第110話 助けを求める声
続けて、クロウとサリアサイド。
ゴーレムはまず、サリアに狙いを定め突撃する。
「あれ、この子は女の子が好きなのかな?」
「100歳オーバーが、女の子って歳じゃねえだろ。」
「むかっ、アーちゃんと同じく後でエデッサのスイーツ全部奢ってもらいます!」
「真実は時として不幸だ。」
ズザッ!
サリアの頭上にゴーレムの大きな拳が。
「スピードがないなら! 削り取れ!
バサッ!
ガギーンッ!
葉っぱのドリルが拳を迎え撃つ。
そして、ゴーレムの側面に回り込み
「
グルルンッ!
チャキンッ!チャキンッ!チャキンッ!
縦回転しながら、体全体に傷をつける。
「やっぱり皮膚が硬いね、これくらいのダメージじゃ意味がないーー。」
「サリア!俺に合わせろ!」
「えっ!?」
ズザッ!
クロウは空高く飛び上がっていた。
「もう、アドリブばかりはやめてって前話したのに!」
スタッ。
サリアはクロウの大剣に向けて手を伸ばす。
シュワーンッ。
徐々に大剣に魔力が溜まっていく。
そして、
「みんなの加護をクロくんに!」
「一気に叩き込む!
グッ!
ジャギンッ!
魔力によってさらに切れ味の上がった一撃が、ゴーレムの上半身に深い傷をつける。
「うがぁ!!」
「さすがに効いただろ!」
「もう、クロくん後でいろんなことの反省会ね!」
「結果オーライってことで見逃してくれ!」
ズザッ!
かなりの深手を追ったゴーレムがのそりと起き上がる。
「ちっ、まだ倒しきれなかったか……っ!?」
「見て!クロくん、ゴーレムの傷が。」
ジワジワジワッ。
深く切り付けられた傷が、みるみるうちに塞がっていく。
そして、傷なんてなかったかのように。
「ああ、治ってやがる。ノエルの兄貴と同じ現象だ。」
「がぁぁ!!」
バヒューンッ!
ゴーレムの雄叫びが、辺りに響き渡り風圧も伴う。
「どうする、クロくん。回復するやつに、勝てる方法なんてある?」
「ただ、確かに斬ったっていう感覚はあった。それに、しっかりと痛みも感じてた、なら、一気に畳み掛けるしかないんじゃねえか?」
「クロくんらしい、脳筋なやり方だね。」
「わかりやすいやり方って言え!いけるな、サリア!」
「うん、任せて!」
ズザッ!
2人は正面からゴーレムに接近する。
「がぁぁ!!」
ブンッ!
大きな足で、2人を弾きにくる。
「力比べしようぜ!
ズザッ!
ガギーンッ!
大剣を構えた渾身のジャンプ斬りが、迫る足と鍔迫り合う。
「さすがに重いな、けど!」
「顔面ガラ空き! 撃ち抜け、空の彼方まで!
ヒュイーンッ!!
ドガンッ!
無属性魔法の砲弾が顔面に突き進む。
「がぁぁぁ!!」
シュインッ!
ゴーレムの咆哮によって、魔法の弾丸が跳ね返される。
「うそっ!」
バゴーンッ!
サリアの近くで大きな爆発が。
「サリア!」
「がぁ!」
「うおあ!!」
ガギーンッ!
ズザーッ!
サリアは爆風に吹き飛ばされ、足蹴りに押し切られたクロウも地面を転がる。
「くそっ、今のは行けたと思ったんだけどな。」
「えほっ。ごめんクロくん、サリアの火力が足りなかった。」
「いいや、サリアのせいじゃねえよ。俺の指示が悪かった、けど、おかげで活路が見出せたぜ。」
「え、本当?」
ポタッ、ポタッ。
2人は怪我を負い、血を流す。
「ああ、こいつにはスピードはないが反射神経とパワーは一級品だ。だったら、追いつけないほど俺たちがギアを上げればいい!」
「そんなこと、一歩間違えたらお互いを斬ることになっちゃうよ!」
「俺はサリアを信じられるぜ、俺たちの信頼関係はかなり固いものだって。お前はどうだ?」
「……うー、もう!そんなこと言われたら、無理にでもやり通すしかないじゃん!分かったよ、サリアもやり遂げる!」
「最高だ、そんじゃあサリア、一緒に踊ろうぜ!」
シュッ!!
2人はトップスピードで突撃する。
「がぁぁ!!」
「来いよ、俺たちが捉えられるならな!
スッ!
チャキンッ!
折りたたみ式剣の突き攻撃で、右手を抑える。
ピカンッ!
ゴーレムの背後から光が。
「
シュッ!
シャキンッ!
走り抜けざまに横腹に切り傷をつける。
「まだまだ上げてくぜ!
「頑張って合わせてあげるよ!
ザシュ!ザシュ!ザシュ!
グルルンッ!
ジャギンッ!ジャギンッ!
小刻みに動いた大剣の連撃と、全身を駆け巡るようなダガーの回転斬りがさらにダメージを与える。
「うぐぉぉ!!」
ゴーレムは咆哮をあげようと口を開く。
しかし、
「お口はチャックで頼む!
シュッ!
グサッ。
1本の刀を口に投げつけ、頸側からもう1本で刺す。
口の中に遺物が入ったことで、何も発せない。
「うがぁ!?」
「次はサリアだよ!
スチャッ。
シャキーン!
腰にダガーを戻し、引き抜くと同時に、両足を居合斬りでさらに傷を与える。
「さあ、仕上げだ!」
「うん!」
ズザッ!
2人はゴーレムに突撃し、
「捉えられるか!」
「サリア達の
ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!
2刀とダガーの乱打がお互いがぶつかり合わないように、全身に刻んでいく。
「うがぁぁぁ!!」
「終わりにするぞ、ゴーレム!」
「ごめんね、ゆっくり休んで。」
ジャキンッ!
2人が切り抜けると、ゴーレムは白い砂になる。
クロウとサリアもなんとか倒せた。
「ふぅ、これでエデッサは平気か。」
「そうだね、アーちゃん達も倒せたみたいだし早く街に戻ろうかーー。」
ピキーンッ!
サリアの中に奇妙な感覚が流れ込む。
「なに、これ?」
「どうした?」
タッタッタッ。
少し離れたところから、2人の男女が走ってくる。
エデッサから来たのだろう。
「お兄さん達!大変なんだ!」
「町が!町が!」
2人はとても焦った顔で話す。
息を切らし、全力で走ってきたことが窺える。
「どういうことだ?エデッサに何か?」
「とにかくやばいんです!エルフの人もいて、色々めちゃくちゃで!」
「エルフ……嘘でしょ、そんな。」
レイヴァーを待ち受ける者とはいったい。
第21章 完
◆◆◆お礼・お願い◆◆◆
第21章まで読んで頂きありがとうございました。
ノエルの過去を知り、レイヴァーに正式に加入したノエル。
エデッサで蠢く会について調べていると、外ではゴーレムが。
そして、倒した先に町からの助けの声。
彼らに何が待ち受けるのか?
次はサリアの話!?
さらなる戦いが!?
レイヴァー応援してるぞ!
と思ってくださいましたら、
ぜひ、レビューの記載
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ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!
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