第99話 第2段階

まずは、サリアとノエルの戦闘。


巨大なサーベルウルフは、体長5mほどあり、通常個体の5倍ほどのサイズ感。

牙が地面に刺さりそうなほどの長さで伸び、頑丈な尻尾、鋭くギザギザに伸びた爪も特徴的な全身白毛のモンスター。


「ワオオ!!」

「サリアリット!弱点は分かるかい?」

「通常個体と同じだったら、お腹側からお尻の辺りの弱点の骨を攻撃するのが最善だよ!」

「お腹側、つまり高く飛ばせるか、打ち上げないといけないね。」


ズンッ!

まばたきした瞬間に、サーベルウルフの爪がノエルの目の前に迫る。


「ちっ! ゴウ一の型イチノカタ竿ロッド!」


スルッ!

バゴーンッ!

竿のようにしならせた足蹴りが、爪を弾き返す。


「なんとか体勢を崩すよ! 刺せ!ニードル!」


シュンッ!シュンッ!シュンッ!


複数の枝が、棘のように尖り迫る。


キンッ、キンッ。

見た目以上に固い皮膚は、全くダメージを負っていない。


「なるほど、防御力もかなりなものってことか。」

「ならっ! 避けられるかな!光線の連射ビームマシンガン!」


ダダダダダッ!

無属性の魔弾が、魔銃より射出される。


「ウガァ、ァァ!!」

「ノエルランスくん!」

「分かった! ジン四の型ヨンノカタ豪弾マグナム!」


ズザッ!

ドゴーンッ!

渾身の右腕が、サーベルウルフの右足をとらえる。



しかし、


「う、動かない?」

「嘘でしょ、っ!?避けて!」

「くっ!」


ガゴーンッ!

鞭のように鋭い尻尾が、ノエルを弾き飛ばす。


「ノエルランスくん!くっ。」


ズザッ!

シュッ!シュッ!

サリアを倒そうと、その鋭い爪で引き裂こうと連撃を仕掛けてくる。


「速い、それに正確、これじゃあ、攻撃のタイミングがーー。」

「ガァァ!」

「嘘でしょ!?」


ヒュイーンッ!!

ボァァ!!

大きく開かれた方から、炎の大きな弾丸が射出される。


ズザーッ!

なんとか反射で避けたが、右手を火傷で負傷する。


「危ない、あと1秒遅かったらアーちゃんにされる前にウェルダンだった。」

「サリアリット!無事か!」


サーベルウルフを挟む形で、ノエルの声が響く。


「うん、ノエルランスくんは?」

「僕も平気だ、あと1個、君に頼みたいことがある。」

「何をする気?」

「僕に合わせてくれないか?君は他の2人よりもよく周りを見ている、なら、可能性があるんじゃないかと思うんだ。」

「ノエルランスくんに合わせる、何か作戦があるんだね、やってやるよ!」


ズザッ!

ノエルはサーベルウルフの背後から、瞬足で迫る。


「ガァァ!」

「ふんっ、もう当たってやらないよ!」


ズザーッ!

高速に迫る爪をスライディングで避け、サーベルウルフの横腹の位置に構える。


「どれだけ外が硬くても、内側は脆いものだろ! ジン五の型ゴノカタ砲弾キャノン!」


スッ!

バゴーンッ!

両手の掌底突きが、横腹を突き刺す。


「ガウッ!」


グッ!

痛みを堪えるが、サーベルウルフの顎が上がる。


「やるなら今だね!  陸の舞ロクノマイ希望の夢想曲ホープトロイメライ!」


ギュイーンッ!

ズシャン!

ドリルのように回転しながら、顎を捉える。


ザッ!

さらに両前足が浮き、腹が露わになる。



「ノエルランスくん!」

「ああ、任せて! ゴウ三の型サンノカタサイス!」


ブンッ!

ズシャン!

鎌のように振り抜かれた足蹴りが、弱点を捉える。


「ガフッ!」


シュイーンッ。

サーベルウルフは倒れ、素材として落ちる。


「ふう、なんとかなったね。」

「ああ、助かったよ、サリアリット。」

「お互い様だよ!」


スッ!

サリアはノエルに向け片手を上げる。


「ん?あ、そうか。」


スッ。

パンッ。

2人はハイタッチをして、戦闘を終える。





場面は変わり、クロウとアーシェの戦い。



「ほらほら!もっと殺す気でこないと、僕に命取られちゃうよ!」

「そんな安い命じゃないんだよ、お前にくれてやるつもりはねえ!  雨の音アメノオト四式シシキ叢雨ムラクモ!」

「ひひっ!」


ガギーンッ!

折りたたみ式剣の突き刺しと、メイスがぶつかり合う。


「本当、オールドタイプって身体が強いんだね!今までの奴らは、僕のメイスを2度受け止めることすら出来なかったのに!」

「他のやつと同じだと思ってたら、痛い目見るぜ!」

「あははっ!じゃあ、僕ももっとーー。」

「私を仲間外れにするのはどうかと思うわよ! 刈り取れ!風刃カッター!」


ブオンッ!

ガギーンッ!

風魔法の刃を、メイスを持つ逆の腕で受け止める。


そこには防具が付けられており、なかなかの強度のようだ。


「はあ、本当に嫌なところ狙ってくるね!さっきのワニちゃんとは比べ物にならない強さだ!」

「あなた、本当に私たちに勝つつもりでいるの?あなたの思う以上に、私たちは強いわよ?」


スッ!

クロウは音をけしたかのように、静かに黒いローブの男の背後に迫る。


「ちっーー。」

「遅いぜ! 拳の響ケンノヒビキ三式サンシキ猛雷タケリイカヅチ!」


バゴーンッ!

ズザーッ!

鋭い回し蹴りが、男を捉え吹き飛ばす。


「ふぅ、あと0.5秒遅かったら顔がやられてたね。本当、嫌な連携だよーー。」

「お褒めの言葉ありがとう! 穿て!紫電ライトニング!」


ビリリッ!

バゴーンッ!

一直線で、アーシェの手から雷が打たれる。


「ははっ!」


サッ!

上手く回転して避け、まだ戦闘態勢。


「クロウ、こいつ。」

「ああ、なんか気味が悪いな。自分の命をなんとも思ってねえ、それより、生きるために避けると言うより戦えなくなるのが嫌で避けてるふうに見える。」

「ええ、今まで出会ったことのない部類だわ。ここまでくると、もはや狂人ね。」

「なになに?僕のこと褒めてくれてる?いいよ、いいよ!もっと褒めてーー。」

「おい、そこまでだ。」


ズザッ!

ガシッ。

どこからかもう1人黒のローブを着た存在が現れる。


「なんでだよ、ドート!お楽しみはこれからじゃないか!」

「ハーデン総帥がお呼びだ、キルシャス。2に入った、あのお方を怒らせるつもりか?」

「ちっ、分かったよ。運が良かったね、お2人さん!また会えたらもっと楽しいことしようね!」

「な、おい待て!」


バーンッ!

ヒュイーンッ!!

空高く闇魔法を打ち上げ、2人を覆ったかと思うと、その場から消え去る。


「ちっ、逃したか。」

「あの2人、蠢く会のやつらね。相当の魔力を感じた、あのいかれた奴と冷静なやつ、これからまた会うことになるわね。」

「ああ、面倒なことだ。」

「クロくん!アーちゃん!大丈夫?」

「こちらは倒した、そっちは!」


タッ、タッ、タッ。

サリアとノエルが合流する。



「さすが2人だな。悪い、こっちは逃した。」

「イヤな魔力を感じたよ、サリア達が初めて会った人たちだよね?」

「そうよ、まあ、これからまた会うことになると思うわ。それより、ギルは?」


バッ。

ギルがいた場所を見ると、


「っ!?いない!?」

「嘘だろ、どうやって!?」

「まさか、蠢く会に連れて行かれたんじゃないかい?」

「それは、厄介すぎるな、くそっ。」



クロウ達は、特に情報を得られず戦いを終えた。



だが、レイヴァーに迫る影は着実に近づいていた。




第19章 完




◆◆◆お礼・お願い◆◆◆


第19章まで読んで頂きありがとうございました。


ノエルと共に魔族大使館に向かうと、ギルが蠢く会に襲われていた。

新たな蠢く会のメンバーとも出会い、第2段階と言う不穏な言葉も。

彼等に、次はどんな事件が?


さらに蠢く会がうごく!?

レイヴァーもさらに力を得る?

レイヴァー応援してるぞ!


と思ってくださいましたら、

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ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!

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