第8話 それぞれの動向と風呂での一幕


「いやぁ、久々に動いて腹が減ったぞ!」


 ソフィア達が船より神社へと帰還した頃、ダンジョン組も役目を果たし終えたようで神社へと合流していた。


「神楽様ライブカメラ島内2ヶ所、全て切っておきました」

「ご苦労様、燕」


 燕も折よく合流となり神社がにわかに活気付いてきた頃、境内に2年ぶりの明かりが灯り夕日と共に皆の顔を照らし出す。


「それで小山内さん、ダンジョンは無事片付いたという事でよろしいでしょうか?」

「おう! どうやらポータルの結界がダンジョン崩壊の余波で壊されたらしくてな。5階層毎に設置してたポータルのうち、55階層までの11基がダメでそこから魔物共は沸いてたようだ」

「神楽お嬢様、ポータルの結界は全て修復し終えましたのでご安心下さい」

「そうでしたか。みなさん、大変ご苦労様でした。ありがとうございます」


 神楽が皆を労うように一礼をした。

 ポータルとは空間転移魔法を応用した簡易転移装置であり、現代のダンジョンでは必須ともいえるモノである。

 ダンジョンの5階層毎に設置されており、自分のスマホかスマートウォッチに登録された階層なら自由に望んだ階層へ行き来できる。

 パーティー単位では少し特殊で、安全の為にパーティー内でいちばん登録階層が浅い者の所までしか転移できない仕組みになっている。要はリーダーが50階層までを登録していても、新人が5階層なら5階層までしかパーティーでは転移できないという事だ。


 ちなみに魔素が段違いに濃いダンジョン内部だからこそ稼働可能であり、通常の社会生活にはまだ利用可能には至っていない。


「しかし外に出てきて驚いちまったぜ。これもソフィアの嬢ちゃんがやったんだろ?」

「ええ、その通りです。きっと言われなければ、数十万の魔物が巣食っていたとは信じられないでしょうね」

「その通りだ。特に我々は2年間、ダンジョンの中で石と化していた訳で外の様子は一切知らない。この見慣れた光景が、さっきまで地獄だったとはにわかには信じられん」

「片桐さんの言う事はもっともだと思います。なので食事がてら、この子達の撮った動画を観るとしましょう。きっと驚くと思いますよ?」


 そう言って神楽は、横にいた海星と奈海を紹介する。


「お? そう言えばずっと気になってたんだがよ、誰だその二人は?」

「こちらがお兄さんの海星さんで、こちらが妹の奈海さんです。例のドローンの持ち主と言えば分かりやすいでしょうか?」

「なるほど、こちらが例のドローンの……」

「あっはっはっは! そうかそうか。お前らがあの目立ちまくってたドローンの持ち主か」

「あ、初めまして! 隣の兄妹島の兄御島に住んでいる、兄の北条海星19歳です」

「は、はじめまして! 私は妹の北条奈海16歳で、高校生やってます」


 海星と奈海は緊張の面持ちで、境内に集まっていた一同に対して挨拶をする。全員年上という事も関係あるのだが、ギルド長の小山内やAランクの片桐をはじめ滅多に会えないような人物と対面しているのだ。緊張するなという方が無茶である。


「おう、俺は猫島ギルドでギルド長をやってた小山内努だ! まあそんな緊張すんなって。俺達は珍獣じゃねぇーし、普通の人間なんだからよ。少なくともソフィアの嬢ちゃん見てたんならそう思うだろ?」

「俺はAランクの探索者をやっていた片桐剣二かたぎりけんじだ。まあ、自分も腕には自信がありましたがソフィアさんを見てしまうと凡庸な人間であると痛感しますよ」

「ソフィア様は特別なお方ですから」


 その場にいた全員の視線が一斉にソフィアに注がれる。だが当のソフィアは首を傾げながらグゥグゥと仕切りにお腹の音を鳴らせていた。いつでもマイペースである。


「……力を使ったからお腹が空いた」

「!? すいませんソフィア様! さあ、みなさん! 積もる話は家で食事をしながら致しましょう」

「お、そうだな! 俺も腹が減ってどうにもならん!」

「では調理は私にお任せを。そこのあなた……奈海さん、と言いましたか? 手伝って貰えますか?」

「!? あ、うちですか!? はい分かりました! じゃ兄貴、迷惑かけないでね?」

「失礼な! 俺だって礼儀位弁えてるっつーの!」

「衣食足りて礼節を知ると言いますからな」

「ヘェー、じゃあ兄貴は今まで衣食が足んなかったんだね」

「っんだと!?」

「がっはっはっはっは! 兄妹仲良き事は良いけどよ、そろそろソフィアの嬢ちゃんの腹の虫が限界を超えてきそうだぞ?」


 小山内の言う通り、既にソフィアのお腹の音は大合唱状態である。

 そんな彼女をおもんぱかってか、一同は足早に神楽の家へと向かうのであった。



  ◇ ◇ ◇



「……衝撃的な異世界の料理だった。でもとても美味しかった、ごちそうさま」

「とんでも御座いません、お粗末様でした」

「……? 粗末じゃなかったよ?」

「ソフィアちゃん、それは燕さんが謙遜して言ったんだよ」

「わっはっはっはっは! 今日、異世界から来たばかりのソフィアの嬢ちゃんに、微妙な日本語の言い回しを理解しろってのが無理筋な話だわな」


 一同は神楽の家の広めにとってある食堂で、燕と奈海が作ったカレーを存分に堪能していた。ソフィアは最初カレーを見た時、お腹の音とは対照的に断固拒否の姿勢をとっていたのだが、腹がくちくなった今となっては笑い話である。


「まあ、カレーを生まれて初めて見た人は、絶対にソフィアさんのような反応をしますよね」

「見た目で損をしている料理、といっても過言ではないですからな」

「……それでみなさん、海星さんと奈海さんが撮られた動画を見られてどうでしたか?」


 神楽がふいをつくように言葉を紡ぐ。ここでは何も食事だけをしていた訳ではない。前言していた通りに、兄妹が撮っていたソフィアの驚天動地な動画を全員で見ていたのである。


「いやぁ、分かっちゃいたが凄まじいな」

「まさかここまでとはな……疑ったりして大変申し訳ない、ソフィアさん」

「ん、別に大丈夫」

「ソフィア様の素晴らしさを分かっていただけて何よりです……さて、魔石などの件はまた後日改めて調整するとして――海星さん、奈海さん? お二人には明日、ライブ配信で今の動画を流して貰おうと思っています」

「ら、ライブ配信ですか!?」

「マ!?」


 二人が驚くのも無理はない。ライブ配信など今までに経験も無く、登録者が二桁の底辺WeTuberが生配信した所であの空前絶後の動画を大勢に見て貰えるとは思っていなかったからだ。


「ライブ配信より動画配信で徐々に閲覧数を稼ぐとかじゃダメなんスよね?」

「それではダメです。この件はとにかく時間との勝負なんです。ソフィア様の偉業を短時間で世界に知らしめるにはこの方法しかありません」

「リスナーを集めるのは私達にお任せ下さい。こういう工作は私達の得意とする所です」

「「「お任せ下さい!」」」


 猫足衆達が水を得た魚のように目を輝かせる。コカトリス戦で無念の敗北を期し、主である神楽を守れなかった雪辱をこの期に果たす事で、少しでも汚名返上をするつもりだ。もっとも神楽は、彼らの事を汚名などとは微塵も思っていないのだが。


「という事であなた達お二人は些事を気にせずに、動画の編集に力を注いで下さい――燕、お二人をPCルームへ案内して下さい」

「はいかしこまりました。ではお二人共、参りましょう」

「あ、はいっ! それじゃ皆さん失礼します」

「お先に失礼します」


 燕と兄妹の二人が連れだって食堂から出ていく。

 

 余談だが神楽の家のPCルームは主に当時で中学2年の妹、ひなの持ち物である。今は両親と共に首相官邸に住んでいるが、避難が始まるまではここで寝食を共にしていた。

 彼女はいわゆる機械オタクというヤツで、三度の飯より機械パーツが好きという変わり者だ。学校以外では中学のイモジャージを着てPCルームに引きこもり、日夜自作PCをはじめ怪しげな機械類を作成していた。


「それでは私はお風呂でも入って、2年間の垢を落としてきます。ソフィア様もご一緒に参りましょう」

「ん、わかった」

「ではお二方、私達はお先に失礼します」

「おう、ゆっくり休んでくれ。そんじゃ俺は腹ごしらえにいっちょ身体でも動かしてくるかぁ! どうだ片桐? 久々に揉んでやるぞ?」

「フッ……望む所です、小山内さん。もう昔とは違うという事を思い知らせてあげますよ」

「お? そうこなくっちゃな! がっはっはっは!!!」


 ソフィアと神楽は風呂場に消え、血気盛んな小山内と片桐は家に隣接されているトレーニングルームへとそれぞれが食堂から去っていく。



 ◇ ◇ ◇



「ふぅ……石化されていたので二年も経っているとは思えないのですが、こうしてお湯に浸かっていると身体に染み渡りますね」

「私の世界とは違うお風呂。楽しい」


 本来ソフィアは清浄魔法を掛けているので湯浴みは必要ないのだが、向こうに居た時も温泉や風呂は大好きで、各地の湯巡りをしていた程の湯マニアであったのだ。


「お風呂はあるのですよね?」

「ん。でもお湯を沸かす仕組みが根本的に違う」

「やはり魔法ですか?」

「私は一気にお湯を作る。普通の人は大体、魔道具を使う」


 ソフィアが居た世界では全ての人間が、多かれ少なかれ魔力を持って生まれてくる。なので日常的に魔法を使用でき、その為に地球のような科学力ではなく魔力が動力の魔道具が発展した。

 ちなみに世界中に出回っている多くの魔道具は、ソフィアか弟子が考案したものである。


「フフフ、機会があったら是非ソフィア様の故郷を拝見したいですね」

「いつでも帰れるから連れてく」

「え!? そうなのですか?」

「ん」

「ではいつの日か、お願いします」

「ん、わかった」


 ソフィアと神楽、二人は他愛もない会話をしながらのんびりと、神楽の家の風呂を堪能していた。

 そこへ脱衣場から二つの影がやって来る。


「うわー、スッゴ! 超大きいお風呂じゃん! 銭湯みたい」

「神楽様、呼ばれたので参りましたが宜しかったのですか? 私達まで?」


 入って来たのは燕と奈海である。神楽がPCルームにいる二人を内線電話で呼び出していたのだ。初めてソフィアに素顔を晒す燕の顔は、切れ長の目をはじめ母の千鶴に良く似ていた。艶のある黒髪はショートで活動的な印象を残し、背が高くモデルと言われても信じてしまう程、スタイルが良い。


「ええ、やはりお風呂は皆で入るのが一番ですからね」

「うちまで、ありがとうございます!」

「いえ、奈海さんもお疲れでしょうから。お風呂で女子会といきましょう」

「女子といえばここのお風呂、男女別に分かれているんですね?」

「はい、この神社は本来、祢宜ねぎや神主、巫女をはじめ修行中の神職の者達が大勢住んでいたのです。まあ寮みたいなものですね。なのでお風呂も大きく、男女別に分かれているのです」

「へ~、そうなんですかぁ! でもなんだかそういうの楽しそう!」


 奈海が身体を洗いながら、湯船に浸かっている神楽と会話をする。燕は黙々と身体を洗い身を清めている。ソフィアの清浄魔法で綺麗になっているとはいえ、二年間も石化していた事が乙女心としては耐えられないのだろう。


「まあ修行ですから、楽しいかは分かりませんが……あっ、ソフィア様、そろそろお髪を洗いに参りましょう」

「ん、わかった」


 神楽とソフィアが揃って髪を洗う為に湯船から出る。


「あっ、髪を洗うんですか? それじゃみんなで洗いっこしましょうよ!」

「洗いっこ? 私がソフィア様のお髪を……じゅるり」

「……神楽様、ヨダレが出ています……」

「こ、これは違うのです! 決してやましい気持ちからでは……じゅる」

「「…………」」


 そんなこんなで洗いっこも堪能し、再び湯に浸かる一同。ちなみに神楽は終始、恍惚の表情であったのは、いうまでもないだろう。


「とりま、ソフィアちゃんが猫を見るのと似てるよね、神楽さん」

「お恥ずかしながら、私もそう思います」

「……ああ、至福でした」

「ふぃ~、それにしても……大きいですよね?」

「……? 湯船の事でしたらさっき言った通りですが?」

「違います! 胸の事です!」

「……えっ!?」


 奈海が湯船に浮かぶ神楽の胸を凝視し、半ばヤケクソ気味に言葉を放つ。

 言われた神楽は即座に両手で胸を隠す。


「巫女服の上からの時はそんなに目立たなかったんですけど、脱いだらヤバすぎ。神楽さん、ぶっちゃけ何カップあるんですか?」

「Gカップです」

「燕っ!?」

「A・B・C・D・E・F・G……Gカップ……」


 奈海は自分の胸を掴みながら、放心状態で呪文のように繰り返し呟いている。


「奈海さん、あなたの気持ちは痛いほど分かります。私も神楽様の胸を毎日見るたび、コンプレックスを抱えていました」

「え? そうだったんですか!?」

「ええ、神楽様……いえ神楽。この際だから言わせて貰うけど、小さい頃から同じものを同じ量だけ食べて同じだけ運動もしてるのに、どうしてこんな差がついてるの?」

「い、遺伝のせいじゃ……」

「私の母の千鶴はEカップだけど? さらに言うなら神楽のお母さんの美幸さんはBカップで鈴音さんはCカップよね?」

「そ、それは……」

「それは私が毎夜、揉んでいたから」

「……うわぁっ!? ちょっと! え? 誰? あなた何っ!?」


 放心状態でGカップを繰り返し呟いていた奈海が、突然自分の後ろから現れた女性に我に還り、驚愕の声をあげる。


「ああ大丈夫です、奈海さん。この子は初めからいましたから。ちょっと変わっている子ですが、悪い子ではありませんので仲良くしてあげて下さい」

「え? 初めからこのお風呂にいたんですか!?」

「ええ、覚えていませんか? 洗いっこもしましたし、一緒にカレーも食べてましたよ?」

「ええっ!? 全然気が付かなかった!」

「気配を消すのが忍の中で一番上手いですからね。この子は上忍三人衆の一人で、三つ子の長女です。名前は蕪木桃かぶらぎももと言います」

「初めまして、ではないけどよろしく」


 自己紹介をされた蕪木桃と呼ばれた女性が丸メガネのツルをあげ、奈海に挨拶をする。

 髪は癖ッ毛を活かしたボブ。メガネの奥の眼は大きく、ぱっちり二重だ。顔のそばかすが印象的で、スタイルは神楽に負けずにグラマーである。

 

「あっ! あの三人でずっと行動してた忍者さん! の一人なんですか?」

「そうです。彼女達は三つ子なのですが少し珍しく、弟二人は一卵性の双子で、彼女は二卵性なんです」

「へぇ~……あのちなみになんでメガネ取らないんですか? 曇りませんか?」

「トレードマークよ、伊達だけど。あとこれは、特殊な魔道具で出来てるから曇らないわ」

「あー、そうなんですね。あ、どうも改めまして北条奈海です。よろしくお願いします」

「ええ、よろしく。私の事は気軽に桃と呼んで頂戴」


 奈海が握手を求めると、桃もそれに応じ二人は手を交わす。


「……それで、桃? さっき神楽様の胸を揉んだとか言ってたけれど?」

「ええ、胸は揉むと大きくなると里の婆様が言ってたので、小さい頃から毎夜寝静まった頃、私が神楽様の胸を揉みしだいていたの」

「「「…………」」」

「冗談よ」

「……桃? 言って良い冗談と悪い冗談があります。心臓が止まるかと思いましたよ?」

「死んだら蘇生、するよ?」

「「「「…………」」」」

「ん?」


 今まで空気だったソフィアが、神楽の比喩表現に対して突如危険な発言をブッ込む。

 皆が一斉にソフィアの方を振り返り視線をソフィアに移した後、カラクリ人形のように首が元に戻り全員で頷く。


「皆さん、今の話は聞かなかった事に。口外も絶対しないように、私達は何も聞かなかった。良いですね?」

「「「はい」」」

「ん?」


 神楽は皆に念を押しながら、ソフィアの言葉に蓋をする。

 全員が落ち着いたのを見計らって、桃が再び口を開く。


「……まあ、ぶっちゃけ神楽様の巨乳は、スズ様からの隔世遺伝ね」

「まだその話は続いていたの?」

「神楽様。スズ様は若い頃、島一番の巨乳だったそうです。私の婆様に聞きました」

「知らなかった……あの、スズ様が」

「お祖母様、今は見る影もないですしね……」

「というより、忍にはあっても邪魔なだけよ、燕? 走る時邪魔だし」

「喧嘩売ってるの?」

「喧嘩売っているんですか?」


 燕と奈海が桃に詰め寄る。その目は怒りに満ちていた。

 所詮、持たざる者の気持ちは、持っている者には分からないのである。


「奈海ちゃんまで……そんなにいうならソフィア様にお願いしてみたら? ソフィア様ならバストアップの魔法とか使えるんじゃないかしら?」

「「!?」」


 桃の言葉にハンターが牙を剥く。


「ソフィア様っ!?」

「ソフィアちゃんっ!?」

「……そんな魔法はない」

「「……そんな~!」」


 憐れ無慈悲なソフィアの言葉に、湯に沈む二人。

 女三人寄れば姦しいとは良く云ったもので、風呂場は大変に賑やかであった。


 一方他の面々はというと――



 ◇ ◇ ◇



「いいぞ! ドンドン来い!」

「フッ、そろそろ息が上がってきたのでは、小山内さん?」

「バカ言ってんじゃねぇ! まだまだこれからだ!!! 片桐、本気を出してみろ!」

「いいでしょう。くたばっても知りませんからねっ! 奥義【百突き】!!!」


 トレーニングルームでは汗臭い男二人が、んずほぐれつの死闘を繰り広げている。華やかな女風呂とは大違いだった。

 ……余談だが、ただの組手である。



 ◇ ◇ ◇



「兄者! この板にも書き込むぞ!」

「おお! さすが弟よ! この勢いでドンドン拡散していくぞ!」

げんごう、余り根をつめないようにな?」

「「はい、副頭領!」」


 桜井は自身が表の仕事で経営している市内のネットカフェに、三つ子の弟達と来ていた。明日のライブ配信に向けて拡散するべく、色々な所へ書き込みを行っていたのだ。

 ……以外と地味である。



 ◇ ◇ ◇



「くそー! 奈海の奴いつまで風呂入ってんだーーーー! 編集が終わらねぇーー!」


 PCルームでは海星が一人、奈海の帰りを待ちながら吠えていた。

 ……頑張れ海星。


 こうしてソフィアの、嵐のような異世界での長い一日が終わったのである。

 それぞれの喧騒をよそに、外ではいつの間にかひぐらしの鳴き声が、辺り一面に響き渡っていた。


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