第74話 新たな仲間、異変
シュイーンッ。
サリアが近くの地面を植物魔法で探知し、紫ニンジンの場所を大まかに感じとる。
「クロくん、あの木からこっちの木までの間、30m近くにありそうだから探してみて!」
「おう!」
スーッ。
クロウは鼻を効かせ、辺りの特殊な匂いを探し出す。
「なるほどな、そこら辺か。アーシェ!俺の前の木から、半径2mで地面を掘り上げられるか?」
「それくらいならいけると思うわ、少し離れてなさい。」
ヒュイーンッ!!
アーシェは土魔法を発動し、地面を揺らす。
そして、
ゴゴゴゴゴッ。
地面がメキメキと浮かび上がり、半径2mの円状に宙に浮く。
下から覗き込むという、斬新な採取方法で紫ニンジンが複数目に入る。
「この方法で良かったみたいね、2人とも取ってもらえるかしら?」
「はーい!これなら楽でいいね!」
「まあ、普通の冒険者じゃできない荒技だけどな。」
スッ、スッ、スッ。
順調に紫ニンジンを採取し、数十分で30本ほど手に入れる。
「これくらいあれば、すぐには無くならないだろ。」
「そうね、私もたくさん食べれそうだし満足だわ。」
「全部がアーちゃんのお腹に消えませんように……。」
スタッ、スタッ、スタッ。
3人は町に戻り、クエストを報告しに行く。
「ただいま、リィンかダイカンいるか?」
「え、クロウさん!?てことは、もう皆さん採取終わったんですか?」
「ええ、これであってるわよね?」
ズザッ。
受付のテーブルの上に、紫ニンジンを30本置く。
「あ、そ、そうですね。全て問題なさそうです、けどどうやって?」
「ええと、それわね。」
サリアが丁寧に採取した方法を話していく。
「てな感じでたくさん取れたの!これだけあれば困らないよね?」
「はぁ、確かに困りませんけど取り方が異常すぎて参考にはならなさそうです。まあ、達成には間違いありませんから、しっかりと報告させてもらいます。お疲れ様でした。」
チャリンッ。
報酬金の、銀貨3枚をもらう。
「おう、ありがとうな。」
「日も傾いてきたし、そろそろ宴会も近いかしら?」
「そうだよね、じゃあ宿に戻ろうかーー。」
「失礼、ダイカンさんはいるかい?」
キィーッ。
ドアを開けて、男が入ってくる。
サッ。
レイヴァーが振り返ると、
「あっ、帰ってきたのか、ノエルランス。」
「君は!?クロウ、生きていたのか。よかった。」
「まあな、頑丈な体が俺の売りだからよ。そうだ、お前もどこか行ってたんだろ?」
「ん?ああ、まあね。」
ノエルランスは少し歯切れが悪い様子。
「なに、言いにくいことなの?」
「そうではないよ、まずは謝りたかったんだ。みんなに、あの時全く力になれなかったことを。」
「まあ、気にしてないとはいえねえけど、仕方のないことだってのも分かってる。いきなり目の前に化け物が現れて、それ以上の力を俺が発揮して暴走した。動けなくなるのが、普通の人族だ。」
「案外素直なのね、自分の無力を痛感してもいるみたいだし。」
アーシェの言葉には棘がある。
「やめろ、アーシェ。俺たちみたいに不測の事態に慣れすぎてるやつばかりじゃねえっての。」
「はいはい、で、本題に入りましょう。」
「ああ、僕は蠢く会について調べているんだ。彼らは、この世界を破滅させようとしてるとしか思えない、白き世界なんて僕はおかしいと思ってる。」
「それをノエルランスくんは探りに行ったの?いったいどこに?」
ズザッ。
ノエルランスは懐から1つの紙を出す。
「なに、これ?」
「この近くで起きた事件の一覧だ。モンスター関連のものが多いけど、他に気になるものがある。」
「気になるもの……ってこれのこと?」
サッ。
アーシェが1つの内容を指差す。
「そう、魔族による人族の町1つの壊滅。そんなこと、アテナイの統治する側が見逃すとは思えない。」
「それじゃああなたは、これが蠢く会が絡んでると踏んでるの?」
「可能性はあると思ってる。けど、本当に魔族が絡んでるとして、しかもそこに蠢く会もいたら大変なことだろ?」
「あなた、さらに巻き込むつもり?レイヴァーはあなたのおもちゃじゃないわよ?」
アーシェの言葉にだんだん怒りがのってくる。
「いいだろ、アーシェ。危険因子があるなら、俺たちでみに行けばいい。ノエルランスにも同行してもらって見に行けば、信頼していいかも測れる。そうじゃねえか?」
「……分かったわ、それでいいなら調査に行きましょう。」
「ありがとう、けど3人は傷だらけだろ?数日先で構わないから治ったら教えてくれ、基本ギルドにいるようにしとくから。」
「OK、そしたら俺たちは外に出てるぜ。またな、ノエルランス。」
キィーッ。
3人はノエルランスと別れ、宿屋に向かう。
キィーッ。
扉を開くと、そこには豪華な料理に、飲み物もたくさん。
肉、魚、サラダ、フルーツなど盛りだくさんだ。
「お、来たね!待ってたよ、さあ席に着いておくれ!」
「ああ、ありがとう。」
「そうだ、仕事終わったらリィンちゃんも来るみたいだけど、料理はたくさん作ってあるから存分に食べておくれ。」
「ええ、遠慮なくいただくわ。」
3人は席につき、食事を進めていく。
「ふう、本当にこんなことあり得るのか?」
スサッ。
ノエルランスが懐からもう1つの紙を手に取る。
そこに書かれている内容は、
魔族にも目を光らせろ。
我々の力を、奴らにも流用されてるかもしれない。
邪魔者は、排除しろ。
その手紙を、ノエルランスは切って捨てる。
「はあ、アーシェリーゼには警戒されているし、かなりしんどいな。まあ、気をつけておこうか。」
スタッ、スタッ、スタッ。
ノエルランスは夜の暗い外を、静かに歩いていた。
第14章 完
◆◆◆お礼・お願い◆◆◆
第14章まで読んで頂きありがとうございました。
部屋で目を覚まし、アーシェとサリアと再び話をできたクロウ。
そして、クエストを達成し宴の準備をするレイヴァー。
ノエルランスとも合流し、次なる目標も決まりレイヴァーはなにを目にするのか?
さあ、戦いが起きます!
彼の力も発揮!?
レイヴァー応援してるぞ!
と思ってくださいましたら、
ぜひ、レビューの記載
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ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!
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