会いたくても君はいない。

柊藍々

会いたいんだ

あの頃の私…は?


『ずっと一緒にいようね!』

「もちろん!」


そんな小さい時の夢はガラスみたいに簡単に壊れた。


10月26日

スマホのアラームで目が覚める。

「あさ…か…」

学校には行っていない。なんか馴染めないし、何より学校が大嫌いだ。

「はぁ…絵描くか…」

私の趣味はイラスト。誰からも馬鹿にされ無理だと決めつけられた。けど私は私の道を歩むんだ。バカにされても、私は私だ。

「ここの構図は…ん?もうこんな時間…」

時間は深夜2時。朝9時から作業してこんな時間になっていた。

「寝る…か…」

自分の絵を見て何かが引っかかった、

「こんな感じの子見たことある…?」

いや、気のせいだ。引きこもって絵ばかり書いているのに。


『ねぇ、一緒に花冠作ろ!』

「いいよ!」

『……出来た!』

「えーっ、はやーい!」


10月27日

「夢…?」

朝起きると頬が濡れていた、

「泣い…てる…?」

あの夢に出てきた女の子は?なんで私は泣いてるの…

「忘れて…絵描こう。」

思うように筆が進まない。私こんなんだっけ、

「絵を、書かないと書かないと書かないと書かないと…あの子に…」

あの子…って?親?友達?それともあの女の子…?

「もう、わかんないよ…っ…」

泣き疲れて寝たのか、目を覚ますと日が昇っていた。目が腫れたのか赤くなっていた。

「冷やしとこ…」

だいぶ赤みが引いてリビングの棚を漁った。あの子って誰…、アルバムを見れば分かるはずだから。

「あった…」

だいぶ古いのか埃が被っていたが気にせず中身を見た

私が書いた絵とそっくりな子を見つけて写真を抜いた。

「お母さん、」

「ん?どうしたの?」

「この女の子覚えてる…?」

「…ごめんなさいね、だいぶ前の事だから覚えてないわ、ごめんなさいね力になれなくて」

「大丈夫、」

リビングを出て部屋に戻ると見覚えのない猫がいた、

「猫…?」

…なんか見た事ある…?あの子が飼ってた猫?

『私ね、猫飼ってるの!』

「名前は!?」

『みんと、って、おかしいかな…w』

「ううん、可愛い!」

みんとだ……

「みんと?」

名前を呼ぶと小さく、みゃー、と鳴いた。戸を開けてやると部屋のドアに触れた。

「外、行くの?」

そう訪ねるとまた、みゃー、と鳴いた。ドアを開けると、階段をかけ降りて玄関へ行った

「外行くか…」

久しぶりの外。とりあえずみんとについて行く。数十分経ってみんとが立ち止まった。

「立ち入り禁止…?」

みんとは気にせず入っていく。

「え、待って!」

私も追いかけて入っていく、木の上に人影が何かがあった。間違いない、あの子だ。

「え…華音…?」

『久しぶり、羽音』

「会えないと思った…っ…かのん…っ!」

『泣かないでよ…こっちも泣いちゃうじゃん…っ…ねおんっ…!』

「うわぁぁぁぁっっっ!!」

『なんでここがわかったの…?』

「みんと…が」

『みんとに着いてきたんだ…』

華音はそっと頭を撫でてくれた。でも冷たかった、まるでもういないような程に。

「華音…なんでそんなに手冷たいの…?」

『……私もう存在しないの。』

「え…?いないの…?」

『うん、数年前この崖から落とされてさ、』

「誰なの、?それ!」

『覚え出ても、羽音私と同じ目に合わせようとするでしょ?』

華音の言う通りだ。

「…う…ん…」

『だからだめ、』

私は彼女に触れようとしたら、すっ、と通り抜けた。

「また、会おうね…」

『うん…』


私はループを繰り返す、この日常を。また華音に会うために。ずっと一緒にいたいから…華音の事を知らないふりをするんだ

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会いたくても君はいない。 柊藍々 @ramom0520

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