第25話


「良いお洋服買えたし満足満足。次は真堂しんどうくんの洋服を見に行こうよ」


「確かに中学生が好きそうな英語Tシャツとか、ドラゴンが描かれた洋服ばっかりだしお洒落着の一つは欲しいかなぁ」


「ああー今の説明だけで真堂しんどうくんが、普段どんな洋服着てるか何となく判る……」


「流石にそのファッションじゃ不味いだろ」


「確かにそれは不味いわね……」


「だからマネキンコーデで一着買うか、妹に相談して着回し出来るコーデで揃えようと思ってたから渡りに船だな」


 俺が転生? する前の真堂恭介しんどうきょうすけなら中学生ファッションでもダサいと感じなかったと思うが、中身成人男性の俺からすると流石に中学生ファッションは着て居て居たたまれない。


「でも、真堂しんどうくんが今日着ている服装は結構真面よね。妹さんと一緒に買ったの?」


「いや、クローゼットの中にあった洋服の中でも比較的マシな洋服を組み合わせただけ」


「まあ女の子からすれば少しダサいと思うけど、中学生ファッションよりはマシよね……」


「言葉を選んで頂いてありがとうございます」


「どういたしまして……でも今日の服は真堂しんどうくんに結構似合っていると思うわ。学生服よりも格好いいと思う」


「無理に褒めなくてもいいんだぞ?」


「じゃぁ無理に褒められているって真堂しんどうくんが感じないような洋服を一緒に買いに行こうよ」


「そうしてくれると助かるけど……」


「大船に乗ったつもりで安心して、もっとカッコイイ洋服選んであげるから」


「お洒落な成嶋なるしまさんにそう言ってもらえると嬉しいよ。服屋に詳しくないから任せてもいいか?」


「もう。仕方がないわね……行くわよ」


「……あんまり高いのは勘弁してくれ」


「大丈夫よ。少し……と言うかかなり遅いけど売れ残りの春物と夏モノ……と言うか梅雨もの見に行くだけだから……」


「今欲しいのは春モノなんだけどなぁ……」


真堂しんどうくんもしかして知らないの? ゴールデンウィークにウチの学校遠足あるのよ?」


「あーそう言えばそう言うイベントがあったような……」


 成嶋なるしまさんに言われてそんなイベントが、【幼馴染を寝取られたので努力したらハーレムが出来た件】にあったことを思い出した。


「そこで友達や女の子から休みの間どこかへ行こうって誘われたらどうするの?」


「確かに……」


真堂しんどうくんって意外と抜けてるところがあるよね」


「そ、そんなことないとおもうけど……」


「ふーん。じゃあ、そういうことにしておいてあげるわ」


「中学生ファッション丸出しって言ってたから、ほぼ一から揃えないといけないから今年はけっこう出費すると思うけど大丈夫?」


「季節ごとに買い足さないといけないのか?」


「まあ、春と秋は兼用できなくはないしシャツとかは使えるけど色味の問題もあるし……やっぱり一度は揃えないと……」


「幸いお小遣いやらお年玉なんか貯金してるから大丈夫」


「意外。マメなタイプなのね……」


「それも違うんだけど……まあいいか……」


 高校生にしては多くある貯金額に疑問を抱きさりげなく妹に訊いてみると、年末年始とお盆に親戚と集まる酒の席で賭け麻雀やカード遊びでおじさん達から巻き上げたお金らしい。

 何という剛運。

 その御かげで遊び歩くことが出来るんだから、一応感謝しておこう。


「とりあえずメンズ向けのお店に行きましょ」


「デートするにしても男友達と遊びに行くにしてもある程度の洋服は必要だもんなあ」


「判ってるじゃない。最低数着持ってないとワンパターンな印象になっちゃうから、一シーズンで数セット組み合わせを変えて着るのが物持ちのいいお洒落よ」


なんだかプラモデルをパーツ事に分けて塗装して、オリジナルプラモを作る見たいな話しだなあと考える。


「そういうものか」


「そういうものよ」


「女子高生……と言うか女の嗜みとして洋服とかファッションの勉強はしてるけど、メンズは門外漢だもの一緒に勉強するつもりで選びましょう?」


「そうはいいつつも基本が出来ている成嶋なるしまさんの方が覚えは早そうだけど……」


「あんまりにあたしに投げるようなら、私の色を加えてしまうかもしれないわね」


「……」


「女の影が多い男はモテないわよ……」


「それはマザコンの可能性が高いから?」


「それもあるけど、どうしても年嵩の女性だとババ臭さが出るのよ」


「逆にババ臭さが薄かったり、女物の要素が入っているといい感じ女の子……つまり彼女とかが居るんだなって他の女は判る訳よ」


「動物で言うマーキングとかフェロモンとかそう言う感じなのか?」


「まあ中らずと雖も遠からずってところね」


「女の子って怖っ!」


「砂糖とスパイスそれと素敵な何かで出来ているのが女の子だもの!」


 こうして俺達は週末の楽しい時間を共有するのであった。



 

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