第13話 入学試験〜実技一次試験〜①
実技試験は例年通り『魔物の森』で指定の魔物を討伐するというものであった。これに関してはいくら皇族でも干渉することは絶対に不可能だ。できるとしても強力な魔物を密かに連れて来るだけだろう。ただし、これは皇帝陛下自ら干渉厳禁を言い渡していたので無理であろう。なので、この試験は優雅に休みつつ、気楽に魔物を討伐していくだけだ。
「試験内容について説明する!よく話を聞け!」
そう言って、今回の試験を監督する人から説明が始まった。
「今回、受験生の諸君に討伐してもらうのは危険度
平民のアリアが手を上げた。
「はい、危険度
彼女の質問内容はここにいる大半の者達が聞きたかった内容だろう。疑問に思っていない者はソロンが見た感じ、自分とシエルを含めても十人くらいだった。
「ふむ、そう言えば危険度について知らない者達も多いのか。危険度の等級は
そうして説明が始まった。
危険度が
火災などの自然災害や弱い魔物がこれらに当てはまる。弱いと言っても魔物は魔物。一般人なら簡単に死ぬ。今ここにいるお前達でも大半が死ぬ。
危険度が
中型の魔物や亜竜達が大半だが、中には大型もいる。騎士団や冒険者達が最低でも一個分隊、通常は一個小隊で対処に当たるほどだ。
危険度が
大国からの侵攻や多少の呪い、大型の魔物や竜種などが多い。ここからは正式に国か国が保有する戦力が直接動く。
危険度が
ここは国や宮廷魔導師達が直々に動く。強力な呪いの解呪、対象の封印処理、超大型の魔物の討伐、大規模戦闘行為などへの対処が多い。一個師団で対応に当たることもある。
「数が小さければ小さい程、危険度の強さは増す。まぁ、普通に生活していれば危険度は最大でも危険度
「はい、この試験を協力して受けるのはありですか?」
今度の質問は貴族側から来た。
「あぁ、それなら良いぞ。ただし、獲得数が人数分だけ倍増することを忘れるなよ。あと、他者が獲得した魔石を盗むのは駄目だ。これに関しても例年、窃盗問題が多発している。まぁ、その対策として今回から新型の監視魔導具を導入することが決まった。これは試験運用として送られてきた物だからどこにも売られていないぞ。」
新型の魔導具ということで周囲からは『おぉ〜』という声が上がった。また、必然的に出処を知ろうとする者が出てくる。
「あの〜、その魔導具の開発元は一体・・・・・・」
「あぁ、気になるだろうが無理だな。俺も知らん!皇帝陛下から渡されたらしい。きっと宮廷魔導師か開発室からだろうな。だから現時点での入手は難しいぞ。」
まぁ、当たり前と言えば当たり前だ。公爵か皇族以外が関わっている所であれば、無理にでも入手することができる。また、彼らの場合であっても懇意にしていれば、入手できる可能性はある。しかし、出処が皇帝陛下となると事前に入手したり、値引きしたりするのは難しい。この国の要職には皇帝の忠臣しかいないので、不正行為はできないし、見つかれば厳しい処罰が下る。
(まぁ、その魔導具を造ったのは恐らく法皇様辺りの者達でしょうね〜。)
(あれの設計にはソロンも関わっているのかしら?)
ソロンの予測は当たりといえば当たりだが、実際にはソロンが暇潰しに書いた論文を元に造り上げた魔導具である。なので、シエルの予測が今回は正しかった。
「さて、他に質問は?・・・・・・ないようだな。緊急時や棄権時は事前に配布した魔導具を上空に向けて発射しろ!そうすれば試験官達が至急、駆けつける!ではこれより実技一次試験を開始する!」
そうして実技一次試験の開始を告げ、始まった。
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(?? SIDE)
とある森の中をたった一人の男が歩いていた。フードを被り、素顔が見えないようにしているので、誰なのか正体は分からない。
「クックックッ、憶えていろよ。貴様らのためにとっておきのやつらを連れてきたのだから。俺のことを馬鹿にした報いを受けるんだな!」
その男が見ている先には不思議な光を放つ鎖に繋がれた大型の亜竜がいた。
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