RTA世界一が勇者転生!【嫌われるほど強くなる】スキルで、ド畜生変態史上最低クズ勇者となった俺は、王女ちゃん剣聖ちゃん聖女ちゃんを誘拐してパーティ結成!(ヒロイン涙目)魔王討伐RTAを目指す!
スイーツ阿修羅
一日目(昼)
RTAの神、異世界に降臨!
RTA
という言葉を知っているだろうか?
読み方は”アール・ティー・エー”
Real Time Atack(リアルタイムアタック)を省略した単語であるが、
正解を言おう。
RTAとは、”ゲーム開始からクリアするまでの所要時間”を競い合う競技である”
"Real"というのは”現実”の意味。
”現実の所要時間”を競うのである。
無駄な動きを削ぎ落とし、最速ゲームクリアを目指す競技である。
そして俺は、俺こそは、
そのRTA界隈で”神”と称えられる人物である。
俺はあらゆるゲームにおいて、RTAのスペシャリストだ。
俺はRTAの世界記録を、92個保持し、キープしている。
ユーザーネーム ”レジェンド”
その名の通り、まさに生きる伝説。
RTA界隈のトップランナー。
それこそが俺、
★★★
《あなたは死にました》
「は?」
真っ白でキラキラと荘厳な光が降り落ちる、
神々しい雲の上の世界で、目の前のバカでかい白いドレスを着た女が、
《あなたは死にました》と、そう言った。
どうやら俺は死んだらしい。なるほど。
太ももがムチムチでエロい、おっぱいが大きい。
女体の巨人、背中には大きな、白い鳥の羽が生えていた。
《私の名は、女神ヘスティアと申します。
ここは、”神の世界”や”天国”といわれる、いわゆる死後の世界。
天使の琴の音や神鳥の鳴く声が綺麗でしょう?
泉の水も澄んでいて、川の流れも清らかで……
とても居心地のいい……》
「スキップ」
《え?》
俺はイライラしながらそう言った。
「スキップだ。早く話を進めてくれ。
鳥の声とか川の流れだとか、心底興味ないんだ俺は」
《そ、そうですか、それは申し訳ありませんでした。では丁寧な説明をさせていただき………》
「五行だ」
《五行?》
「五行以内で説明しろ、それ以上は聞かん…」
《そ、そんな……たった五行で説明だなんて……》
「はい、あと四行」
《んなっ!? そんなの酷いっ!》
「あと三行」
《うぅっ……!
異世界で勇者になりませんか?
魔王を倒してください!》
女神は苦しそうに涙を流してそう言った。
俺はにやりと笑う。
面白そうじゃないか。
異世界召喚、勇者と魔王。
俺は多くのゲームにて、魔王討伐RTAに挑み続けてきたが……
実際に自分が異世界転生してRTAできるなんて、生まれて初めての経験だ!
RTA走者の血が騒ぐぜ!
「”はい”。で決定だ」
俺が決定を口にすると、しばし沈黙が流れる。
《……あの、しゃべってもいいですか?》
女神さまが、涙目で弱々しく訊いてくる。
「構わんが、二行程度で頼む」
《……この中から、召喚時の”スキル特典”を選んでください》
女神がそう言うと、視界いっぱいに、文章がポンポンと浮かび上がった。
─【特殊スキル】を選択してください─
◆【
神の加護を身に纏い、光の剣技を放つ。
・【
・【
・【
・【
︙
| ▲ ▼ ─決定─ |
なるほどな。
そこには勇者特典に相応しい、強そうなスキル名が並んでいた。
スワイプ、スワイプを繰り返して、
全てのスキルに目を通していく。
ここで大切なのは、強いスキルを探すことではない。
俺が目指すのはRTA。
もっとも短時間で、魔王を倒すためのスキルである。
ざっと一通り目を通して、俺は一つのスキルを選んだ。
「これに”決定”だ」
俺が選んだスキルは……
《しょ、正気ですか!??》
俺の選択したスキルに、目を見開いて動転する女神様。
「俺は正気だ。さあ時間の無駄だ。早く俺を召喚してくれ」
《は、はいぃ…… わかりましたっ!》
女神は慌ててそう言った。
次の瞬間、体の周りが白く光りだして、
暖かい光に包まれていく。
《それでは行ってらっしゃいませ。
わたくし女神ヘスティアは、勇者さまのご健闘を祈っております。
どうか魔王を倒し、お父さまの……》
「スキップ」
プツンと電源が切れたみたく、視界全体が真っ白になり、
次に目を開けたとき……
そこには……
★★★
「召喚、成功しましたっ!」
「うぉぉぉぉぉ!!!」
パチパチパチパチ!!
大歓声と拍手喝采のなかで目を開けると、
俺は、大きな教会のなかにいた。
目の前には王冠をつけたヒゲオヤジが座り
その右隣には、赤いドレスのおばさんが座り、
左隣には、若々しい思春期ぐらいの女の子が、白ドレス姿で座っていた。
俺と彼らの間には階段があり、赤いカーペットで繋がっている。
そして俺の周りには、ゴツい金属甲冑を着た、息苦しそうな兵士たち。
これが異世界召喚ってやつか。
目の前で偉そうにふんぞりかえってる王冠ヒゲオヤジは、おそらくこの世界の王様だろう。
既にRTA……タイムアタックは始まっている。
だかしかし、異世界召喚には、”再走”という概念がない。
つまり"何度もやり直す"ことが出来ないのである。
初見プレイのオートセーブ。
やり直しなしの行き当たりばったり。
この世界の仕組みも、魔王のことも、まだ何も分からない。
そんな中で、この俺RTAの神は、
最速で無駄なく、魔王討伐を目指してやるぜ!
俺の後ろには、協会にギュウギュウ詰めになった観客が、大歓声を上げていた。
ふふふ、最高の状況じゃないか!
俺の選んだスキルは、
【
”嫌われるほど強くなれるスキル”
である。
"人に嫌われるだけで強くなれる"スキル!?
これほどレベル上げが簡単なスキルが、他にもあるだろうか?
いや、ない!!
小学校中学校と、クラスメイトから嫌われて、虐められ続けた俺を舐めないで貰いたいぜ!
お陰で俺は不登校引きこもりになり、RTAの神になれました!
という事で……
まずは挨拶がわりに、この場にいる全員に、喧嘩を売ろうと思います!!
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