第16話 発表会!


 「さっきの男って、彩ちゃんの元カ……バンドメンバー?」


 男達が去って行ったのを見て未来姉が半笑いで聞いて来た。


 「みっくっ! ……もぉーあんたワザと言ってるでしょ?(怒) そう、……最低でしょ?

 どうせその内また新しい女捕まえてボーカルにするわ! 今居る女の子も可愛そう⤵︎

 

 ……それより私達の順番はまだまだ先なんだけど、二人共どうする?」


 「うーん、俺はみんながどんな演奏するか見てみたいからここにいるよ、未来姉はどーする?」


 未来姉は腕を組み、人差し指を顎に当てて、


 「うーん、彩ちゃんお腹空かない? 時間あるならファミレス行こーよ♪」


 彩さんは一瞬ビックリした顔をして、


 「みっく……、緊張とかしないの?」


 「彩ちゃん、『腹が減っては戦はできぬ』でござるよ!」


 ……武士か?


 「(苦笑)じゃあ悠真くん、戻って来たら連絡するね♪」


 そう言って二人は手を繋いで店から出て行ってしまった。未来姉はともかく彩さん、知り合いの演奏見ないのーっ?




 ※




 しばらくして生徒さん達の演奏が始まった。


 俺は空いていた後ろの席に腰を下ろしてパンフレットを眺めた。


 さて、と……、生徒さん達のバンドはどんな感じなのかな?←上から目線


 ……あっ、俺達みたいに外部の人間らしい人達も居るんだね、結構年いってる人も。



 ♪〜♪、♪〜♪、♪〜♪、♪〜♪



 ……うん、上手いよね。普通に←何様



 でも、ウチの店に出てる人達の方が勢いとか雰囲気があってバンドって感じがするよね。でもまぁ、こういう人達はスタジオミュージシャンとかになる感じなのかな?


 

 …………飽きてきた(苦笑)



 何かこう、グワーっと魂が揺さぶられるバンド出てこないかなー? 見てるだけでウズウズしてくる様なヤツ! ……なんて思って見ていたら、俺の後ろの方で声がした。




 「彩の奴、……いい女になってたよな?」


 「……だな。でも、もう一緒にはやらないとか言ってたぜ?」


 「なんか調子に乗ってんなぁ、アイツ。この前まであんな冴なかったのによー! 

 ……なぁ、いつもみたいに上手い事言って口説いてさぁ、やっちまおうぜ♪」


 「割といいカラダしてるしなっ、へへっ♡」

 「だけど、アイツガード堅いからなぁ?」


 「それなら無理矢理にでもさらってさ、画像とか撮って言う事聞かせちゃう?」


 「それもいーな! はははっ!」

 「じゃあ誰が先にやるかジャンケンしよーぜ!」




 (……さっきのチャラ男達だ! 本当最低だな! でもこれって彩さんかなりヤバいんじゃないか? 未来姉も一緒に居るしっ! 何とかしないと……)


 

 


 

 ※




 ♪〜♪〜♪


 あっ、彩さんからLIMEだ。


 あと二十分位で戻って来るって、うーん、演奏前なのにこんな話したら動揺しちゃうよな。さっき聞いた事は終わるまで黙っていよう。


 ケンカが強い訳でも格闘技やってる訳でもないから、俺一人じゃどうする事も出来ないしな。……まぁ、声が聞こえた時に咄嗟にスマホで録音したから、いざとなったらコレを先生に聞かせて何とかしてもらおう。まずは演奏に集中しないと!



 「悠真ー、ただいまー♪ どうだった?」


 満足気な顔で未来姉がお腹をさすりながら戻って来た。


 「正直飽きた(苦笑)ウチでやってるバンドの方が見てて楽しいよ!」


 「あー、そーなんだぁ、残念だったねー」


 ……なんか未来姉、今回は他のバンドにはまるで興味無さそうだな。


 「それじゃ二人共っ、もうすぐ出番だから控室行こ!」


 少し顔を強張らせて彩さんは未来姉の手を握って歩いて行った。

 

 彩さん……。あー、さっきのが気になって俺の方が集中出来ないよ。


 


 ※




 ……とは言え、自分達の番が来てステージに立ったらこの前のライブを思い出した。


 あー、やっぱり人前で演奏するのは楽しいな♪ 今回は彩さんを引き立たせて、みんなに歌を届けるんだ!


 未来姉がいつものルーティンのあと赤眼鏡をかけて、俺と彩さんにウインクをする。


 彩さんは振り向き俺達に笑顔を見せた後、客席に向かってしっかりと前を向いた。



 「ボーカル科、大塚彩です。宜しくお願いします!」



 カン、カン、カン、ズッチャン♪


 彩さんのカッティングに俺達のリズムが絡み合う。三人の奏でる音に柔らかい風が吹く。


 髪を切って服装を変えた彩さんはその後雰囲気も変わり、歌う時も自信に溢れた表情で歌う様になった。何か吹っ切れたんだろう、歌声も更に透明感が増して聞いている人達を魅了していった。


 「いいね、あの子、なんかキラキラしてるよな!」

 「切ない声が胸にくるよねー♪」


 未来姉も彩さんの歌声に合わせ、気持ち良さそうに体を揺らしながらエモいフレーズを弾いている。流石に今回は飛んだり跳ねたりはしないんだね(笑)


 俺は二人の後ろ姿を見ながら、何とも言えない幸せな気持ちになってリズムを刻んでいた。



 ジャカジャ、ズッ、ジャーン、ーードゥクドン♪



 「ありがとうございましたぁー♪」



 パチパチ パチパチ👏

 パチパチ パチパチ👏

 

 

 ここまで俺が見てた中で一番拍手が大きかったし、盛り上がったと思うよ。良かったね、彩さん!




 つづくー!

 本編はここまでっ♪



 🌸読んで頂きありがとうございました🍒

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 🎸ここから先は補足&雑談コーナー🎸



 彩ちゃん、上手くいったみたいです! 今回みっくは裏方に徹してますねー、そーゆーのはちゃんと空気読める子ちゃんなのです(笑)


 そして何やら怪しい影が……、『彩ちゃん編』も終盤です。❤️⭐️、フォローで応援してねー♪←ねだるな、勝ち取れ!



 

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