第7話 出会いは突然に

ドゴーンッ!

ドスフロッグののしかかりで、地面が凹む。


「ガァッ!」

「ちぃ!」


シュッ!

背後からその大きな牙で噛みちぎろうとするサーベルウルフの攻撃を避ける。


スタッ。

流れに乗り、2本の刀を回収する。


「ゲゴッ!」

「確かにお前は速い、けど、相手が悪いな! 空の光ソラノヒカリ初式ショシキ! 半月ハンゲツ!」


グルンッ!

ジャギンッ!

2刀の回転斬りで4体目の討伐。



「グルルルルッ!」


スタッ、スタッ。

2体のサーベルウルフに挟み込まれる。


「おいおいっ、お前らの生態で協力して獲物を狩るなんて聞いたことねえっての!」


シュッ。

2本の刀を収める。


「ガァッ!」

2体は同じタイミングで噛みちぎろうと飛びかかる。


「ならっ!  獣の声ケモノノコエ初式ショシキ! 番犬の迅牙オルトロス!」


シュッ!

バギーンッ!

ガゴーンッ!

背中から大剣を取り出し、上段斬りからの斬り上げでテンポ良く2体を倒す。


「ゲゴッ!」

「本当、面倒だな!」


ガギーンッ!

大剣でドスフロッグの攻撃を受け止める。


ズザッ!

こちらもタイミング良く、空高くからドスフロッグが追撃してくる。


拳の響ケンノヒビキ三式サンシキ! 猛雷タケリイカヅチ!」


グルンッ!

ガゴーンッ!

大剣を手放し、鋭い回し蹴りが空から迫るドスフロッグに直撃。


そして、落下と同時に、


雨の音アメノオト二式ニシキ! 五月雨サミダレ!」


ザッ!ザッ!ザッ!ザッ!ザッ!

折りたたみ式の剣で、5連撃のお見舞い。


シューンッ。

確実に1体ずつ減らしていく。


これで残りは、ドスフロッグとサーベルウルフ1体ずつ。


「はぁ、はぁ、流石に疲れるな。」

だが、クロウの顔には汗が吹き出し、息も上がる。


スッ。

大剣を背中に戻す。


スタッ、スタッ。

2体のモンスターは等間隔で距離を詰めてくる。


「駆け引きってところか、まあ、そんなものに乗ってやるほど、こっちは余裕ねえんだわ!」


シュッ!

狼のような速さと低い姿勢で、ドスフロッグに迫る。



「ゲゴゥ!!」


ザッ!

クロウを弾き飛ばそうと、真正面から突進する。


「まずは1体! 雨の音アメノオト初式ショシキ! 時雨シグレ!」


スッ!

ジャギンッ!

スライディングしながら折りたたみ式の剣で居合斬りを直撃。


「グォア!」


背中から大きな牙が体に食い込む直前。


スッ!

瞬時に地面に伏せ、牙の攻撃を避ける。



そして、


拳の響ケンノヒビキ初式ショシキ! イカヅチ!」


ガゴーンッ!

腹目掛けた掌底突きが直撃し、最後のサーベルウルフも倒れる。



シュワーンッ。

戦闘が終わると同時に、周りにはサーベルウルフの素材、牙と毛皮が。

ドスフロッグからは、足と皮の素材がドロップする。



「はぁ、はぁ。たくよっ、こんなのそこら辺の冒険者にやらせたら死人が出るぞ。一応、警告も兼ねて俺が倒したって言い訳してリィンには許してもらうか……少し無理があるか……。」


スサッ。

タッ。タッ。

素材を全て袋に詰め、アルタに戻る準備を進める。



「ふぅ、帰り道でいい感じの言い訳でも考えるか、じゃないとクエスト発注してもらえなくなったら餓死しちまう。」



ピキーンッ!

クロウの五感が嫌な何かを感じとる。


「なんだ?モンスターとは違う、けどかなりの強い力を感じる。こんな冒険者の始まりの土地的なアルタの町でいていい強さじゃねえぞ。……その類じゃ、俺も同じか。」


クロウは警戒しつつ違和感を感じた方へ向かう。


スンッ、スンッ。

鼻を使い何がいるのかを感じ取ろうとする。


(人に近い匂い?けど、火の匂いも感じる。ニューマンの火魔法使いにしても微妙だし、なんだ?)


チャキンッ。

クロウは2刀を構え、徐々に距離を詰める。



緊張感が漂い、呼吸の音が響く。



(勝てないと俺の直感が判断したら、即帰る。それが俺のルール。)


ガサッ、ガサッ。

目の前の草むらが動く。


「そこにいるのは誰だ!」


クロウの声が響くとともに、草むらから1つの人のような姿が見える。


「ん?人?」

「ここ、は。」


そこには、銀髪がとても似合う、それとは裏腹に身体中ボロボロな女性の姿が。

見た目では生きてるのかどうか不安になるほどの出血。


「あ、お前、生きてんだよな?その傷、何がーー。」

「ここ、は?」

「え?ここは、アテナイのアルタの町の近くだ。」

「アテ、ナイ。よかっ、た。たどり、つけ、た……。」


ガクッ。

女性は脱力し、その場に崩れ落ちる。


「おいっ!」


ズザーッ!

クロウは滑り込んでなんとか女性を受け止める。


「おい、おいお前!おい!」

「た、す、け……。」


カクッ。

力が抜け、全体重がクロウにかかる。


「おい!……息はしてる、脈は弱いけど治療すれば間に合うな。近くの町、アルタよりものほうが近いか。」


ポトンッ。

女性が身につけていたボロボロの帽子が落ちる。


「ん?よっと……っ!?」


帽子が取れた直後は、特に変わった様子はなかった。





しかし、魔法か何かで隠していたのだろう、力が解けたことにより、女性の頭に変化が。


「黒い、角?てことは、お前魔族なのか!?」


スーッ。

力尽きている彼女からは何も聞こえない。


「こっから、スパルタまで何日かかると思ってんだ。それも1人でなんで、相当の訳ありか。……けど、ここで死なせるわけにいくか!」


ズザッ!

ダダダダダッ!

クロウは魔族の女性を背負い、アルタの隣町エデッサに向けて全速力で向かった。



彼女は何を求め、アテナイまで来たのか、魔族の彼女はいったい……。






第1章 完




◆◆◆お礼・お願い◆◆◆


第1章まで読んで頂きありがとうございました。


まずはクロウの日常を見ていただきました!

力は確かですが、厄介ごとに巻き込まれ体質なのが可哀想ですね……。


まずは、アーシェ視点です!

お次は魔法です! 魔族のことがわかるかも!?

2人とも応援してるぞ!


と思ってくださいましたら、

ぜひ、レビューの記載

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ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!

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