落ち切るまでに断ち切って

鷹槻れん

優柔不断な私

「あーん、何食べたらいいの!?」


 メニューを前に迷うこと15分。

 お昼休みがどんどん削られていく。


「美代子、早く決めなきゃ食べる時間なくなっちゃうよ?」


 同僚の和美に急かされて、私はますます焦ってしまう。


「もう、私と一緒のAセットでいいよね?」

 とうとう業を煮やした彼女に、そんな風に言われてしまう。


「悪いけどもうそれで注文しちゃうからね?」


 45分しかない休憩時間、15分も迷われたらそりゃ、仕方ないよね。


「お願いします……」


 私がうなずくのを見るなり、和美が呼び鈴を鳴らした。



***



「ね、美代子、大抵のことは割と即決を迫られるものよ? 熟考が許される事なんてたかが知れてるの。美代子の優柔不断さもある程度は大切だと思うけど、TPOを考えて動かないとしんどいよ?」


 はい、仰る通りです。

 和美の言葉に私は力なく項垂うなだれる。


「そうだ、美代子。5分以内に物事を決める練習をしてみたら?」


 鮮やかなピンクのイルカがついたボールペンをビシッと突きつけられて、私は思わず「はい」と答えていた。

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