第36話 彼女達の心に残るもの

「ゴァァ!!」


ドシンッ!ドシンッ!

巨大なボアホーンが巨体に似合わないスピードでクロウに突撃する。


「真正面から受けたら全身複雑骨折だな、ほっ!」


クロウは横に転がり、攻撃を避ける。


ガゴーンッ!

複数の木が薙ぎ倒される。


「攻撃は単調ね、離れて! 燃え上がれ!白炎花フローラム!」


ピカーンッ!

ボゴォォォ!

ボアホーンの地面が赤く光り、炎が竜巻のように囲う。


「あなたの弱点は火よね、丸焦げになりなさい!」


ボスンッ!

炎の柱をものともせず、ボアホーンはアーシェに突進する。


「嘘でしょ、炎が効かないの?」

「アーシアちゃん!さらに火力を上げるよ! 刺せ!ニードル!」


ブンッ!

ボアホーンに傷をつけ、さらに内側から燃やそうとする。


ガギーンッ!

だが、容易く弾かれる。


「この皮膚、硬すぎる。どうにか傷をつけれれば!」

「なら俺の番だな!  獣の声ケモノノコエ二式ニシキ! 獅子の重撃ネメアー!」


スッ!

ガゴーンッ!

大剣を構えたジャンプ斬りが背中に直撃する。


ピリッ。

少し傷が入った。


「これでもダメか!」

「クロウ離れて! 落ちろ!六水晶クリスタル!」


バリリッ!

ガゴーンッ!

氷の塊がさらに追い打ちをかける。


「ブゴォォ!」


ガゴーンッ!

地面を両足で削り、その破片を3人に向けて打ち出す。


「どんな戦い方だよ!こいつ!」


ガギーンッ!ガギーンッ!

各々なんとか破片を弾く。



すると、


ヒュイーンッ!!

ボアホーンの頭に土魔法が溜まっていく。


「嘘だろ!?」

「ボアホーンが土魔法!?そんな生態じゃないはず!」

「そんな事は後よ!クロウ!こっちに来なさい!」


ダダダダダッ!

頭から土の弾丸がマシンガンのごとく撃ち出される。


シュンッ!シュンッ!シュンッ!

クロウは走りながら弾丸を避け、


「上がれ!岩壁ウォール!」


ゴゴゴッ!

カンッ、カンッ、カンッ。

岩の壁に隠れ、2人はなんとか凌ぐ。


「サリア!」

「こっちは大丈夫だよ! 守れ!守護シールド!」


キンッ、キンッ、キンッ。

花びらを体の周りに舞わせ、土の弾丸を弾く。


ズザザッ!

少しずつ3人とも気圧される。



「アーシア、何か案は?」

「すぐ考えつかないわよ、あんな特殊個体初めて。けど、弱点はあるはず。」


クイッ。

シュンッ!

顔を出そうとすれば土の弾丸が貫こうと迫る。


「本来は火が弱点なんだろ?だったら、そこに賭けるか?」

「いいけど、どうするつもり?」

「1人の炎攻撃で足りないなら、3人でやればいけるだろ!」

「安直ね、けど可能性はあるわ。」


ズザッ!

クロウとアーシェは壁から抜け、ボアホーンに迫る。



「サリア!いけるか!」

「OK!いくよ!」


ザザッ!

サリアも距離を詰める。


「グォォ!」


ズザッ!

ボアホーンは距離を取る。


「やっぱり、ボアホーンにしてはおかしいわ。こんな警戒する戦い方、まるで私たち人みたい。」

「確かに変だよな、けど、倒すしかない!」

「アーシアちゃん!動きを止められる?」

「完全には止められないけど、これなら! 上がれ!岩壁ウォール!」


ゴゴゴッ!

ドスンッ!

ボアホーンの背中に土の壁が現れ、動きを遮る。



「ナイス!一気に行くぜ!」

「うん!」


ズザッ!

ザザァ!

クロウは高く跳び、サリアは加速して走り込む。


「2人とも!任せるわよ!」


ボァァ!!

火の玉を生み出し、2人に投げつける。


さらに、ボアホーンの地面には赤い光りが。



そして、


「燃え上がれ!白炎花フローラム!」


ピカーンッ!

ボゴォォォ!

赤い光から、炎が巻き起こる。


続けて、


「燃え尽きなさい!」

焔の拳バーンナックル!」


ガゴーンッ!

炎の拳が背中に直撃。



仕上げに、


「燃え上がりなさい!」

炎の鞭フレイムウィップ!」


パシーンッ!

炎の鞭が追撃する。


「ブォォ!!」


ドデンッ!

シューンッ。

ボアホーンは、素材になり地面に落ちる。



「よしっ、勝ったな。」

「ええ、けど不思議なモンスターだったわね。」

「うん、動きもおかしかったし……ん?なにこれ?」


ヒョイッ。

サリアは素材の隣に落ちてる四角いチップのような物を手に取る。


「鉱石?いや、なんだろこれ?」

「さあな、とりあえず持って帰ろうぜ。」

「そうね、あの商人達も無事に戻れたか確認しないと。」


スタッ、スタッ、スタッ。

3人はナウサの町に戻る、




数十秒後、先程の戦場にて。



黒いローブを着た者が、辺りを見渡す。


「ふんっ、所詮雑魚モンスターではこんなものか。まだまだ改良しないとな。」


その黒服の者は、闇の空間の中に消えていく。




町に戻ると、商人達が出迎えてくれた。


「ああっ!良かった、無事だったか。」

「当たり前だ、あんた達も無事につけたか。」

「おかげさまで、本当に感謝しているよ。」

「私たちは依頼されたことをしただけよ。」


パチパチパチッ。

辺りの住民から拍手が起こる。


「な、なに?」

「おお!英雄の帰還だ!」

「彼らが来てくれてから、この町もより豊かになったんだ!ありがとう!」

「町を守ってくれてありがとう!」


周りから賛辞の声が鳴り響く。



「そんな、サリア達は特にすごいことなんてーー。」

「何言ってるんだ、お前達がいたから今の俺たちがここにいるんだ。」


スタッ、スタッ。

ダイカンが歩いてくる。


「ダイカンさん。」

「けど、私たちはただ戦っただけで。」

「それが、この町のためになったんだろ。素直に喜ぼうぜ、俺たちが活躍したんだ。」



アーシェもサリアも久しぶりの賛辞、感謝の言葉に心が震える。


「こんなにもの言葉、今まで受けたことないわ。」

「サリアもだよ、こんな感謝されたことない。」

「それじゃあ、いい経験だな。俺たちの力は、使これからも、一緒に生きていこうぜ、アーシア、サリア。」


スサッ。

微笑みながらクロウは手を上げる。


「ま、まあそうね。感謝されるのは嫌な気持ちはしないわ。」

「サリアも!これからもよろしくね!」


パチンッ!

3人はハイタッチをする。



少しずつ連携が磨かれていっているのが、3人の笑顔から見てとれた。





ここはナウサの町から少し離れたところ。


ズサッ、ズサッ。

数体の大柄な人型のものが歩いている。


その中の1体が牙をのぞかせ、ナウサの町を見る。



「あそこですね、魔族の発見報告があったのは。」

「そうか、魔族がここに流れ込んでるとはな。我々、使以外がいるのは初耳だ。確かめてみるか。」


ザッ、ザッ。

数体の大柄なそれは、ナウサの町に進行する。



彼らの目的は、いったい。



第7章 完




◆◆◆お礼・お願い◆◆◆


第4章まで読んで頂きありがとうございました。


クロウ達3人は、過去を共有し理解を深めました!

そして、自分たちの力が誰かを幸せにできると実感とできた!

しかし、彼らにまた何かが迫る??


次はアーシェの過去!?

ナウサの町に向かってるのは誰!?

3人とも応援してるぞ!


と思ってくださいましたら、

ぜひ、レビューの記載

★評価とフォローをお願いします!


ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る