第3話
ー3ー
かの有名なドストエフスキーの「地下室の手記」もかなりいいかげんに書いてある。どうでもいいようなことを脈絡もなく書いてある。この手記もその点は同じかもしれない。覚えているのはある紳士とすれ違う時にどちらが避けるかで必ずドスト氏が避けてしまうのを永遠と長々と書いている。どうでもいいことを長々と書くのはその後の小説群にあっても変わらない。老ぼれの酔っ払いのくだらぬ話を世の中のドストエフスキー愛好家は読まされてきたことか。そうかと思うとロシア正教の意味のわからぬ信教を読まされる。イワンという哲学にかぶれた次男の学生がこれまたこなれていない学説をわざと小難しく話す。それを世界中のドストエフスキー愛好家がこうでもないああでもないと研究する。それより前の作品だが「罪と罰」のどこが名作なものか。ナポレオンにかぶれた青年が金貸しの婆あを殺して自分は正義の行為を行なったと思う。ところが殺人の罪を背負いきれなくなり、苦悩するという話だ。ラスコリーニコフという青年の一方的な思い上がりの殺人だ。殺人を苦悩するなら初めから殺さなければいい。途中色々とあって最後にロシアの大地に口づけをするという話だ。登場人物は全てドストエフスキーの分身であるから執拗にクドクドと長々しく話が展開する。それが小説というものなのかもしれないがもっと簡潔にわかりやすく描写してほしい。ミステリー的要素を持ってきたから複雑な読みにくい作品になった。だが思い上がった青年が金貸しの婆あを殺すだけの話だ。それ以外は枝葉末節に過ぎない。あれほどの大部の小説にしないでニ十行ほどの詩で私はドスト氏の言いたいことを全て表現できる。地下室の手記の話から大分逸れてしまった。計算して書いているわけではなく筆の赴くまま書いているからこうなる。文章ももっと良くしようと思えば可能だ。だが私は死に損ないの鬱病患者だからこれでいいと思う。
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