第104話 彼の動き
「兄さん、やっぱり僕にはわからない!この世界を壊してまで、蠢く会は何を求めているんだ!」
「そんなの簡単だ、白き世界に作り変えることで争いのない平和な世が作れるんだ!それこそが、この世界が目指すべき姿だ!」
「だからって、そこに至るまでに何人この国に生きる人を死なせるつもりだ!どんな人にも、他人の命を勝手に使う権利なんてない!」
ガギーンッ!
拳と薙刀がぶつかり合う。
「本当にそう思うか?お前も感じてるだろ、ハーデン様はこの世界にいる他の奴らとは全く違う!あの方は、人を超えられた方だ!」
「何言ってるんだよ、もしそれが本当なら!新しい種族に世界を任せることになる!ハーデンをそこまで信頼できるのか!」
「俺は出来るね!あの方は、間違えを犯さない!あの方の指示は全て正しい、おかげで多くの町が救われたのも事実だ!」
「ふざけるな!あの救い方は間違っている!町の秩序を乱すからって、その人達の意見も聞かずに殺すのは解決じゃない、ただの圧政だ!」
バチバチバチッ!
さらに2人の武器が火花を散らす。
「はあ、お前はもっと賢いと思ってたんだけどな、分かり合えないようじゃあここで殺すしかねえな!あの方にも報告しといてやるよ!」
ズザッ!
ガギーンッ!
傷が癒えたカイアスが、ノエルを吹き飛ばす。
「えほっ、えほっ。やはり傷が回復してる、不死身なんて何が起きてるんだーー。」
「教えてやろうか、冥土の土産に!」
シュッ!
カイアスの薙刀がノエルの顔面の目の前にまで迫る。
その瞬間、
バギーンッ!
「よお、俺の仲間を勝手に殺さないでくれるか、ノエルの兄貴!
グルンッ!
ガギーンッ!
薙刀をクロウの2刀が弾き、そのままカイアスを吹き飛ばす。
「ちっ、あと少しで殺せたのによ!邪魔してくれるじゃねえか、クロウガルト!」
「お前、何も躊躇しなかったな、自分の弟を殺すことによ。」
「当たり前だろ、俺たちと同じ道を辿れない奴は邪魔者だ、殺すしか手はない!」
「なんでそう考えるんだ!意見が違うからって全て拒んでたら、世界の均衡が崩れちまう!至る所で戦争が起きて、平和とはかけ離れた世界になってしまう!」
ズザッ!
ガギーンッ!ガギーンッ!
2刀と薙刀が激しくぶつかり合う。
「だからだよ!均衡が壊れて争いが起きるなら、全て一つにしてしまえばいい!そうすれば、世界は平和になる!」
「そのためにこの世界の生命を全て消すってか!そんなこと許されると思ってんのか!」
「誰にも許しなんてもらう必要はない!ハーデン様が、この世界の神になるんだから!」
「狂ってやがるな、てめえら!
ズザッ!
ガギーンッ!
2刀のジャンプ斬りを薙刀でなんとか受け止める。
「ほらほら、怒りが芽生えてきただろ!そのままあの姿のお前になっちまえよ!」
「悪いな、あの姿にはなりたくないんで、俺達の力で止めてやるよ!」
「俺たち?」
「後ろだよ、兄さん!
ズバッ。
ドーンッ!
右手3本の指を腹に刺し、そこから衝撃波のようなものを出し吹き飛ばす。
「げほっ、うっ。へぇ、さすが無駄に仲間を語ってはいないみたいだな。」
「当たり前だろ、お前みたいな奴らに世界を壊されて俺たちの居場所をとられる予定はないんでな!俺たちで止めてやるよ!」
「はぁ、やっぱお前は話してないんだな、そりゃそうか。……そろそろ時間か。」
フワッ。
ヒュイーンッ!
カイアスは空高く浮かぶと、闇のホールを空中に生み出す。
「逃げるのか、目の前に殺す目標が2体もいるのによ!」
「まあそう焦るなよ、お前たちは俺が必ずトドメを刺してやる。けど、それは今じゃない、その時は必ずやってくる。」
「兄さん、本当に蠢く会が世界を変えれると思ってるんだね?」
「当たり前だ、ノエルも気をつけろよ。俺たちの計画は第2段階に入っている、モタモタしてると危険だぜ。」
シュインッ!
カイアスは闇の中に消えていく。
戦闘は終わり、辺りには静かな風が流れる、
「ふう、なんとか無事に終わったな。アーシェ達を追わせなかったんだし、俺たちの勝ちでいいよな?」
「ああ、そうだね。」
ギリッ。
ノエルの拳に力が入る。
「……なあ、ノエル。全てを話して欲しいなんてことは言わない、ただ、俺が力になれることがあるならなんでもいいから話してくれ。」
「クロウガルト……。」
「お前、さっき言ってくれただろ?1人でどうにかしようとしないで分け合えばいいって。それは、お前も同じだ、まずは2人で、それでも大き過ぎたらアーシェとサリアにも頼んで4人で背負おうぜ。」
ニコッ。
クロウは優しく微笑みかける。
「……本当、君って人は優しいね。そしたら1つ、お願いをしてもいいかな?」
「なんだ?」
「僕を、レイヴァーに入れて欲しいんだ。」
ノエルの決意を表した発言。
果たしてクロウが導き出す答えとは。
第20章 完
◆◆◆お礼・お願い◆◆◆
第20章まで読んで頂きありがとうございました。
魔族大使館を調べると、ゴーレムについての資料が。
持ち帰る途中に、ノエルの兄カイアスに襲われる。
なんとか退けると、ノエルの決意を聞くことになったクロウ、彼の答えとは。
レイヴァー戦力アップ?
まだゆっくりはできない?
レイヴァー応援してるぞ!
と思ってくださいましたら、
ぜひ、レビューの記載
★評価とフォローをお願いします!
ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます