3『書物の王国 第6巻 鉱物』編:高原英理

 ここで鉱物アンソロジーを紹介。

『書物の王国 第6巻 鉱物』国書刊行会


「鉱物」は「人形」「天体」「ユニコーン」などと同じく、幻想文学ジャンルに属します。


 この「書物の王国」は、幻想文学アンソロジーとして、すごいんですよぉ。

 編集者のマニアックな趣味が遺憾なく発揮されています。


 そもそも「鉱物」で大長編鉱物小説! ってのは、あんまりないような……。


 バラードの『結晶世界』がそうでしょうか。

 でもあれ、冒頭から生臭い不倫の話ですからね。そこがあんまり合わなくて、途中で挫折しちゃったんです。

 

 まあ、短編鉱物小説なら、これ一冊読んでおけば十分満足できます。


「石の夢」 澁澤龍彦

「貝の火」 宮沢賢治

「水晶物語」 稲垣足穂

「異石」 杜光庭

「石髄の話」 葛洪

「狐の森」 戴孚

「石を愛する男」 蒲松齢

「巡礼のひとりごと」イジー・ヴォルケル

「石の女」 アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ

「食べる石」 種村季弘

「産む石」 種村季弘

「石中蟄龍の事」 根岸鎮衛

「懐中へ入った石」『梅翁随筆』より

「動く石」 柴田宵曲

「室の中を歩く石」 田中貢太郎

「サファイア」 寺山修司

「水晶の卵」H・G・ウェルズ

「博物誌 より」 ガーユス・プリニウス・セクンドゥス

「フィシオログス より」 作者不詳

「雲根志 より」 木内石亭

「鉱石倶楽部 より」 長野まゆみ

「白描・白描以後 より」 明石海人

「青色夢硝子」 加藤幹也

「馬鹿石、泥石」 ジョルジュ・サンド

「妖気噴く石」 石上堅

「クマルビの神話(ヒッタイト)」 矢島文夫

「岩 (オマハ族の歌)」

「石の花」 日野啓三

「石の言語」 アンドレ・ブルトン

「鍾乳石」 ピエール・ガスカール

「黄銅鉱と化した自分」池澤夏樹

「断片・続断片 より」 ノヴァーリス

「石」 西條八十

「ファルンの鉱山」E・T・A・ホフマン

「山の親方」 パーヴェル・バジョーフ

「青晶楽」 塚本邦雄


 この中でオススメなのは「青色夢硝子」 加藤幹也ですね。

 イナガキタルホの系譜を正しく受け継ぐ、少年×鉱物小説です。

 このアンソロジーにしか載っていません。


 この本を編纂した高原英理と、加藤幹也は同一人物ですよ。


「鍾乳石」ピエール・ガスカールは、『箱舟』に収録されたもの。

『箱舟』は、洞窟が主人公の理解不能な作品です。

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