第66話 2人の力

ズザッ!

クロウが力を解放し、顔面に迫る。


そのスピードもさることながら、弱点と見られる目玉に寸分狂いなく突撃する。


「いくぜ!  獣の声ケモノノコエ三式サンシキ! 獅子の閃爪スフィンクス!」


ガギーンッ!

的確な突き攻撃だったが、寸前で左手に防がれる。


「かなり賢いモンスターだな、こいつは!」


ガギーンッ!ガギーンッ!

さらに左手を抑えるために大剣を振るう。



タタタタタッ。

その隙をついたアーシェが、化け物の後頭部に回る。


「射貫け!岩の弾丸ロックシュート!」


ヒュンッ!ヒュンッ!ヒュンッ!

地面に落ちてる石が弾丸のように、後頭部に突き刺さる。


「がぁぁ!!」

「うそでしょ!」


ガゴーンッ!

アーシェの地面を隆起させ、数m弾き飛ばす。


「アーシェ!」

「クロウガルト!前!」


シュッ!

化け物の頭突きが、クロウに迫る。


「この距離なら! 獣の声ケモノノコエ六式ロクシキ冥犬の裂破ケルベロス!」


シュンッ!

ズシャン!

大剣をライフルのように打ち出し、目に突き刺さる。


「ぎゃぁぁ!!」


カチャンッ、カチャンッ。

大剣が抜け落ち、地面に落ちる。


「よしっ、これでどうだ!」

「まだだ!!」

「ぐぉ!!」


グルンッ!

高速で回転し、巨体の勢いに負けクロウは木に打ち付けられる。


「えほっ、えほっ。頑丈すぎんだろ。」

「はぁ、はぁ、こんなモンスター聞いたことないわ。サリーの情報が欲しいわね。」

「なら、僕が注意を惹きつける!その間に!」


ズザッ!

ノエルランスが瞬足で化け物の足元に近づく。


「おい!ノエルランス!」

「僕はスピードが武器なんだ、少しは任せてくれ!」


シュンッ!シュンッ!

軽やかな身のこなしで、化け物を翻弄する。


「ぐぁぁ!」

「遅いよ! ジン二の型ニノカタ! 連続打バースト!」


ガッ!ガッ!ガッ!

3連撃が体の至る所に入る。



しかし、ダメージはあまり見てとれない。


「ちぃ、僕だけの力じゃ倒しきれない。」

「なら、私たちの力ならどう!」


シュイーンッ!

アーシェの周りに魔力が集まり始まる。



そして、


始まりの力ファーストギア入力オン!」


バゴーンッ!

アーシェも力を解放し、魔力を増幅させる。


「やろうぜ、アーシェ!」

「ええ、私たちの力見せましょう!」


ズザッ!

2人は化け物に突撃する。


「ぐぁぁ!」

「うはっ!」


ズザーッ!

ノエルランスは足蹴りで吹き飛ばされ、全身に傷が。


「そこで止まってろ、ノエルランス!」

「げほっ、げほっ。分かった、任せるよ。」

「ええ、やってやるわよ!」


スッ!

クロウは右足の付け根にターゲット。


「おらよ! 雨の音アメノオト四式シシキ! 叢雨ムラクモ!」


シュッ!

ザシュ!

折りたたみ式剣で、的確に突き刺す。


「うがぁ!」


ドスンッ。

片膝をつき、バランスを崩すと、



「落ちろ!六水晶クリスタル!」


ピキキキキッ!

ガゴーンッ!

頭上に氷の塊を生み出し、そのまま落下させる。


「がぁぁ!!」


パリーンッ!

その氷を砕き、アーシェに返す。


「まだよ! 恐れなさい!黒の弾丸ブラックバレット!」


バババババッ!

闇の魔法をマシンガンのように放ち、そのまま右手を撃ち抜く。


「がぁぁ!!」

「くっ!」


ズドンッ!

地面から土の槍を生み出し、アーシェの皮膚をかすめる。


「アーシェばかり見てちゃ、俺が妬いちゃうぜ! 拳の響ケンノヒビキ五式ゴシキ! 雷撃ライゲキ!」


ガゴーンッ!

両手の掌底突きが、腹に直撃しそこには綺麗な手形の凹みが。



「がぁ、がぁ。」

「てめえの弱点は、その目だろ!  獣の声ケモノノコエ二式ニシキ! 獅子の重撃ネメアー!」


スッ!

ガギーンッ!

再度目を狙うが、今度は右手で防がれる。


「がぁぁ!!」

「うおっ!」


ズザーッ!

斬りつけた大剣が刺さったまま、クロウは弾き飛ばされる。


「えほっ、今だ!アーシェ!」

「任せなさい!」


シュンッ!

瞬間移動したかのように大剣が刺さった手の側にアーシェが。


「弾け飛べ!闇の波動ダークパニッシャー!」


バゴーンッ!

ボトッ。

大剣がつけた傷口を、闇の衝撃波で追い打ちをかけ右手を斬り落とす。


「うがぁぁ!!」

「まだいくぜ!」


スッ!

体から血を流しながらも、クロウは左足を狙う。


「次はここだ! 空の光ソラノヒカリ初式ショシキ! 半月ハンゲツ!」


グルルッ!

ジャギンッ!

横回転しながら、2刀で左足を斬りつける。


「がぁぁ!」

「その傷からなら、あなたも耐えられないでしょう! 痺れるわよ!雷の刺剣サンダーレイピア!」


ビリリッ!

チャキンッ!チャキンッ!

雷で生み出した刺剣で、傷口から全身に雷を流し込む。


「がぁ!!」

「フィナーレだ!アーシェ!」

「はぁ、はぁ、分かってるわよ!」


ズザッ!

クロウは大剣を拾い上げ、アーシェは雷魔法を溜める。



(すごいな、これがクロウガルトとアーシェリーゼの力か。この力があれば、本当に世界を変えられるのかもしれない。けど、こんな少数では、彼らに勝つことはできない……。僕は、どうすれば。)


ノエルランスの見つめる先には、完璧に同調した2人の攻撃が。


「クロウ!これを!」

「おう!お休みの時間だ!雷月ライゲツ!」


ビリリッ!

ジャギーンッ!

雷を大剣に纏い、巨大な雷の刃としてその顔面に叩き込む。


共鳴術技リンクアーツの発動だ。


「うぎゃぁぁ!!」

「これで、終わりだ!!」


戦いに終わりが近づいていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る