第二話:お兄ちゃんのいけない相談


琴吹ことぶき、相談がある!」


「ぎゃーぁっ! 部屋入る時はノックしろぉっ! バカ兄、今着替え中よ!!」



 下着姿だと言うのにこのバカ兄はノックもしないでいきなり凸撃とつげきしてきた。

 家族になってもう三年目。

 私は華も恥じらう女子高生になったと言うのに、このバカ兄は昔っから私の事を女として見ていない。


 手近なモノを投げ飛ばして兄を部屋から追い出す。

 そして私服に着替え終わってから部屋の扉を開けると兄が正座して待っていた。



「で、お兄ちゃんはこの超絶美少女の着替えを覗いてまで突撃するほどの急用って何?」


 見下みくだしながら正座する兄に聞いてみる。

 するとお兄ちゃんは、はにかみながら言う。



「いやな、俺は童貞なんだが好きな人が出来た。今年は大学受験で忙しくなるが彼女と何とか付き合いたい。志望校も同じ大学にしたから、クリスマス前にぐいぐい攻めたいんだ」


「ほほぉ~、妹の着替え中に突撃するほどの急用がそれか?」



 兄は少し変わっている。

 今まで私のお兄ちゃんはやってたけど、女性に興味を示した事が無かった。

 しかし今好きな人が出来たと言った。



「なので琴吹ことぶきで練習をしてアタックをしたい。協力してくれ!!」



「協力を要請する前に何か言う事があるんじゃない?」


 私は兄を見下みくだしたままそう言うと兄はどげさしながら私の足をそっと手に取る。


「女王様、哀れな奴隷にお慈悲を」


 そう言いながら私の足を舐める。


 ぺろっ



「ぎゃーっ! この変態っ!!」



 ばきっ!!


 どきどきどきどきっ!



 思わずお兄ちゃんを蹴飛ばしてしまった。


「いきなり何するのよ!」


「いてててて。いや、女性に物事を頼む時はこうしろとモノの本に……」


 はぁ~

 

 分かってはいたけど、うちのお兄ちゃんはちょっと変わっている。

 なにもしなければそこそこイケメンでいるのに。

 

 私は思い切りため息をついてから言う。


「どんな本読んだか知らないけど、そんな事いきなりされたら女の子はみんなドン引きよ? 仕方ない、協力してやるから変な事しないでよね?」


「おおっ! 琴吹ことぶきありがとう、愛してるぞ!!」



「なっ///////!!」



 真顔でそんな事言うなバカ兄が!!

 私は心臓音を高鳴らせながらお兄ちゃんを足蹴あしげにするのだった。 

 

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