じだろ。ただ、チャンスは今だけだ。やれるか?」
「えほっ、えほっ。ああ、やったるわ。」
ズザッ。
2人は武器を構える。
「くそ、くそ、くそ!さっきからなんだよ!邪魔すんなよゴミが!」
バヒューンッ!
ソーマもさらに力を解放する。
だが、ミラの攻撃を受けて無理をしていることは一目瞭然。
「エリカリ……ああ、めんどくせぇ。エリカ!10秒だ、10秒で終わらせるぞ!」
「エリカ!?ええで、分かったわ。うちもそれくらいなら持たせられる。」
「最高だ。そんじゃあ、2つ目の鎖を同時に解放するかな。
バゴーンッ!
クロウは憤怒と歓喜の鎖を同時に解放した。
今の瞬間、力と瞬発力は誰よりも高い。
「うちもいくで! 踊れ!
ファサァ!
周りの花や葉っぱで、傷を一時的に塞ぐ。
そして、
シュンッ!
2人は弾丸を超えたスピードで迫る。
「くそがぁ!!邪魔をするなら、消し去ってやるよ!!」
バゴーンッ!
地面や壁から黒い根が生え、2人を狙う。
「エリカ!やることは分かるな!」
「もちろんや、サリアリットの中からよく見てたさかい!任せてもらうで!」
ガギーンッ!ガギーンッ!
根を弾きつつ、2人は距離を詰める。
「うぉぉ!!もう死んじまえよ!」
シュンッ!シュンッ!シュンッ!
辺りに転がる枝も2人を狙う。
「今だ!」
シュンッ!
2人は空高く飛び、
「可憐な花には、鋭い棘があるんやで。」
「気をつけな!
ボワァァ!!
ザシュンッ!
赤い薔薇で覆われたソーマを、頭上からクロウの殴りとエリカのダガーが突き刺さる。
「ぐはっ!」
ヨタッ、ヨタッ、ヨタッ。
ソーマは肩から斬られた傷を修復できない。
ポタッ、ポタッ。
だが、クロウとエリカリットからも多くの血が。
「くそっ、俺はまだ死んじゃいけねえ存在だ!ラーゼ!戻れ!」
「ガルゥゥ!」
ドダダダダッ!!
ガシッ!
ラーゼはソーマを掴み、戦車が通るように重く早く走り抜けていく。
「な、待てーー。」
「エリカ!」
パタンッ。
エリカリットはサリアに戻り気を失う。
激しい戦いは終わりを迎えた。
「えほっ、えほっ。くそっ、体が動かないーー。」
ガシッ。
クロウは倒れる直前に支えられる。
「全く、無理をするのは本当にフェルナンドさんと同じだな。」
「ははっ、父さんに似てるなら、許してくれ。ミラ、助かった、ぜ。」
ガクッ。
クロウも気を失う。
「私は、皆に謝らなくてはいけない。着くのが遅くなりすぎた。」
スッ。
辺りをミラは見渡す。
なんとか勝利を収めたが、エデッサは破壊し尽くされていた。
そして、ミラがエデッサに来た理由とは。
第22章 完
◆◆◆お礼・お願い◆◆◆
第22章まで読んで頂きありがとうございました。
黒いエルフであった、ソーマはエリカリットと激戦を繰り広げる。
そして、ラーゼというモンスターも現れレイヴァーは苦戦。
そこに、ミラも現れなんとか退けることに成功するが、果たしてこの先何が。
サリアとエリカのことがわかる?
少し休憩かも!?
レイヴァー応援してるぞ!
と思ってくださいましたら、
ぜひ、レビューの記載
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ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!
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