ダンジョンマスターズ

髙龍

第1話

この世界にはダンジョンがある。

ダンジョン族という種族が人間を集めDP(ダンジョンポイント)を稼ぎ生活しているのだ。

ダンジョンを統べる者を魔王と呼び人々に畏怖を与える存在だが討伐に成功した者は勇者と呼ばれ名声と魔王が溜めた宝物を手に入れられることからダンジョンに挑む者が後を絶たない。

父は魔王達の中でも成功を収め強大な勢力を引き連れる大魔王と呼ばれている。

父の教育方針で幼い頃から英才教育を施されダンジョンを経営する為のノウハウやそこらの魔王よりも優れた武力を持つ僕は十五歳の成人の日を持って独り立ちをする。

家族はこのままこのダンジョンにいてもいいのだと言ってくれるが強大な父の後ろ姿を見て育った僕は一人前の魔王になってみたいのだ。

「気をつけて。いつでも帰ってきていいんだからね」

母が優しく言ってくれる。

「お前なら十分やっていける。気軽にやってみるといい」

父が背を押してくれる。

「今はまだ勉強中だけど必ず追いかけて力になるからね」

幼馴染のイリアが宣言してくる。

「立派なダンジョンを作って待っているよ」

皆との別れを済ませ隠蔽されたダンジョン族用の出入り口からダンジョンの外に踏み出す。

ダンジョンの正規の出入り口を見通せる丘の上から父の作ったダンジョンを見下ろす。

人が激しく出入りをしており周辺には冒険者を相手に商売をしている露店なども散見される。

父のダンジョンは洞窟から始まり様々なフィールドが組み合わさり最終的には城のような空間に繋がっている。

それぞれの区画には責任者がいて冒険者達を程よく侵入させどこで追い返すかを決めている。

冒険者を殺せば一時的に莫大な量のDPを手に入れることができるが長期的に見れば悪手だ。

死亡者が増えればダンジョンに挑む人間達が委縮し挑んでこなくなってしまう。

そうなってしまえば入ってくるDPが減ってしまう。

責任者達は月ごとに決められたDPで宝物を用意して冒険者に飴も用意しなければならない。

運よく飴である宝物を手に入れた冒険者は街でどこそこの区画から手に入れたと宣伝をしてくれる。

宣伝された区画に人が集まり収益が増えれば魔王である父から褒美がもらえる。

昔、経験を積む為に一区画を任されたことがあるが強力な効果のある宝物はDPを多く消費し大して効果のない物はDPの消費が少ない。

実験として強力な効果のある宝物を一度生成してそれを獲得された時は莫大な冒険者を呼び込んだものだ。

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