第34話
この女マジだ……
「の、ノーコメントで……」
「
確かに部活動と考えれば、内申点のコスパは非常にいい。
だけど……
「悲しいかな俺には、人望がありませんので……」
そう。今の俺には人望がないのだ。
「クラスでのことは訊いているわ……入学早々やらかしたんですって?」
「まあ……はい」
「歯切れが悪いわね……」
未だに俺が憑依する前の
訊けば良いと言われればそれまでだが、うまく話を切り出す方法を思いつかない。
逆に俺だけ知らなければ、善行を積んだ時に一件憑依する前の
「まあいいわ。やらかしも生徒会の仕事をしていけば風化すると思わない? 選挙まで時間はないけれど先ずは生徒会の補助役員として仕事をしなさい」
「補助役員ですか……」
「そう。好意で手伝ってくれている有志の生徒よりも扱いも名目上は上の扱いで……そうね生徒会長が任命する臨時の役員でどうかしら?」
「どうと言われても……」
「鈍いな
「新生ボランティア活動を生徒総会で提案後その功績を認めた私が生徒会役員補助として推薦、新生ボランティア活動を成功させた。これだけの功績をオマケに付けてあげるって言ってるのよ」
「……俺のデメリット少なすぎじゃありませんか? それに俺が生徒会役員に落ちたらその筋書き通りませんよね?」
「問題ないわよ。私来季の前期生徒会選挙に出馬するもの」
「
「私成績もいいし
実際問題、指定校推薦と彼女の学力があれば難関私大にも合格できると思う。
「楽観的ですね……」
「ふふふ、そのために君に頑張って貰うのよ」
これ以上、憑依前の悪評を垂れ流されては溜まったモノじゃい。
「あまり頑張りたくはないです……」
「同意するわ。でも君は大人になる……大人として振る舞う時と場合を学ぶべきだと私は思うよ」
「……」
「じゃあ引き受けてくれるのね」
入学早々悪印象を持たれていた俺が、ボランティア活動に積極的な発言をしたものの言うだけ言ってはい終わりだと今までよりも印象が悪くなりそうだ。
「燃えないようにするにはそれしかないでしょう……」
だけど俺と彼女が顔を合わせたのはこれで三度目。
殆ど他人と言っていい程度関係だ。
耳障りの言いだけどギリギリ実現できそうな理想論に、だから言いだしっぺの俺を携わらせたいのだ。
「じゃぁこれからよろしくね
「仕方ありません。
そう言うと俺は差し出された手を取る。
女の子らしい細く白魚のように白い肌は、クリームでも塗っているのかしっとりとしている。
「じゃあ早速だけど仕事をしてもらおうかしら。あ、新藤君。同級生から先輩まで色んな学年の色んな部活の女の子がいるからって見境なく声かけちゃダメよ? 結構女の子は見るから、特に密室で変な気起こしちゃだめだから」
握った手は離され彼女の手を握っていたことを示す体温だけが手に残る。
「安心してください。俺、紳士なんで……」
「その紳士って頭に変態って付かない?」
「あははははははは……バレました?」
「バレましたじゃないわよ。私の
「今日はブリ大根……でも今は春だし……」
ガラリと音を立てて引き戸が開いた。
「春ならヒラマサがいいだろう。私の個人的な好みだが豚肉も美味しいと思うぞ」
やっべ、全部聞かれてた。
俺は
――こうして俺は、自分の始めた活動にケジメを付けるために生徒会の補助役員として、準備に参加する事になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます