悪役令嬢と勘違いされて婚約破棄されたので自由に生きたいと思います

@niwahiyo

1話.私、婚約破棄されちゃいました?

「お前との縁も今日までだ。

現在を持って私レイは、最低最悪の令嬢リアとの婚約破棄を宣言する!」


「はぁ…」


朝起きていきなり呼び出されたと思ったら、

突然の婚約破棄。


余りに突然のこと過ぎて頭が付いてこない。


目の前にいる私の元?婚約者であるレイは、

私の住んでいる王国の伯爵子息である。


そして私リアも同じく伯爵位の娘だ。


私たち貴族にとって結婚とは外交であり、

社交活動の一つ。


そこに恋愛感情は存在していない以上、

個人で婚約破棄なんて認められないはずなんだけど…


「あの、レイ様?突然すぎて頭が追いつかないのですが……」


「どうして婚約破棄を申し出になったのでしょうか?」


私がそう聞くと、レイは嘲笑しながら理由を教えてくれた。


「どうして?」


「私がお前に対する噂を知らないとでも思っているのか!?」


「夜な夜な別の男を連れまわし、

伯爵の地位を利用して気に入らない女をいたぶっているそうじゃないか!」


「実際に被害にあったと話している女性もいるんだ!

もはや噂ではなく真実と言ってもいいだろうな」


「私はそんな下賤な行為したことがありません」


「はっ!口ではなんとでも言えるものな!」


これはダメだ。


完全に噂と自称被害者の女性を信じ切っている。


まぁ、元々の仲も良好とは言えなかったし、

意外でもなんでもないけれど。


「つまり…レイ様は婚約者の言葉よりも、

見ず知らずの女の言葉を信じるというわけですか?」


「それに御父上は婚約破棄のことをご存じなのでしょうか?」


「もちろん知っているとも、

父上もお前のような女はいらんとさ」


たかが噂だけで婚約破棄?


余程噂に信憑性があるのか、それとも他に理由があるのか…


一つ確かなのは婚約破棄は間違いなく免れないということだ。


とすれば、ここで引き下がっても意味はない。


「わかりました。

噂の話は否定させて頂きますが、

今日をもって婚約破棄とさせて頂きます」


「一応確認したいのですが…

私の両親は婚約破棄の件はご存知なのでしょうか?」


「いや?それはお前の口から伝えるべきだろう」


「もうお前とは他人なのだからな。

わかったならさっさと失せろ!」


「そうさせて頂きます」


私はゆっくりとお辞儀をしてレイの家を後にした。


婚約は両家の話。


それなのに両親が知らないのは明らかにおかしい。


恐らく婚約破棄は独断で、

レイの父親も了承したわけではないだろう。


……まぁ、そんなことは些細なことだ。


屋敷を出て、待たせていた馬車に乗り込んで少ししてから私は思わず叫んだ。


「あのバカ男と婚約破棄なんて人生逆転!さいっっこうだわ!!!」


両手を上げて喜ぶ私を、メイドが訝し気に見ていたのは些細なことだと思う。

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