そして後に、星は包まれる

青海空羽

第一章

1

 瞼をこじ開けてきたのは、一面の青だった。あまりに深い青で、吸い込まれそうになる。

 思い切り鼻から空気を通す。柔らかい花の香りがして、それが自分の背中を覆ってくれていると気がついた。ありがとな。どのくらいの間かはわからないが、俺を守ってくれていたのだろう?心でそう呟きながら、白と青の花々を撫でた。

「ヴェール様のお力になれて光栄ですわ。」

「ヴェール様はとてもお優しいですわね。私共をこんなにも優しく愛でてくださる。」

 花の精霊たちからたくさんの言葉が降ってくる。彼らの言葉はいつも美しく優しい。毛布に包まれるような感覚だ。

「ヴェール、」

 その声はフローラさんだね。

「はい、よく眠れましたか。」

 そうだね、貴方達のおかげでよく眠れたよ。夢まで見ていたような気がするんだけど、思い出せないな。でも、いい夢だったような気はしているよ。

「貴方に悪夢は似合いませんからね。もう少し眠っていきますか?」

 うん、できるならそうしようかな。まだ眠たいや。

 その言葉を最後に、その後の記憶はない。覚えているのは、視界の青に淡い緑や白や青が滲み溶け込み自然と瞼が下りたことと、肌や鼻腔にまで伝うフローラさん達の歌声である。

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