第41話
「やったな!」
俺の……俺達の見せ場は作った。あとは
俺は後半戦の目標を決意した。
1対0点と言う
前半戦で疲労が蓄積していたためか、俺達のディフェンスは軽々と突破される。
しかし人一倍動いていた
授業の試合としてのレベルは高いと言える。
テクニカルな部分と激しい攻防が多い試合だから、見ている方はあまり楽しくないだろう。
後方のディフェンス陣が運動部を止めセンターバックから順々にボールが回ってくる。
既に体力が尽きかけている俺達にとっては、パスでボールを回して敵を動かし消耗させると言う、消極的防御戦術を取りながら機会を伺う。
運動部連中の合図で、一点取った時と同じようにサイドから攻め上がる。
後方から声が上がり振り返ってパスをトラップし、瞬時に周囲を見回し駆けだした。
再び立ちはだかるのは
一見、無謀に見える行為だが俺の目的は点を取ることではない。
俺は真面目にプレイし
十分な成果でありこれ以上は死体蹴りに思えたからだ――。
このままでは、
実際ゲーム版のバッドエンドでは、
最近は本気で防刃ベストを買おうか悩んでいるほどだ。
――
目の前には先ほどとは違い二人とも足を止めている。
オマケに股抜きと言う恥ずかしい突破のされ方がよほど効いたのか、幅を狭め対応できるように学習している。
「――ッ!!」
「……!」
先ほどと同じく両者向かい合わせで読み合いが始まる。
明確に違うのは両者のやる気だ。
恥をかかされたからやり返してやろうと言う
「またファイトリックで突破するつもりか?」
「先ほどに比べ明らかに脚を閉じている。二度目は通用しないよ……」
「もしかしたらさっきはわざとレベルを落していたのかもしれないぞ?」
データキャラらしき眼鏡の男がクイと眼鏡を持ち上げた。
「本来ファイトリックは、相手の後ろにボールを通して突破する技だ。しかし先ほどは股抜きに留まっている。今回のための布石だったのだ!!」
「なっ! なんだってー」
(なんだってー!)
まさかそこまで高く見積もられていた事に心底驚いた。
俺エラシコとかそう言う器用さが極度に必要なテクニック、全く出来ないんだけど……クソ! ついさっきまでは頭が下がる思いだったのに今じゃ殺意しか湧かない。
「
「元々素材はいいもの」
「
――と声援が聞こえて来る。
つい数日前まで俺に向かっていたヘイトは
今回の活躍がいい結果に結びつくといいけど。
まあでも前世では一度も浴びたことないから気持ちいィ~
だけど恥ずかしさが出て来たな……あとさっきから『素材は良い』って褒めるだけのボットいない?
無駄に動くことを想定しファイトリック擬きで突破を試みるフリをする。
すると予想通り
「止められた!」
「スゲーな
「布石を打っていたのは、
データ君は風見鶏のようで状況に応じてそれっぽいことを言っているだけのようだ。
お前の仇名『メガネ』って言わない? 必殺技とか名付けてそう。
止められると思っていなかったのだろう。
「
手を上げてパスを求める味方を無視して、
「―――なッ!」
驚きのあまり口をあんぐりと開けてしまう。
それは俺だけではないようで……
「何やってんだよ! パス回せよ!」
完全フリーな場所にいた運動部の生徒が感情を露わにし怒りを地面にぶつける。
両チームの司令塔から号令が飛んだ。
「「
俺の意図しない形でこの試合の行く末は、
「あいつホンモノか?」
つい本音がボロンと漏れてしまう。
もう一度見せ場を作りつつ
そんなことを考えながら
字面にすると何だか俺が
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます