ポスターに写った幽霊 ~クリスロード商店街の怪~

護武 倫太郎

プロローグ 

 仙台七夕祭りのポスターに、かつて幽霊が写っていた。


 僕が通っている小学校はそんな話で持ちきりだった。

 きっかけはSNS。人の顔に見えるような影が写っているポスターの画像が、急に拡散され出したのだ。


 夏休みを目前にしたある日のこと。

 僕のクラスのグループラインにも、噂の画像が流れてきた。

 友達が皆きゃあきゃあ怖がっている中、その画像を見た僕は、恐怖を感じるより先に、何故だか不思議な気持ちを味わうことになる。


―――懐かしい


 僕はおばあちゃんが仙台に住んでいて、毎年夏休みと冬休みには遊びに行っていた。

 仙台七夕祭りは旧暦の七夕、8月7日の前後3日に仙台駅周辺を中心に開かれるお祭り。色鮮やかで絢爛豪華な七夕飾りがたくさん並んだ光景は圧巻で、毎年お気に入りの飾りを見つけるのが大好きだった。

 だからポスターに写る七夕祭りの様子に懐かしさを感じたのだろうか。

 それとも……。


 僕は何か大事なことを忘れているような気がする。それが何なのかも思い出せない。だから、ポスターに写っている幽霊に、会って確かめなくてはいけないことがある……。


 わずかなおこづかいを握りしめながら、僕は何かに導かれるように仙台に向かうのだった。

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