第26話
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自分が死ぬ存在だということは自分では分からない。あくまで他者の死からの推理である、アイツと俺は大差ない。あいつが死ぬなら自分も死ぬだろうと考える。だがそんなことは確認できない。人は自分の死を永遠に分からない、入院したりすると気が弱くなる。
アイツと俺は根本的に違うと考えなければならない。自分の死は自分が死んでから確かめればいいのである。そんなことが可能か、死後の世界があるのかという議論に与しない。少なくとも自分が生きている間は自分が死ぬなどと考えてはいけない。自分の死後のことを考えてたくさん保険に入る人がいるが否定はしない。自分の死と交換に3000万円もらえたら家族は当面落ち着いて生活できるだろう。保険は運命に逆らう行為である、家族のいる人は入っておくべきかもしれない。だが個人にとって死とは未知の世界であり自分の死後家族がどうなるか、そもそも家族などいるのか、そんなことは枝葉末節であり、自分が死んだら生前の世界はどうでもいいではないか。たとえ10ヶ月の赤ん坊を残しての死もそれはそれでやむを得ない。そもそも自分の死と交換するような保険は私なら入らない。
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