第5話
衛生都市ウィンドブルの冒険者ギルド上層部は近くに出たゴブリンの集団に対する討伐がうまくいっていないことに頭を悩まさせていた。
周辺の冒険者ギルドに応援要請を出してはいたもののその結果は芳しくない。
幹部の一人がギルドマスターに進言する。
「ここは腹をくくって領主に頼るしかないのでは。このまま放置して被害が出てからでは遅いですし」
「やはりそれしかないか。冒険者ギルドの面目は丸つぶれだが仕方ないか」
冒険者ギルドは国や領主からは一定の距離を置くことで独立性を保っているが緊急事態では協力し合う間柄である。
ギルドマスターは使者を送り面会の約束を取り付けると領主はすぐに会うとのことなので領主の館を訪れていた。
「よく来たな。そちらから面会を求めてくるとは余程のことが起きたと見える」
挨拶もそこそこに用件を聞き出そうとする領主に内心苦笑いしつつ用件を告げる。
「ゴブリンの集団が確認されました。今の所被害報告はないのですが緊急を要する案件だと言えます」
「ゴブリンとは厄介だな。放っておけばいつ周辺の村々が襲われるとも限らないか。すぐに対処しよう」
こうして衛星都市ウィンドブルからゴブリン退治の為兵士が派遣されることが決まった。
◆◆◆
ヒイロは中々人が来ないことに内心焦りつつ鉱山で採取された鉄からアイアンゴーレムを作ったりして戦力と労働力の強化を黙々と行っていた。
ダンジョンの拡張事態はゴーレムの量産で順調に進んでいるがDPの不足している今ダンジョンフロアとしての特性を与えることも魔物の渦を購入することもできないためダンジョンの難易度調整の為に魔物の渦から過剰に量産された魔物や自己増殖をし続けているゴブリンの一部を空きフロアに移しているぐらいだ。
どうすれば人を呼び込めるかを考えているとダンジョンの一部となっている森に人が入り込んでくるのを感じる。
遠見でダンジョン内を確認すると装備の統一された兵士と思われる人々が続々と入り込んでくる。
冒険者では手に負えないと判断されて正規の兵隊が派遣されてきたのは予想外だったがDPの稼ぎ時である。
ゴブリンでは正規の兵隊にかかれば全滅させられる可能性もあるが陣形を整えさせ一人に対して複数で挑むように指示を出す。
ゴブリンと兵士の集団は対に対面して戦いの火蓋は落とされた。
兵士は陣形を組み槍を構え一歩一歩ゴブリン達に近づいていく。
ゴブリン達はリーチの短い棍棒しか持っていないがそれでも勇敢に戦いを挑んでいった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます