5『賢治と鉱物』加藤碵一,青木正博
宮沢賢治は、鉱物を愛したことで有名です。
作中にも、鉱物の比喩がたくさん出てきます。
「貝の火」というのは、オパールのことです。
貝が化石になって、さらに長い年月が経つと、オパール化することがあるのです。
ファンタジーアイテムのようでありながら、現実に存在しています。
なので、宮沢賢治と鉱物をテーマにした本もたくさん出ています。
私のオススメはこちら。
『賢治と鉱物 文系のための鉱物学入門』
写真と共に、賢治の鉱物世界を紹介してくれます。
何が良いか。
まず、標本のクオリティが高い。
ラピスラズリひとつとっても、バダクシャン産のものを使っています。
アフガニスタンには、バダクシャン(バダフシャーン州)というところがあって、そこでは太古の昔から、良質なラピスラズリが採れていたのです。
「ラピスラズリなら、なんでもいいってわけじゃないのよ」という編集者のこだわりが感じられます。
そして写真が良い。
鉱物ってのは、実は写真に撮るのがものすごく難しいのです。
写真で見て「おお、美しい」と感じさせるのは至難の業です。
さらに、執筆者二人はどちらも鉱物の専門家。
加藤碵一
(前)地質調査総合センター代表、(前)日本ジオパーク委員会委員。東京教育大学大学院理学研究科地質鉱物学専攻卒。
青木正博
地質標本館名誉館長。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。鉱物学専攻。理学博士。
もう、見るからに「ぼくたち、鉱物のことしかわかりません……」っていう経歴でしょう。
賢治マニアも、鉱物マニアも納得の一冊なのです!
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